(※ネタバレ有り)アニメ アイドルマスターミリオンライブ!第1幕、感想
■はじめに
……見た?
私も見ました。といってもまだ1回ですが。それだけでもミリアニのここが凄い!を猛烈に感じたので、アウトプットとして残しておきます。みんなみようね。
■結論
結論から言うと、「ミリオンライブ!という集団の本質、魅力をバシッと捉えて魅せてくれたな」という印象です。
これは受け売りなんですが、ミリオンライブ!のひとつの魅力は、「集団における個性と個性のぶつかり合い」。
それに加えて、そのぶつかり合いで起きた化学反応、変化が、伝播していって、直接関わり合いの無いアイドルにも影響を及ぼしたりするところ。
それは、まるで、ビリヤードのように突かれた玉が反射しあって、影響を相互に及ぼしていく状態。その混沌さが魅力のひとつである。と、考察されていた記事を読んで、「それだ~~!」と思った記憶があります。
それこそ「バタフライエフェクト」である。と、たしかここまで考察されていた気がします。パピヨンのモチーフをここまで計算込みで採用してたら凄すぎるだろ…。
■ミリオンライブ!という集団の魅力とは?
第4話。
未来から、原っぱライブをやりたい!という、提示がまずあって。茜ちゃんが、伝達役として突っ走って。奈緒が、何でもアリのお祭りだと解釈して、そこから更に伝播していって……。各々で考えたり、相談したり、まずは手を動かしたり……。
集団のビジョンも明らかでない状態で、無秩序に歯車が回りだしてしまうシーン。
たとえば、これがASだったら、どこかのタイミングで律子なり、伊織なりが一度諌めて、そのうえで「じゃあこうしよう」となって走り出すと思います。
けれど、ミリオンライブ!の彼女らには関係値もなにもかもまだまだ足りないものばかり。
ドタバタが全員を巻き込む自体になってしまった、そんな状態での未来の想いの吐露。
足りないものだらけだけれど、まずは自分たちの手探りで、何かを作り出していこうという精神性。てづくりのぶどーかん。
今はまだバラバラで、意図せず悪い方向に回ってしまった歯車。
じゃあ、これが全員の息が揃って、良い方向に向けて走り出せたとしたら?その可能性の提示。プロデューサーが垣間見た、ミリオンスターズの百万の輝き。
すなわち、ひとつの明確な目標に向けて、各々が結合したときの爆発力。
そのUNION!!こそが、ミリオンライブ!の魅力。
そんな彼女たちのステージを見てくれ!と。
わずか4話でここまで提示しきったのは、素晴らしいことだと思います。
劇場がまだ完成してないんだ、と思ったのは私だけじゃないと思いますが、それすら伏線だった。
100%出来上がった、完成品のシアターにポンと放り込まれるのでは無く、工事現場まで丁寧に見せることで、ここから始まるんだという少しの不安と、ワクワク感と、手作り感を彼女たちと共有できる仕組み。
もちろん、原っぱにテントから始まった、グリマスへのリスペクトも込みで。凄くない?
■ミリアニのここが凄い、「とにかく具体的」
ミリアニの凄いところに、「初対面で生まれるであろう、関係性をとにかくリアルに落とし込んでるな」と思ったところも挙げておきます。
例として、ひとつあげるとすれば、第4話。
中谷育・周防桃子・大神環に寄り添う、「ひなた」の姿。
アイドルとして採用されたタイミングは、それぞれで違うという描写は、既にあったと思います(百合子が半年前~とか)。
それを差し引いても、じゃあ、仲間と初顔合わせだね、ってなったタイミングで、自然と固まるのって同じ年齢層の子たちだと思うんですよ。
TSV(注:所恵美・田中琴葉・島原エレナ)だったら、ミリオンライブが100万回やり直しても、100万回初対面で仲良くなってるだろうって簡単に想像できるじゃないですか。
戻って、いくももたまきの3人のコミュニティ。
そこに、パッと見て、すごく親しみやすい。まだアイドル然としていない、雰囲気の柔らかいひなたと仲良くなるだろうなというのが、めちゃくちゃ想像し易い。環と田舎のあるあるで盛り上がったりして、自然と打ち解けていくのが容易に想像できる。
桃子のシーンで、後ろから見守るひなたがとにかく印象的でしたが、そのタイミングでのひなたの立ち位置と表情!
