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【レポ】2024年10月6日 中瀬智哉ピアノリサイタル@ A・PIACERE in豊田

2024年10月6日
中瀬智哉 ピアノリサイタル
未来、その先に輝く☆
~A PIACERE the Final~
@音楽サロン A・PIACERE in豊田


♪プログラム

ベートーヴェン/ ピアノ・ソナタ 第7番 ニ長調Op.10-3
ショパン/ エチュードOp.25-1 変イ長調「エオリアンハープ」
ショパン/ エチュードOp.10-1 ハ長調
ショパン/ エチュードOp.10-8 ヘ長調
ショパン/ エチュードOp.10-12 ハ短調「革命」

シューベルト/ 幻想曲ハ長調 D.760 Op.15「さすらい人幻想曲」
ラフマニノフ/コレルリの主題による変奏曲 ニ短調 Op.42

♪アンコール
ベートーヴェン/悲愴第2楽章


住宅街にある、ごく普通のお家に混ざって建っているのが今回の会場。
道のあちこちにかわいい案内が置かれていて、サロンへ導いてくれます。



サロンに近づくとピアノの音が。
中に入り開場を待つ間にも、壁1枚を挟んで聞こえ続けてました。
なんとそれは。
中瀬くんのリハです。
リハ聞くのって、レアではないですか…
いや、聞いていいんだろうか…
耳をダンボにしながらプログラムを開くと。
曲の解説は御本人が書かれたもの。
永久保存版です。



開場時間となり部屋に入ると、小さな空間にSteinwayフルコン。
とっても贅沢な空間。
実際に聴いていると、ピアニストを独り占めしてるような感覚が。
今活躍しているあのピアニストたちも此処から巣立っていったんだな…と思うと感無量。

プログラムは金沢公演と同じ。
中瀬くんのトークで始まり、曲は
ベートーヴェンから。

場所やピアノが違うと、同じ曲でも全く印象が違う。
聴いている側が会場の音響に耳が慣れるまでの時間もそれぞれ。
そこが生演奏の醍醐味。



今回はベートーヴェンは第3楽章が気持ち良くて、こんなに素敵な曲だったかしらと新たに魅力を発見。

ショパンのエチュードでは、3曲目までずっと豊田までの道中で見た自然豊かな風景が心の中を流れてゆき、最高の癒やしに。
ラストの革命、息ができないほどの切迫感。怒り、焦り、悲しみ。色んな感情が押し寄せてきました。


休憩後の「さすらい人」、自分の今の感情とシンクロしたらしく、曲の世界に深く入り込んでしまったような、ここではない世界に行ってきた感覚。稀有な体験をしました。
こういうのがきっと、クラシックを自由に聴く楽しみなのだな…と。
それにしてもこの曲、本当にいい。大好きです。

ラストの「コレルリ」、ラフマニノフって天才!って聴くたび思ってしまうのは私だけでしょうか。
やるせなさや諦めのようなものを抱えながら、
何とかしたい、
もしかしたら何とかなるのではないか、
いやでも仕方ないじゃないか、
と生きていく…
考えさせられたり、分かるような気がしたり。
不思議な曲です。


アンコール。予想もしなかった曲が来て驚いたり焦ったりしたのは私だけだと思いますが…。
今年初めて出た発表会で見事にズッコケた演奏をし、以来弾くのが怖くなって封印してしまってた悲愴第2楽章。
あんなに好きだったのに。
あんなに大切に弾いてたのに。
どうして弾くのをやめてしまったのだろう。
久しぶりに聴いた演奏は、時を佐川文庫でのリサイタルに戻し、一生懸命に弾いてた頃の私を思い出させてくれました。
そうだよね、こんなに素敵な曲だったよね。
"辛いことがあっても光は必ず差す。だから希望を持って。"
また、弾こう。
そう思わせてくれた中瀬くんの演奏。
思い入れのある曲だからこそ、色々な想いが溢れてしまい、涙なくしては聴けなかった…
気付かせてありがとう。
逃げたままでいるところでした。



公演後は希望者のみで記念撮影。
みんなのスマホを使って撮影したため、何度「チーズ」を繰り返したか分かりません(笑)
皆さま、お疲れ様でした。

若い演奏家を応援したい方々や、中瀬くんを応援している方々が集った今回のリサイタル。
あたたかな雰囲気でした。
初対面の方、以前からお会いしたかった方、いつもお話させていただく方。
短い時間でしたが楽しい時間をありがとうございました。
また何処かの公演でご一緒できますように。

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