好きな曲4選

書物の話ばかりしていたので、今日は音楽の話をしようと思う。

私は音楽が好きだ。聴くのも弾くのも作るのも好きだ。音楽をきちんと聴き始めたのは3、4年前だからそんなには詳しくない。でも、こんな私にも好きな音楽はある。今日はそれをいくつか紹介する。


きのこ帝国「怪獣の腕の中」

https://music.apple.com/jp/album/%E6%80%AA%E7%8D%A3%E3%81%AE%E8%85%95%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%8B/1440797361?i=1051250010

現在活動休止中のバンドである。邦ロックが好きな人なら絶対に聞いたことがあると思う。基本的にゆったり静かな雰囲気の曲が多くて、聴いていると優しい気持ちになれる。

〈もう、傷つけるための刃などあなたには必要ないんだよ〉

〈誰かを拒むための鎧など重たいだけだから捨てましょう〉

佐藤千亜紀ちゃんの優しい声でこんなん言われたら泣いてしまう。

と思ったら〈あいつをどうやって殺してやろうか〉みたいなギラついた曲も歌ってしまうし、きのこ帝国は本当に魅力的なバンドだ。


plenty「よい朝を、いとしいひと」

https://music.apple.com/jp/album/%E3%82%88%E3%81%84%E6%9C%9D%E3%82%92-%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%B2%E3%81%A8/1039733238?i=1039733245

すでに解散したバンドだ。叙情的で哀愁がある。カラッとしているかしっとりしているかと言われれば、後者である。「鬱ロック」などと称されることもあるらしい。友達がコピーバンドで演奏していたのをきっかけに知った。知った時にはもう、解散してしまっていた。とても残念に思った。

タイトルにある〈よい朝を〉という表現には、少し引っかかりを覚える。「よい1日を」や「よい人生を」をなどの文言はわりかし耳にするけれど、〈よい朝を〉はあまり聞いたことがない。しかし、歌詞をじっくり読み解くと、少しだけ意味がわかってくる。「朝」でなければいけないのだ、と思えてくる。この作品のタイトルは、「よい人生を」でも「よい夜を」でもなくて、「よい朝を」でなければいけないのだ。


山田亮一「夕暮れ」

私が大好きなミュージシャンである。私は本当に、この人の作る曲が好きだ。この人が書く歌詞が好きだ。この人のことが大好きだ。

この曲は、コロナ禍の最中にツイッターで流行った、「うたつなぎ」という企画で彼が披露した曲だ。「うたつなぎ」とは、ミュージシャンが別のミュージシャンを指名し、指名されたミュージシャンは、自分が何か音楽をしている様子を動画に録って、SNSにアップする、という、いわば「音楽のリレー」のような文化だ。冒頭の歌詞に注目したい。

〈世界一大事な世界が一大事〉

化け物か。このフレーズ良すぎるだろ。天才だ。彼は天才だ。いくら努力したとしても、私にはきっと一生、こんな歌詞は書けないだろう。彼は、詞を書くために生まれたのだとさえ思える。彼は、芸術をするために生まれたのだろうと思える。私は彼の虜だ。


ハヌマーン「若者のすべて」

上述の、山田亮一氏のバンドで、すでに解散している。以下、冒頭の歌詞を引用する。

〈青年と走る鉄塊は交差して 赤黒い物体と駅のホーム〉

〈復旧を告げる放送を聴きながら その光景を思って身震いする〉

〈延着の紙面を乞うて長い列 0コンマ数秒で片付く命〉

〈「ご足労様です」と嘲笑して 青年に俯瞰されている気がした〉


どういう場面か、想像できますか?もう一度じっくりと彼の言葉を味わってみてください。場面を想像させるようなドンピシャの言葉が一切使われていないにもかかわらず、情景がありありと目に浮かびませんか?これだけ婉曲させても伝わる。これは本当に彼のすごいところだと思います。彼の並外れた言語感覚を前にひれ伏すしかありません。

彼に関してたくさん語りたいことはありますが、あまり多くは語りません。なぜなら、私がいくら語ったとて、彼の言葉の前では私の言葉はあまりにも陳腐でちゃちいからです。まずは聴いてください。とにかく聴いてください。共に、彼の圧倒的芸術センスに、ひれ伏しましょう。


以上、私がとりわけ好いている曲たちでした。どれだけ新しいアーティストの曲を聴いても、結局はこの5曲に戻ってきてしまう。人生の分岐点では何度も何度も聴かせていただきました。私の原点のようなものです。私にとってとても大切な曲たちです。

こんな素敵な曲たちをお作りになったクリエイターのみなさまには、めちゃくちゃありがとうと伝えたいです。



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