あのワンシーンで、育環から、どうしたらいいんだろうと相談されて、自分の経験から真摯に答えたうえで、ふたりと一緒に桃子と向き合おうとするひなたの姿がパッと浮かんでくるんですよ。それも、自分が前に立つんじゃなくて!
そこまでのバックボーンを織り込んでいる(直接的な描写は一切無いのに!)からこそ、あのシーンでのひなたの表情から、生まれる説得力が半端じゃない。
もう一つ挙げるなら、第3話。
未来静香翼の案内を頼まれた、「百合子」。
3人と思いがけず初対面、となったとき。年齢もひとつ上で、3人より半年前に歩きだしている、百合子の立ち位置、心情。
部活の先輩後輩なのか、仕事仲間なのか、それとも単に友達として接するのか、なんというか、ティーンだから。というか。言葉にしづらい、お互いの立ち位置を見定める”間”みたいなものがあったと思うんですよ、あの一瞬で、絶対。
その点、昴は体育会系というか、団体のスポーツをやってるから、実力主義にも理解があるというか、男社会で育ってきているからというか、そもそも元からの性格というか。めちゃくちゃカラッっとしてる。
そういう意味では、昴は百合子の内面の機微みたいなのはぜんっぜんわかってない。もちろん、既に仲良くなってはいる。
だから、ただ直感的に百合子の違和感を嗅ぎ取って、あぁいうボディランゲージを取ったんだなと。(このあたりも永吉家で日常的に行われているコミュニーケーションの延長だと思うんですね。凄く家族的というか、昴のありのままって感じでめちゃくちゃ良い。)
そのうえで、「トシも大して変わんないじゃん、仲良くやってこうぜ」、って感じなんですよね。それも最高。
高校生の海美とすでにキャッチボールする仲なのも、最高。昴→海美はひとつ上だけど、この子らはカラダを動かすのが好きなタイプなのかなと、なんとなく見せられてるのもイイ。
戻って、百合子の心情を慮ったうえでの、徳川まつりの絶妙な役回り。
百合子の持っているアイドルへの憧れ。それは恐らく二人の間では、既に共有できているもの。
自然体の百合子が語るアイドルへの憧れ、魅力。それを初対面の三人が打ち解けたうえで、無理なく、提示できるように動く立ち回り。
屋上で、まつりが喋るでもなく、百合子に任せるところ。好きなもの、趣味が高じた百合子の表現力、言語力。これを、まつりが仲良くなっていく過程で、見抜いた上で強く共感していることの裏付けだと思います。息が漏れるね~~~。
(※22:50 百合子の言語化について、触れた感想を見て思わず追記)
■おわりに
以上です。もっとこう、初めて見るひとも安心!みたいな内容にしたかったんですが、パッションが勝りました。反省。
ここまで書いておいて、私がミリアニで見たかったものって、映像作品として見る、いわゆる「群像劇」だったんだな、と認識しました。
ミリシタのコミュも、現状は5人が限界ですし。別の子をピックアップするとなると時系列的にはどうしても後の話になってしまう。
スタマスみたいな形だと、むやみに人数ばかり多くても、一人ひとり一言喋って終わり…みたいな、テンポの悪さが否めないと感じたので、こういった制約を突破できること。
細かく視点を変えながら、ミリオンスターズのわちゃわちゃを描写できることが、ミリアニの唯一無二の強みなんだと強く思いました。
ミリアニの視点は信号機が主体となっていくのは、それはそうなんですが、幕間の断片だけでも感じられるような展開を、今後も期待してます。