25卒 国総受験記 官庁訪問準備編①
この受験記は、国総教養に受かってしまったしがない受験生の顛末を記したものです。練習のつもりで受けた1次試験を運で通過し、官僚になるための努力を突貫工事で行いました。官庁訪問には失敗しましたが、この半年は人生の中でもっとも深く濃い経験をしてきたので、受験記としてまとめておきます。
前回はこちら↓
合格発表
その日は、朝からうずうずして気持ちが悪かったです。2次試験終わりのときから不合格スタンスではいましたが、どこか引っかかってくれていたら、この先の試験勉強にも余裕を持って臨めるんだけどな……いう思いから期待感も高まっていました。
いざ10時。
人事院の合格発表サイトを開きました。
「東京」のページを下にスクロールしていきます。
自分の番号に近づいたところでストップさせ、
ピンチインして、
番号をひとつづつ絞っていきました。
………心臓の音が大きくなりました。
やばい。
この下に……
あるかどうか………。
叫びました。
さすがに声が出ました。
そして同時に、涙があふれてきました。
受かった…。
合格したんだ。
国総の勉強こそ、力を入れてやったわけではありません。そんな生意気なこと書くなと言われるかもしれません。
ただ私はこれまでの人生、いろいろなところで努力してきました。ガクチカが多いというのも前回話しましたが、決してガクチカのためにやったのではなく、人のため周りのために動くことが楽しかったからです。
そんな中でもつらいこと、理不尽なこと、心がやられることはたくさんありました。国総教養2次対策の時期も、サークル委員会の委員長として12月に行う各部会の予算折衝の準備、4月を見据えた引継ぎ準備など、数々の業務を並行して行ってきました。この仕事ぶりは今年限りのものでもありません。長年積み重ねてきたものです。
これまでの人生で頑張ってきたことを神様は見ています。だから私に、国家総合職の最終合格を与えてくれたのでしょう。
少しは夢を見させてあげよう。
お前の知らない世界を見てこい。
貴重な経験を味わってこい。
きっとお前はそれを楽しみ、成長の肥やしにするだろう。
神様の独り言にしてはしゃべりすぎかもしれませんが、そんなきっかけを与えてくれたのだと思います。
努力が報われたこと、
しみじみとよろこびを感じました。
官庁訪問の準備でやったこと
合格したからには、官庁訪問の内定を勝ち取りたい。
官僚として、霞が関で働きたい。
再び、ワンランク上の情報戦が決まりました。
ここから書くことが、私が「官僚になるために行った突貫工事」であり、皆さんにお伝えしたい「人生の中で元も深く濃い経験」の部分です。
工事は未完で、官庁訪問こそ失敗してしまいましたが、私のアピールポイントである行動力は生かすことができたと思います。来年の訪問を目指す方の参考となれば幸いです。
先に、こんなことをやってきたという概要を書いてから、日記形式で私の半年を振り返っていこうと思います。
①省庁のイベント出席
説明会・座談会・ワークショップ・個別相談… etc.
