心揺さぶる「感動」を生み出す!ストーリーライティングのコツ
心揺さぶるストーリーには、その人の「生き様」がある。
感動の奔流を生み出す、新鮮な体験。
それを人為的に作り出すのが、ストーリーライティングです。
一瞬で虜にし、目を釘付けにし、呼吸をするのも忘れて、ただただ物語の中に入り込んでしまう。
そんなストーリーが作れたら良いと思いませんか?
感動を生み出すストーリーは、人の手で作ることが可能です。
それは、リアルな実体験でも、仮想現実でも、どちらでも同じように人の心を動かすことができます。
実体験のほうが、人の心を動かしやすいのは確かです。
しかし、本当に目の前で起きた出来事のようにリアルな仮想現実だとしたら…それは、実体験と同じように大きな感動を生み出します。
ストーリーライティング、それは感動を生む力。
ここでは、あなたの心を鷲掴みにする、言葉の仕掛けをお教えします。
ストーリーライティングとは?
ストーリーライティングとは、物語を書くことです。
物事には、必ずと言っていいほど「始まりと終わり」が存在します。
「起承転結」、「序破急」、これらは、言い方は違いますが、ものの順序と緩急、盛り上がりを意味する言葉です。
私達の人生は、この世に生を受けたその日から、死を迎えるその日までである。
それは、切り取ってみれば1つの物語となります。
生涯、青春の1ページ、昨日起きた事件、友達とケンカした思い出など、人の生き様には、様々なストーリーがあります。
どれも特別で、同じものなど何一つない。
私達の人生は、数々の思い出に彩られ、浮き沈みを繰り返し、喜怒哀楽を目まぐるしく行き来しながら過ぎていくのです。
しかし、人生は一度きりです。
あなたの人生はあなただけのものであり、違う人の人生を歩むことはできません。
でも『自分とは違う価値観を体験してみたい!』というのは、かなり強い欲求として私達の中に根付いています。
人生を疑似体験する。
その欲求を満たすのが「物語の世界」であり、それを作り出す技術こそが「ストーリーライティング」と言えます。
「物語」の存在意義
物語を読む時、映画やアニメを観る時、ストーリーのあるゲームをプレイする時、私達はその世界にのめり込みます。
日常の中に身を置きながら、脳内では全く異次元の世界に転移し、ストーリーの中を歩んでいるのです。
物語に没頭するのは、なぜか。
違う人生を疑似体験し、成功や、理想や、課題解決や、自己実現といった「夢」を叶えるためです。
物語の世界に自己を投影することで、私達は「もっとなりたい自分に近づく」疑似体験をしているのです。
憧れのヒーローや、ドラマのヒロイン。
最強の戦士、聡明な賢者、美しい妖精。
物語の中では、なりたいものに自己を投影するだけで、どんな理想も叶います。
物語が私達に与えてくれる夢は、果てしなく広大です。
そこには無限の可能性があり、数え切れないほどのドラマが待ち受けています。
物語には夢がある。
そして、夢は本物に近ければ近いほど良いのです。
すなわち「これは作り物なんだ」と思われたら、夢は夢ではなくなります。
作り物の世界は、私達に夢を与えてくれません。
綻びのない、現実と遜色のない、仮想空間。
それこそが、物語に求められているのです。
現実≒物語、リアルな物語の作り方
あたかもそこにあるかのような、リアルな世界。
物語に求められるのは、触れればぬくもりを感じるような、血の通った世界です。
色があり、温度があり、触れた感覚があり、生きた人物がそこにいる。
それこそが、物語に求められる世界観だと言えます。
物語に息づく人々は、実際には想像の世界の人たちだとしても、疑似体験をする読者にとっては関係ありません。
ただただ「そこにいて」「喜怒哀楽とともに行動して」「存在を感じられる」そのような存在であればいいのです。
では、リアルな世界はどのように作り上げていくのでしょうか?
