『ファイナルファンタジー オリジン』 感想
『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN(FFオリジン)』をクリアしましたので、その感想等を残しておきます。
全体がネタバレとなりますので、御注意ください。
■ 概要
プレイ時間:30時間程度
『ファイナルファンタジー』シリーズのスピンオフ作品。『FF1』の世界を下地としたその前日譚の物語。
混沌とした世界は「4人の若者、光の戦士」4つのクリスタルの復活させ世界を救ってくれるという予言を信じている。主人公ジャックは、カオスを倒すという渇望に導かれ、自分たちが光の戦士であると信じて仲間たちと共にクリスタルに光を取り戻す探求の旅を始める。
■ ゲームシステム(戦闘)
いわゆるハックアンドスラッシュゲームで、敵を斬り殴り爆発させ四肢をもぎ取ります。かなりバーサーカーな攻撃で最初は「いいの!?FFだよ!?」と思ったんですが、途中から気にならなくなりましたね。いいんです、死ぬときはみんな血が赤い水晶みたいなものに変換されるので。
ただ、トンベリとかサボテンダーといったFF常連の、かわいいものとされているモンスターを倒すときには腕をもいだりしない。頭掴んで爆散するのを待っている。配慮を感じる。ジャックはちっちゃいもの倶楽部には優しいのだ。
ジョブの概念があり、ポイントを貯め→アビリティを解放し→次のジョブを覚えるという流れになります。
これがかなり楽しかった!
ジョブは多くの種類が用意されているので、カンストしたら次、次と切替えて覚えていく。お馴染みのジョブから、聞き覚えのないジョブまであります。全体的に魔法系が強かった。
難易度は設定できるので、アクションが苦手でも一番簡単にすれば何とかなります。私もあまりアクションが得意な方ではないけれどクリアには困らない程度にはなった。
ただし難易度を上げれば死にゲーです。これは難易度調整が上手いなーと思った。ちゃんとクリアできるようにしているのがありがたい。
■ ダンジョン
このゲームの売り、「各ダンジョンは今までのシリーズをモチーフにしている」とのこと。ですが、ここはどうだろうな……。
確かに最初のうちは「おーこれは『FF14』」等思ったのですが、どうも似た印象のダンジョンが続く。そして「何故これを選択した??」というダンジョンも多い。
『FF9』は最初に飛空艇が落ちたとこの森、『FF8』はSEED試験で行った炎の洞窟だよ。何故?
ここについてはあまり過度に期待せず、作れる範囲で一番近い印象のダンジョンを採用されている、くらいに思った方がいいかもしれない。
■ 登場人物
オリジン光の戦士たち、ぱっと見の印象とPVの雰囲気からこれはちょっと……と思うかもしれないが、中々いいメンバー。
4人の光の戦士たち(ただし5人いる)は「カオスを倒す」目的のために偶然出くわしたメンバーで構成されるが、主人公ジャックに絶対の信頼を持って結束しているため揉める事がまずなく、どうもいかつい印象のある見た目以上に雰囲気がいい。
ジャックもカオスカオスと言っていて人の話は聞かないが、周りから距離を置かれているわけでもなく、人望があるし仲間想いだ。終盤になっていくと世界情勢から街の人に文句を言われることもあるのだけど、逆にそうなっても「信用してるよ」と言ってくれる人も半数いる。あの見た目でジャックは信頼があるのだ。
ダンジョン内では仲間同士の掛け合いや、状況に応じた会話もある。ここは『FF15』っぽいけどこちらも雰囲気は悪くない。
出番は少ないが『FF1』及び本作でしょっぱな攫われるセーラ姫。3Dになった姫様は、やや飄々とした印象を受ける姫様。同じ話になって申し訳ないが、映画版『FF15キングスグレイヴ』でのルナフレーナのようなすっきりとした姫様だった。映画版ルナフレーナの良さについてはまた別の機会に書かせてくれ。
ところでこのゲーム、装備品の見た目がイベント等にも反映するシステムを取っている。そして硬派な見た目の装備が多い。
なので、ちょっと気を抜くと全員フルフェイスのメットを被った状態でイベントに突入し、感情が全然分からないことがよくある。頭装備だけは見た目のいい弱いものに変えていたりした。
■ 全体感想(ネタバレ多)
さて……。このゲーム、キャラも悪くない、アクションも楽しいのだけど、最大の問題。
ストーリーがさっぱり分からない。
このゲーム、『FF15』と『FF零式』のいい所と、『FF13』と『FF零式』の悪い所をかき集めたみたいなゲームになっている。
仲間同士の会話の良さやアクションゲームとしての楽しさ、爽快さがある一方、世界の仕組みや、どうして登場人物たちがそんな理解や解決法に至ったのかが分からない。とにかく最初からずっと分からない。
いや、一度止まって考察を入れれば理解はできる。頑張って探せば見つかるレポートを読んで推測もつく。しかしこれも難易度が高い!