私は第一志望の省庁のイベントには、ほぼすべて出席しました。自宅から霞が関までは2時間程度かかりますが、それでも対面で行くのがよいだろうと考え、何度も通いました。1月から5月にかけて、各省庁は受験生との交流の機会をたくさん作ってくださいます。地方開催の座談会やオンライン出席が可能なイベントも多くありますので、ぜひ参加しましょう。
〈メリット〉
〇ずばり、政策の勉強になる
→まず各省庁がどのような政策を行っているかを熟知する必要がある。官庁訪問では政策についての知識は求められないと言われているが、前提となる政策知識はつけておきたい。どのような課題観から、どのような社会を構想し、その理想の実現のために何が必要で自分がどのように貢献したいかを語らなければならない。また印象に残った人の話があれば、官庁訪問で話せるように自分なりの解釈を取っておくとよいだろう。
〇キャリアプランの参考になる
→多くのイベントは、一人もしくは複数の現役職員を呼んで講義や懇談形式で行われる。年次も違えば、キャリアも違う。特に国家総合職は部局の移動や転勤も多いため、経験してきた仕事は職員によって十人十色だ。聞ける話も興味ある分野に限られないため、自身の職業観やキャリア形成を考える要素になる。
〇関係性や人脈を作れる
→人事関係の職員に顔を覚えてもらえれば、気軽に質問したり、アポを取ったり、面接でも話がしやすくなったりする。説明会で用意される「質疑応答」タイムで自己アピールすることも可能だ。また、イベントで会った学生を人脈づくりに使うこともできる。詳しくは⑤で後述するが、他の人と話したい、情報共有したい、という気持ちは誰もが持っているものだと思う。特に私は、周りに公務員(国家公務員、ましてや国家総合職)志望の人が全くいなかったため、何とか情報を仕入れて官庁訪問で生かせるようにしたいと考えていた。
〈経験談〉2つほど綴ります。
②予備校の活用
教養区分編②でもお伝えしたように、私は過去に学内講座を受講していたため、限定キャンペーンで予備校の国家総合職コースを無料受講できました。ここで活用したのが「カウンセリング」です。
〇講座のWebカウンセリング
→国葬コースの先生とマンツーマンでの面談を2回やりました。内容は、官庁訪問に向けた面接練習、志望動機の深堀り対策、悩み相談といったところです。今思うと面接練習については、よくあのレベルで行ったな、とさえ思います。なにせ突貫工事で国家総合職への適応を目指しているものですから(生意気なこと言ってすみません。)、国の課題も、自分が実現したいことも、その話し方語り方もすべてが
「「「「「甘い!!!」」」」
面接も元々ニガテ意識があったため緊張してうまくしゃべれないし、一回目の面談を終えた時には涙がこぼれましたね。国葬を目指す人は、こんなことたやすくできる人たちなので、初めから私の官僚適正は低かったと思います。ただ志望動機は、当初よりもグッと磨くことができました。強い気持ちで挑む姿勢は絶対に失さないようにしました。
〇校舎の担任カウンセリング
→教養区分の面接練習に引き続き、官庁訪問対策や志望動機のアウトプット練習に使いました。先生はとても親身になって話を聞いてくださるので、私も気持ちを落ち着かせることができました。
ただ面接練習のときは、かなり厳しいこと聞いてきます。よく言う「圧迫面接」は、単に回答する側の能力が低いから起こりうるものなのかな、とも思いました。この考えには必ずしもイエスとは言えないと思います。もちろんそれに回答できる能力を身につけたかったところです。対策としてはやはり「結論ファースト」「主張と根拠を長すぎずまとめる」ことですかね。
ただ政策論について語る国家総合職の官庁訪問面接は、正直太刀打ちできない人はできないです。政治や行政の動きについて普段からどれくらい自分の考えを持っているかどうかがバレます。だって、答えにくい難しい質問にはとってつけたような「ありきたり」回答を絞り出すしかなく、何の独創性も、議論の発展余地もないですよね。
これについては残念ながら、私の突貫工事の努力ではどうにもならない部分でした。。
③自主ゼミ
これも②の予備校活用の1つではありますが、5月半ば開始でもかなり充実した学びを吸収できたので別に書きます。
官庁訪問で同じ省庁を志望する学生同士で、オンラインの勉強会を開いていました。予備校がプラットフォームだけ用意してくれるので、あとはメンバーでグループを作り、日程や内容の調整をして勝手にやるだけです。