それは、事細かに書き出していくよりほかありません。
絵を描くのが上手な人は、まるで本当にそこにあるかのように生き生きとスケッチをすることができます。
それと全く同じように、文章でも血の通った世界を描き出すことはできます。
ただただ、克明に想像し、それをありのまま書き出すこと。
体験した出来事を思い出すように、脳裏にはっきりとイメージを浮かべること。
それを叶えるには、誰よりも深くその世界を知り、物語を理解し、その世界を描写する表現力が必要です。
表現力、これは文章力にほかなりません。
想像力、これはイメージを鮮明にすることでどんどん磨かれていきます。
深い想像力と、確かな表現力。
その2つが合わさったときに、生きた世界を描き出すことができるのではないか。
そのように思います。
ストーリー作り①テーマ
ここからは、具体的な「物語の組み立て方」についてお伝えします。
テーマとは、最も伝えたいことです。
物語は、伝えたいことがあるから存在します。
愛、友情、勇気、希望、そのようなことを伝えるために、物語はあるのです。
テーマが心に響かなければ、物語は魅力を失います。
心に響くテーマとは、必ず強い感情の起伏を含むものです。
それは「原体験」であることが多いと思います。
原体験、それはその人のアイデンティティーに深く関わる出来事のことです。
あなたの原体験はなんですか?
そう尋ねられたら、誰しもひとつやふたつ、語れるエピソードがあると思います。
原体験、それは今のあなたを色濃く形作るエピソードのことです。
「高校の時、部活動が厳しくて」
「社会人になって、初めての上司から教わったことが」
「裕福じゃなかったけど、家族が仲良しで」
その時はわからなくても、あとになってみれば自身に深く刻み込まれた想いがある。
一生忘れられない言葉がある。
あのときの行動があったから、今の自分があるんだ。
そう、自信を持って言える体験。
それこそが原体験です。
原体験は、その人のアイデンティティーと深く関わっています。
つまり、かなり人間臭く、成長の中の大きな分岐の一つであり、ドラマティックであることがほとんどです。
「登場人物の原体験」を物語のテーマに据えることで、私達は主人公のアイデンティティーを知り、ストーリーの中で、その葛藤と成長を見守ることとなるのです。
ストーリー作り②キャラクター
物語に息づく人々を作り出すのは、創造主たる作者の大事な仕事です。
テーマ=主人公の原体験
とお伝えしましたが、それがどういう人物なのか?
どのような人生を歩んできたのか?
今現在、どのような困難に直面しているのか?
それを事細かに考え、キャラクターに反映させていきます。
キャラクターに命が宿れば、物語がひとりでに動き出します。
主人公の課題解決のために、コンプレックスの克服のために、自己実現のために、主人公自らが考え、行動し、そして壁を乗り越えるまでが一つのストーリーとなるのです。
ちなみに、今お話しているのは「感動」を生み出すためのストーリーという前提です。
これが「ホラー」や「サスペンス」である場合は、またちょっと勝手が違います。
テーマに合わせてキャラクターを設計する。
要はそこがとても大事なのですが、作り込みすぎるほど人物を作り込んで、ストーリーに沿って生き生きと動いてくれることが何よりも肝心です。
「キャラクターが勝手に動く」この感覚を、作者となる方はぜひ体感していただきたい。
テーマがあり、伝えたいことが決まり、キャラクターの大枠が決まった時点で、あなたの中ではその人物が生きた存在となり、あれこれセリフを語り始めるはずです。
「私はこう考えている」
「もっとこうなりたい、でもうまくいかない」
「どうすればいいんだろう…」
そのように、考え、自ら行動し、困難に立ち向かっていく、それこそがストーリーの原点です。
魅力的なストーリーを生み出すのは、作者ではなく、登場人物達なのです。
ストーリー作り③あらすじ
テーマと登場人物が決まったら、物語の大枠であるあらすじを考えます。
これは、実際にはキャラクターと並行して考えていくことがほとんどです。
もちろん、テーマに合わせてあらすじを考えていくため、テーマに沿った内容であることが絶対条件であり、そこを外すわけにはいきません。
課題解決に向けて、どのような物語を用意するか?
あるいは、キャラクターをどのように動かしていくか?
