お父さん
お父さんは、5年前から、我が家の末っ子のようになりました。
素直で、怒りっぽくて、食べるのがだいすき。そして、なんでもすぐに忘れてゆきます。
わたしのお父さんは、仕事、仕事、とにかく仕事の職人気質な人でした。
祖父母から自営業をやっていたこともあり、自分たちが起きる前に家を出て、寝たあとに帰って来るような生活。気付いたら、1週間ぶりのお父さん、なんてこともよくありました。
休みが取れても、友達と釣りに行ったり外で遊んでばっかり…
母と兄弟との日々に、お父さんの影はうっすらあるだけです。
そんな父が、脳梗塞で倒れたのは5年前。
県外で数回にわたる手術、寝たきり、失語…
1番下の弟は、当時まだ小学生。
思春期の妹、大学入学を控えたわたし、ひとりで支えてくれていた母、誰もが戸惑い、不安な日々でした。
それでも、奇跡的に回復し、言葉が出るようになり、ベッドから起きることができ、歩いて話せるようになっていきました。
そして、高次脳機能障害とわたしたち家族が出会うときがやってくるのです。
…つづく。
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