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『週末旅の極意2』第3話感想

自慢の息子ってよく聞くけれど、自慢の向こうに誰がいるんだろう。
「息子がすごいのは私がすごいからだよ」
そう言っている気がして、なんだか引っかかっていました。

自分のことや、関わりの深いものを自分で誇ること。

国語辞典オンライン

冒頭、同僚と呑んでいるときに、お互いの息子についての話になり。
父親と同じ道に進んだり大手企業への就職が決まったり、そんな話を聞く山岡家の父義正(甲本雅裕)の表情は、うらやましさ?困惑?複雑でした。

今回の旅は熱海です。
ここで、息子の誠(島村龍乃介)が義正にやりたいことを伝えます。

内容について触れている部分がございます。ご容赦くださいませ。

第3話「自慢の息子」

熱海についてから、義正は誠に聞きたいことがありそうで。誠は義正に伝えたいことがありそうで。
そんな2人にぴったり?なのか?
とにかく豪華で非日常を思わせるお宿です。
いつものようなビュッフェではなく、席に運ばれてくる芸術のような料理たち。

旅は景色・温泉・料理、五感で幸せを感じさせてくれるもの。
だから、いつもは口にできないことも勇気を出して言えるのかもしれません。

このドラマを観ていて思うのだけれど、成人した子どもたちと旅行ってちょっと理想。
第1話で、みんなが気恥ずかしさやぎこちない空気に包まれていたけれど、それが自然な気がします。
ただ、家とは違う空間で向き合うことで初めてわかる、お互いへの想いってあるのかもしれない。

派手さやドラマチックなシーンはなく、穏やかに進む30分が愛おしいなって思います。
そうそう、静かなシーンなのに、このきゅーってなる感じ。好きだなあ。

旅先のジントニック

「一杯目はジントニックがいい」
義正は誠にいいます。
ジントニックはシンプルだからこそ、素材やバーテンダーのこだわりがあらわれる。ジントニックを呑めば、バーテンダーの腕がわかるのだそう。

ジントニックを呑みながら、誠は自分の夢を義正に伝えるのです。
正直、反対するのかなって思っていました。
義正は「安定が1番」と考える人なのかな、子どもたちがそう思うように私も思っていたから。
でも、出た言葉は「すごいな、おまえ」

歳を重ねるごとに、安定を求める人は多いでしょう。不安定が生み出す苦労に悩み、苦しみ、生活してきた。だからこそ、愛する家族には同じ想いを味わってほしくないと思うものです。

でも、「すごいな、おまえ」
息子としてではなく、夢に向かって頑張っている人として認められる父の方がすごいぞ。なかなかできることじゃないぞって拍手を送りましたよー。

このドラマの父と母が甲本雅裕と石田ひかりだから、いいんだろうなあ。
父親としては反対したいけれど、夢を追いかける気持ちがわかってしまう複雑な心境が、画面越しに伝わってきます。
自分は夢をあきらめてしまった側の人間だから。やらなくて後悔することを知っているから。

「やらないで後悔する気持ちを味わってほしくない」結局そこにあるのも、息子を想う愛でした。シンプルだけれど奥が深い、ジントニックのような親心。

やっぱり「自慢の息子」なのです

私もいつか、言えるかな。
「なにもできないって思っていた息子が、自分でちゃんと決めて自分の言葉で父親に伝えて自分の足で歩こうとしている。それだけで、すごいなあって思うのだ」
父の愛も母の愛も、凝縮された30分でした。

「自慢の息子」
その意味は、「自分にはできないことをやってのけるすごいヤツなんだ」ってこと。だから、すごいってことを知ってほしいのさ。


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