テーマとキャラクターをマッチさせ、ストーリーに組み込んでいく作業。
これは実は作業なのですが、ここがうまく行かないと後が全部どうにもならなくなるので、かなり重要な部分です。
例えば、シンデレラのお話を例にとって見てみましょう。
ヒロインが一躍出世するストーリーを「シンデレラストーリー」と呼ぶように、素晴らしく夢と理想が詰まったお話です。
シンデレラは、良い子です。
ところが、自分には非がないのに継母と義理の姉たちからいわれのないいじめを受けます。
家庭内暴力、今でいうところのDVです。
継母と義理の姉は、シンデレラをいいようにこき使い、自分たちは楽をしています。
そこに訪れたチャンスが、お城で開かれた舞踏会です。
しかし、シンデレラには着ていくドレスがありません。
継母と義理の姉たちが着飾ってでかけていき、自分はみすぼらしい格好で留守番をしなければいけない。
絶望の縁にいるシンデレラを助けてくれるのは、魔女の魔法です。
魔女の魔法によって、身なりを整えたシンデレラは、のぞみ通り王子様とダンスを踊り、見事見初められます。
でも、魔女の魔法は夜中の12時まで。
シンデレラは、元の姿に逆戻りしてしまい、再び失意の日々を送ることになります。
最終的に王子様がシンデレラを探し出し、シンデレラが成功を収める、この物語。
私達がシンデレラを応援したくなるのは、謙虚でひたむきなシンデレラその人の人間性があってこそです。
シンデレラの物語は、シンデレラの成功体験を物語として切り取っています。
苦労はいつか報われる。
この物語で、主人公のシンデレラが怠惰で反抗的な人物だとしたら、感動を生み出すストーリーにはなりません。
キャラクターとストーリーがマッチしているから、感動が伝わるのです。
主人公の置かれた環境、課題、それをどのように解決していくか、がこの物語の肝と言えます。
物語に組み込まなければいけない要素を細分化していくと、以下のようなものが必要です。
・主人公
・主人公の背景(過去、それまでの状況、直面している課題)
・周辺設定(周辺環境、周囲の人物)
・テーマ=原体験
・課題解決に重要な役割を果たした出来事
これを物語に乗せるため、考えていく作業が「あらすじ作り」ということですね。
ドキドキワクワク、心を弾ませながら心して取り組むべき部分です。
ストーリー作り④起承転結
あらすじを作り込む時、物語の始まりと終わりがどこなのか?
どのように進行していくのか?
どんなイベントが起きるのか?
これは、起承転結の考えに沿って当てはめていくとわかりやすいでしょう。
起承転結とは、物語を盛り上げる流れです。
起 ことのはじまり
承 つなぎ
転 転換期(事件、転落、失敗など)
結 むすび
物語の中で見せ場となるのは「転」の部分であり、そこが重要視されるものですが、前提条件があり、前置きがあるからこそ初めて活きてくるものです。
転、で起きる出来事がセンセーショナルであれば、それだけで強く読者を引きつけることができますが、それはかなり限定的な出来事であるはずです。
そうでなく、前提条件を活かしてストーリー作りをしていけば、転で起きる出来事が身近なことだったとしても大きな感動を生み出すことができます。
起 ことのはじまり
・人物の置かれた状況、その人の特徴
・周囲の環境
・その人の直面している課題
・テーマ=原体験、がなにか
承 つなぎ
・課題に対して、やってきたこと・現在進行形でやっていること
・周囲の環境が主人公に及ぼす影響
・原体験の発端
・ネガティブな感情
転 転換期(事件、転落、失敗など)
・その人の根幹に関わる大きな事件
・事件に直面して、どうなったか?
・周囲はどう変わったか?
・その時、どう感じていたのか?