この話、要約すると、
「ジャックたちは光の戦士として5体のカオスを倒して4つのクリスタルを取り戻していったら世界がどんどん情勢不安になっていってついに世界崩壊。
なんでこんなことに??と思っていたら、実はこの世界はルフェイン人という上位存在が実験上として光を煽ったり闇を煽ったりしてバランス取ろうとした実験場だった。魔物を送り込んだり光の戦士伝説を煽ったりするよ。失敗したら世界巻き戻すよ。
ジャックたちはルフェインから送り込まれたバランサーだったけど、そんなんこの世界がかわいそうじゃ!!ということでルフェインから世界をループさせる力を奪取。ルフェインが手出しできない、カオスという存在になってルフェインから世界の自由を取り戻そう! 5人みんなでカオスになるよ。一番強いジャックがラスボス役ね」
という話。
詰まる所この話は「いかにして『FF1』でガーランド(=ジャック)がカオスとなったか」という話だ。ただそれがプレイしていてもどうしてカオスになったかよく分からない事が問題なだけで。
ここまでたどり着くのにめーちゃくちゃ考察やレポート収集が必要。そしてゲームスタート時点でこちらがその辺りを察する情報が何もないのだ。
さらっと見てるとだけだとわからないので、唐突に見える。なのでその辺りだけ捉えると、このシナリオの評価って難しいんじゃないかと思う。
ただ、それでもこのゲームは面白い。
分かりにくいストーリーだけど、簡単にわかる範囲でもおっと思う事がある。
ジャックたちは4つのクリスタル(火、風、土、水)を取り戻すのだけど、それを取り返すと対応するものが強化される。しかしこの世界の人々は、その4属性が弱体化した状態が平常であったため、急に火力が上がる、海が荒れるようになるといった状況に対応出来ず、不安がつのり闇が増える。
これ、最初はみんな喜んでたりするけどどんどん悪化していく様子が自然に推移していて成程と唸る。プレイ時間が長くないゲームだからこそ、次第に変化していく様子がよくわかる。
そしてこれはプレイしないと伝わらないかも知れないが、ラストまでやった上だとジャックや仲間たちがみんな好きになっていると思う。
そもそもジャックたちが光の戦士ではないことなんて分かりきってた。PVでジャック・ガーランド様って呼ばれてるし、「これが俺たち光の戦士のクリスタル!」て出してきたクリスタルは禍々しい色(黒水晶)をしている。絶対に光属性じゃない。
光の戦士は4人の若者のはずなのに3人だったり5人になったりするので、大臣や街の人に「いや5人おるやないかい」と突っ込まれる。あと自称光の戦士たちはぱっと見5人中3人が30代程度……4人の若者……。
私たちはプレイする前から、彼らが光の戦士ではないことを知っている。
それでも、なんとかして光の戦士ということにならないか? ちょっとまかり間違って光の戦士になったりしないか?と思う程度には彼らが好きだ。街の人が彼らを「カオスの手先なんじゃないか」と言った時には、なんじゃこの野郎と思う程度には好きだ。
ということで、アクション、キャラクター共にとてもいいゲームでした。DLCお待ちしております!