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真説・命輝寺縁起 ~本当にアレが、日本古来の神格だとお思いでしょうか?~
はじめに
「命輝寺」とは、2020年8月3日、大阪・関西万博のロゴマーク最終候補作品5作品が公開された際、そのE案を元にした二次創作(「いのちの輝き」)の一つである。
そもそもの経緯を見守っていると自明であるのだが、何よりTwitterがXになって時系列の検索がままならない状態である。そのうえで「命輝寺が先でロゴマークやキャラクター(ミャクミャク)は後、万博はパクリを行っている」という言説が絶えないため、「命輝寺」という概念が如何にして誕生したか改めて辿っていきたい。
公式(Expo2025 大阪・関西万博)のロゴマークについて
2020年8月3日、Twitter(現 X)にてExpo2025 大阪・関西万博のアカウントが次の投稿を行った。
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— Expo2025 大阪・関西万博 (@expo2025_japan) August 3, 2020
ロゴマーク最終候補作品5作品を発表✨
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大阪・関西万博のロゴマーク最終候補作品5作品を発表しました!
また、8月3日(月)~11日(火)まで、ロゴマーク最終候補作品に対する皆様からのご意見を募集しています🙏
詳細はこちら👉 https://t.co/kmZ1f4burF
#Expo2025#万博#ロゴ#logo pic.twitter.com/wJA6DitgTr
上記Tweetではロゴ候補のURLだったようだが、どうもサイトが無くなってしまっているようである。プレスリリースのURLを貼っておく。
ご存知かと思われるが、このE案が正式採用となる。2020年8月25日のことである。
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— Expo2025 大阪・関西万博 (@expo2025_japan) August 25, 2020
大阪・関西万博 ロゴマークが決定🏆
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今後、本作品を公式ロゴマークとして、大阪・関西万博の周知と更なる機運の醸成に活用していきます✨
作品の応募や最終候補作品へのご意見、ありがとうございました😌
詳細はこちら👉 https://t.co/kmZ1f4burF #Expo2025#万博#ロゴ#logo pic.twitter.com/L7EhzaIxjd
こちらも、念のためプレスリリースのURLを貼っておく。
E案公開時からのネットの反応(「いのちの輝き」)
早速、面白いものが現れたと、様々なパロディ、二次創作が行われた。誰が言い出したかは不明であるが、大阪・関西万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」であることから「いのちの輝き」と称された。詳細についてはWikipediaにも「いのちの輝き」の項目があり、その内容については ピクシブ百科事典の「いのちの輝き」に詳しい。この作品群についてはpixivに数多く投稿されているので逐一追わないが、早い段階で擬人化や邪神としての扱いがされているのが見て取れるだろう。
命輝寺の誕生
実のところ、命輝寺の多くの画像を生み出している氷厘亭氷泉さんが明記しているのだが、vol.201 『大佐用』第201号(2020年08月29日)発行にて、2020年8月28日にナンブ寛永さん作成の護符に「命輝寺」とあるのを元にその縁起周りの設定が生まれたとされる。
命の輝きくん護符にテキトーに付けた命輝寺
— ナンブ寛永(南部堂) (@kan_ei_sen) August 28, 2020
気が付いたら民明書房によって肉付けされてた pic.twitter.com/3GgLQsCiHX
そして氷厘亭氷泉さんも、ドシドシ命輝寺の絵を描いていくのである。
寺社縁起の中での、いのちの輝きくんです pic.twitter.com/z1yT3xy7iL
— 氷厘亭氷泉 (@hyousen) August 28, 2020
寺社縁起絵巻の中での、いのちの輝きくんです pic.twitter.com/PCrmebsVvZ
— 氷厘亭氷泉 (@hyousen) August 28, 2020
氷厘亭氷泉さんはPxivにも命輝寺関連の投稿されているので、こちらを参照されたほうが早いかもしれない。
公式(Expo2025 大阪・関西万博)のキャラクターについて
ロゴマーク決定からおおよそ半年後、2022年3月2日。11月1日~12月1日で公募が行われた公式キャラクターデザインの最終候補3作品が公開される。こちらはTwitterは見当たらなかったため、プレスリリースのURLを貼っておく。
ご存じの方も多いと思われるが、2022年3月22日このC案が正式採用された。
本日、#大阪・関西万博 の公式キャラクターデザインが決定しました❗️
— Expo2025 大阪・関西万博 (@expo2025_japan) March 22, 2022
世界中から愛され、親しみを持たれるキャラクターとして育てていきます。
たくさんのご意見、ありがとうございました☺#Expo2025#Osaka #kansai#大阪・関西万博公式キャラクター pic.twitter.com/kjNuOf5NTy
歩き始めた「いのちの輝きくん」
このC案を受けて、2022年3月2日(最終候補3案が出た日)に氷厘亭氷泉さんが投稿したのがこちらである。
寺社縁起の中で歩き始めた、いのちの輝きくんです pic.twitter.com/F1JpcXOyTZ
— 氷厘亭氷泉 (@hyousen) March 2, 2022
「いのちの輝き」であって、「ミャクミャク」ではないことに留意してほしい。「ミャクミャク」と名がつくのは更に4ヶ月先である。
また、vol.238 『大佐用』第238号(2022年03月13日)発行に、2022年3月5日放送のTBS『新・情報7days ニュースキャスター』にてイラストが紹介された事が述べられている(勿論、二次創作としてである)。
ここまでは良かったのだが、vol.239 『大佐用』第239号(2022年03月29日)発行にて、公式キャラクターとしてC案が採択された3月22日の後、2022年3月24日前後から「万国博覧会のキャラクターやロゴは命輝寺という寺の古い絵巻物の盗作デザイン」とする層が目立ちはじめ、氷厘亭氷泉さん自身、ナンブ寛永さんの作品が勝手に使われていることに苦言を呈している。
公式キャラクター「ミャクミャク」と命名
4月26日から5月16日に行われた公募で2022年7月18日に「ミャクミャク(MYAKU-MYAKU)」に決定した。
#大阪・関西万博 公式キャラクターの愛称が「ミャクミャク」に決定しました🎊
— Expo2025 大阪・関西万博 (@expo2025_japan) July 18, 2022
世界中から愛され、親しみを持たれるキャラクターに育てていきます🌈
みなさん、よろしくお願いいたします‼️#ミャクミャク#EXPO2025 pic.twitter.com/2J8hMT5N5p
このように「ミャクミャク」と命名される前から「命輝寺」の概念は存在する。概念は存在するが、それはあくまでロゴマークまで遡った上でのことである。このあたりが混乱の一因ではないかと推測する。
「命輝寺」は「実在しない」
大阪・関西万博の開催が近づくにつれ、未だに「万国博覧会のキャラクターやロゴは命輝寺という寺の古い絵巻物の盗作デザイン」という批判や、酷く言えば当てこすりが散見される。大阪・関西万博には思うところもあるのだが、批判に「命輝寺」を作者の意向を無視して用いるのは筋違いである。また「パクリと言っている方がパクリ」ということになり、印象も悪くなるだろう。
ただし、先に触れたように、調べようにも検索に手間がかかるし、Xに至っては時系列に並んでくれない。そのため、自分の理解の整理のためにもこうして記述をしてみた。
以上、「命輝寺」は「実在しない」。