結 むすび
・転の出来事を経て変わったこと、成功体験
・転を乗り越えたあとの状況、ポジティブな感情
・環境の変化、心境の変化
とても大雑把ですが、このような形でまずは4ブロックに分けてみると良いでしょう。
主人公の心境の変化に合わせて、物語は盛り上がっていきます。
心情と出来事を絡みあわせて、ドラマティックな展開を演出できれば、感動ストーリーの姿が見えてきます。
ストーリー作り⑤伏線
単純な起承転結を彩るテクニックが、「伏線」です。
シンデレラの伏線は、なんと言っても「ガラスの靴」でしょう。
ガラスの靴は、シンデレラを探し出す手がかりとなり、最後に王子様と結ばれる大仕掛けにつながっています。
伏線は作者が意図的に作るものですが、思いも寄らない展開や感動的なオチにつながる重要な役割を果たします。
「ガラスの靴を落としてしまった」
それそのものは、大した出来事ではありません。
しかし、ガラスの靴がなければシンデレラと王子様が結ばれなかったと思うと、それはシンデレラの物語の中で無くてはならない要素です
伏線が生み出すのは、意外性、読者への裏切り、飛び飛びになりそうな話を見事につなげてくれる、接着剤の役割も果たします。
伏線が一つ張ってあるだけで、その物語は意外性を含んだ物語へと進化します。
これは、要素としてはぜひ取り入れたいものです。
伸びるコツ=「リアル」を語る
方法論の味気ないお話が続きました。
ストーリー作りの根幹は以上となります。
ここまでお伝えして、「もう物語が書けそうだ!」と思っていただるのであれば、もうストーリーライティングの素質があります。
あなたにしか書けない、あなただけのストーリーをぜひ作ってみてください。
その際、1つだけお伝えしたい。
ストーリーを作るときには、ぜひ「リアルに感じられる」ストーリーを目指してほしいと思います。
リアリティというのは、なかなか出せそうで出せない、感覚として最も伝えづらい部分ですが、これがあると無いとでは、天と地ほども仕上がりに差が出ます。
荒唐無稽な物語は、感動には不向きです。
読者が「ありえないわー」と思った瞬間、世界への没入感が失われ、感情が動かなくなります。
俗に言う「冷める」ということです。
あたかも本物であるように、目の前で起きているかのように鮮明に描くことが、なによりも大切だと思います。
そんな世界を作り出すにはどうするか?
それはもう至ってシンプルに「リアルな言葉で語ること」これしかありません。
体験談に勝るリアリティはありませんが、体験談に限りなく近づけることは、人為的にも可能です。
例えば、よくある「思春期の悩み」をテーマに物語を書こうと考えたとき。
私は女性なので、女性特有の悩みであれば、実体験からくる言葉で語ることが可能です。
しかし、男性特有の悩みとなると、リアルな描写は難しいかな?と感じます。
私達が臨場感を持って語れるのは「実際に体験したこと」が圧倒的に強いからです。
人から聞いた話、本で読んだ内容は、実体験とは違います。
「私、バンジージャンプをしたことがあるよ」
というのと
「私、バンジージャンプをテレビで見たことがあるよ」
というのでは、聞き手のテンションも大違いでしょう。
しかし、物語で登場人物たちが語る言葉は「実際に体験した言葉」でなければいけないのです。
つまり、たとえバンジージャンプをしたことがなくても、
主人公が「バンジージャンプをして人生変わった人」だとしたら、
「私、バンジージャンプをしたことあるよ。もう、本当に死んだかと思ったし、なんならちょっと失禁した」
くらい言わせてしまう、ということです。
これはあくまで一例で、私自身はバンジージャンプをしたことがありません。
ただ、リアリティを追及するためなら、想像の中で何度もバンジージャンプをしますし、実際にバンジージャンプをした人の体験談を読み漁りますし、動画も繰り返し見に行きます。
そしてバンジージャンプをした人になりきって、そのセリフを口にします。
疑似体験する、というのは物語を読んだ人の陥る状態であると同時に、根底では作者自身が物語を書きながらその世界を疑似体験しているということなのです。
ちなみに、私がバンジージャンプをしたと仮定すると。
表向きめっちゃ強がりですが内心はビビりなので、『平然としたフリをしてかなり時間をかけて台の先端まで行き、平然と飛ぶフリをしてその後大笑いする』かなと。
そのように思いますね!
よろしかったら、みなさんバンジージャンプの飛び方を考えてみてください。
想像してみてください。
多分、とてもドキドキするし、ハラハラします。
そして、想像の世界がとても楽しいものだと気づくと思います。
物語の世界を疑似体験する、ストーリーライティング。
あなたのリアルな「想像空間」を、ぜひ物語にしてみましょう。
もし、あなたの心に少しでも安らぎや幸福感が戻ってきたのなら、幸いです。 私はいつでもにここいます。