術後の母の姿

昨日母の脳動脈瘤の手術が行われた。

手術は先生はじめ、医療スタッフの皆様のおかげで無事に終了した。

介護福祉士として働いてきた私は、術後どのようになるのか知識として理解していたし、同じような状況の利用者様も見てきた。

それでもやっぱり、いざそれが自分の母となると思っていた以上にショックは大きかった。

術後の昨日はまだ麻酔が残っていてほとんど寝ている状態だったけど、今日はもう目が覚めている状況での母との対面。

当たり前だけど、脳の手術をするとこんなにも変化が起きるのだという事を目の当たりにした。

「お母さん!みおだよ!」

と声をかけると目を開けて指先を少しだけ動かしてまたすぐ目を瞑った。

手が動いて、呼びかけにも反応できる事にホッとした。

面会に行った時にちょうどこれからMRIを撮りに行く所との事でバタバタしていて、ほんの数分しか会えなかった。

帰る時に

「お母さん、また来るからね!」

と声をかけて手を握ったけど、握り返す事はできなかった。

そんな母との数分の面会を終えて、エレベーターに乗った瞬間に涙が溢れた。

母の手術は無事終わったし、術後間もなく、これから落ち着いてきたらリハビリに入っていくのだから、現在のこの状態は当然なのはよく理解しているし、これから回復に向けて進んでいくわけだから、悲観的になっているわけではない。

ほんの数日前、笑顔で話をしてバイバイした母。

手術を終えてこの状況になったのを目の当たりにして、本当にああやって元気で話をできた事も当たり前じゃないんだなって事を改めて痛感したら、色んな感情がこみあげた。

なぜか親はいつまでも元気に生きているような気がしてしまう。
でもそんな親も当然ながらこれからこういう事が起こっていく。

私は今まで母を大切にしてこれただろうか。
もっと母にしてあげられる事があったんじゃないか。
元気になったらああしてあげたい、こうしてあげたい。

母が私にとって本当に大切で大きな存在である事を感じたら涙が止まらなくなってしまった。

この感情は絶対忘れてはいけない事だと思ったし、これは母に対してだけでなく、今自分の周りにいる大切な人達にも言える事だと改めて感じた。

明日が来るかなんて分からない。

それは私は過去に自分の大切な人を亡くした経験があるし、何より自分自身ですら明日どうなるかなんて分からない。

相手に向けている大切な想い・感謝・愛・喜び・幸せ・・・
しっかりその時その瞬間に届けたいっていうのが私のモットーだけど、更にこれからもそれを大切にしようと思った。

目の前にいる人に伝えられる事も当たり前じゃない。

その感じた一瞬、伝えられる一瞬を大切にできなかったら
「また今度でいいや」
が一生の後悔になる事もある。

私は今回の母の手術によって再確認するきっかけになった。

それにまた気づかせてくれた母に感謝して、明日また会いに行った時に、恥ずかしがらずにちゃんと伝えよう。

まず何よりも

今日も生きててくれてありがとう。

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