HUNTER×HUNTER 38巻 感想

本誌で既読だったが単行本で読んでも面白かったので感想を書く。


ノブナガ

幻影旅団のノブナガをフィーチャーした回といっても差し支えない。ヒンリギとの関係性も良い。最初はヒンリギの名前を聞き流していたのに、実力者だと分かると急に興味を示す人懐っこさも良い。

そういえばゴンキルも幻影旅団に誘ってたよな、と思い返して過去のヨークシン編も読み返してしまった。意外とおちゃらけた描写が多く、記憶の中の印象よりも、もともとノブナガは人懐っこい性格だったようだ。

38巻でも旅団の過去編への導入部はノブナガの語りになっている。過去編の中でのノブナガの立ち位置はかなり謎だが、実力者とみると興味を示す傾向は変わらないらしい。一貫性があって良い。

最新話付近では悪徳弁護士の念で刀を奪われていたけど、今後どうするつもりなんだろうか。刀無しでも戦える感じを意外と出していくのかもしれないし、冨樫のことだから、散々ノブナガってイイ奴だよなと思わせておいてあっさりと退場なんてこともありえる。

いまのところ円と投げられる刀くらいしか出してないので、素手での戦闘が見られることを期待。

旅団の過去編

過去編を読んでから再読するヨークシン編は格別である。なんなら過去編を読む前にヨークシン編をどういう見方で読んでいたのかが思い出せない。完全に過去編で補完されてしまっている。

ウヴォーさんをさらっと殺した薄汚いクルタ族の血を許すな、と言いたいところだが、ここまで曝け出してしまったとなったら旅団全滅の線はかなり濃厚だなと感じた。団長はともかく、旅団員に関しては特に掘り下げる部分も無さそうだし、シャルナークはサクッと退場していったし。

初期メンバーは退場していくとしても、今のところ何も悪いことをしていなさそうなギュドンドンド族のボノレノフがどういう扱いになるのかは気になる。シズクはまだ団長に思い入れがある描写があったが、ボノレノフは何を考えているのか分からない。どういう感情でヒソカの首を狩るって話を聞いてたんだろう。

あと、過去編といえばサラサだがあれに関しては色々と考えた挙げ句「冨樫ってやっぱすげえんだな」という感想だけが残った。直接的な説明や描写はせずに、間接的に読者に最悪の想像をさせる手腕はスゴい。読んだ人によって脳裏に浮かんだ想像は異なるだろう。

モレナの「この世界を壊したい」思想もそうだし、この世界は不平等で腐っている思想もそうだし、あの歳でもきちんと厨二病を超えた域に居られるのがスゴい。腰の痛みが冨樫を突き動かしているのだろうか。

エイ=イの若者たち

ヒンリギや旅団員の一時的な敵としてエイ=イ一家の若者たちが描かれるが、その描写も面白い。これが冨樫の考える現代の若者なんだよな。

ゲーム感覚で人を殺しておきながらエモについて語る。特に感情も感傷もなく死体も解体する。力を手にした途端にハイになって誇大妄想に取り憑かれる。パンピー最強説。

こんな若者いねえよと思うが、闇バイトとかを見るに案外近しい感覚なのかもしれない。俺よりは冨樫の方が現代の若者を捉えている。

文字数の件

旅団の過去編は以前のようにサクサク読むことができた。あくまでのBW号内に居る連中がイカれているだけで、そこ以外の場所では平均的な思考回路でやり取りがなされるのだろう。とはいえ、団長の計画部分は説明が長かったが。

BW号内でいうと、王子の友人たちの会話は未だにきちんと読めてない。あれ本当に何を書いてあるのか分からない。読む気もおきない。

この読む気が起きない感覚は、唐突に知らない奴が現れて、特に戦闘に関することでもない憶測を色々と語っているからだろうか。せめて知っている奴か戦闘に関することであれば読めるが、アレは読めない。

あと、旅団が空間転移する部屋のアレコレについて語っている部分も読めない。きちんと解読する気も起きない。なんで読む気が起きないのかなと考えてみたが、どうでもいいからかもしれない。

あの部屋のトリックがあるから何なんだって感じではある。90年代くらいのミステリーブーム時だったらアレくらいで良いのかもしれないが、現代はライトミステリーの時代だ。重いと読めない。

色々と批判されがちだが、もう冨樫の好きにすればいいと思う。読まなくても問題は無いし、後で展開が生じて読みたくなったら読めばいいし。ヒソカvsクロロ戦みたいに解説してくれる人も現れるだろうし。解説を何回読んでも何が起こっていたのか新刊が出る頃には忘れてるけど。

総括

久々にHUNTER×HUNTERを読んだらやっぱ面白かった。面白いよ。連載が再開したら毎週追っていくことになるだろう。

なんならヨークシン編も読み返してしまった。今ならフランクリンは規格外に強いという話だけで盛り上がることができる。

最近の暗黒大陸編を読んでから過去の巻を読むと、ゴンが居ることに古い感覚を覚えてしまう。もう完全に過去の主人公になったんだなと感じる。今の主人公は誰なんだろう。クラピカやクロロなんだろうか。

下手したら完結しないHUNTER×HUNTERではあるものの、今後も冨樫のライフワークとして続けていって貰えたらと思う。どんなに批判しても連載されたら読んでしまうのだ。あがいても無駄である。たまの風物詩として今後も楽しんでいけたらいいなと思う。あと、冨樫より先に死にたくないので健康に気を使おうと思った。

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