私は第1志望と第2志望の省庁のゼミに参加しました。どちらも週2.3回、各2時間程度でやっていました。内容はエントリーシートの見せ合い、白書の読み込み、面接練習等。本番が近づくにつれて少しは仲も深まっていたので、お互いの志望状況や雑談程度の悩み相談もしていました。どちらも人数は、リーダーと私含めて固定メンバーが4人、一部参加が2人くらいです。ゼミの開催頻度や人数は、正直参加する志望省庁のゼミ次第だと思います。
私はここで、国葬を志望する学生のレベルの高さを再び思い知らされました。
ただ、負けてられない。成長するんだ。
という気持ちで食らい付き、諦めることはしませんでした。
このころから、自分はとんでもなく貴重な経験をさせてもらっているんだと思うようになりました。
<経験談>
④大学キャリアセンターの活用
面接練習とOB訪問のために使いました。
〈面接練習〉
正直に申し上げると、大きな頼りにはなりません。私の大学のCS職員では、国総受験者に向けた指導はできないと思います。そもそも志望者・合格者も少ないですし、予備校から講師を呼んできているのもそういうことです。
ただ私は、志望動機等のアウトプット練習のために4回ほど個別相談を利用しました。これについては⑤でも書きますが、「なぜ私が○○省を志望しているのか。」が見えていなかった時期に、とにかく私の思いをスパーリングする機会が必要だと感じたからです。その点では、キャリアセンターはとりあえず私の思いを聞いてくれて、私に寄り添ったアドバイスをくれるのでとても助かりました。
ただ注意が必要なのが、担当する職員さんによって意見も違うということです。実際、アドバイスをもとにエントリーシートの志望動機を書き変えたところ、再度持っていったときは違う職員で、また違った角度の指摘をされました。書き直しの繰り返しで見えてきた骨格もありますが、四方八方からの三者三様アドバイスで迷走し、何度も悩まされたことは事実です。そのため、必ずしも肯定する必要はないと思います。いろいろなアドバイスを聞いて、これは妥当かなと感じたものだけ参考にしましょう。
〈OB訪問〉
4月、6月に一回ずつ同じ方にOB訪問しました。偶然にも私の大学から、御省の総合職で教養区分の方がいらっしゃり、自分でメール等やり取りして会わせていただきました。これはとてもやってよかったです。
実際私と同じような境遇で合格し、いま働いていらっしゃる方でした。当人の就活話や現職の裏話、働き方など、具体的なイメージを膨らませることができました。もちろん志望動機や政策議論、官庁訪問の振る舞い方についてもアドバイスをしてもらい、私の未熟さも認識しつつまだやれることはたくさんある、と奮起したのを覚えています。
自分の能力が不十分だと感じていたため4月までOB訪問をためらっていたのですが、逆にもっと早くやっておけばよかったです。どんな相談であったとしても、OBであれば親身になってアドバイスをしてくれるからです。OBとしては自分の卒業生が同じ職場に来てくれることが嬉しいほかないでしょう。
私は「教養区分に受かってしまった」ことも、「ワークショップで会った人たちがすごすぎる」ことも、「やっぱり高望みなのかも…」ということもすべて話しました。OBとしては私の就活をとても応援してくださり、官庁訪問で結果を残すことができたかったのが悔いですが、新たな人脈で新たな学びを得ることができたのはとてもよかったと思っています。
⑤人脈を駆使してアウトプット練習(⚠️1番大切にした)
大学や周りに仲間がいないからこそ、情報を求めてさまざま人や機会を頼りにしました。
私の課題は
「国家総合職としてやりたいことが明確でない」
「話すのが上手くない」の2点だと考えていたので、
まさにいろんな人と会ってアウトプットするのが大切だと感じました。実際に効果を振り返ってみても、脳内整理・メモ帳書き出し・話し方の鍛錬・情報共有・やる気の増幅・リフレッシュ・新たな発見・新たな人脈づくり…… 良いことしかなかったと思います。
1月から6月官庁訪問に至るまで、会った人をざっと思い返してもこんだけいます。もちろんそれぞれで大きな収穫を得て帰ってきました。官庁訪問後の今も、就活相談に乗ってもらっている人もいます。
〈経験談〉
パーソナルな部分にもなってしまうので詳しくは書きませんが、それぞれの人脈を使うに至った経緯やそこで感じたことをまとめておきます。
以上、私が官庁訪問のために相談した方々でした。
これだけの人に協力してもらって結果を出せなかったのは申し訳ない限りですが、国総教養合格からの半年で、官庁訪問でもなんとか通用するレベルにまで成長することができたのは自分でも誇るべきだと思っています。
その証拠として、官庁訪問第1クールでは2つの省庁からよい評価をもらっています。説明会や座談会でも印象に残るような質問・意見を提示することができました。
この成長経験こそが、私が就活を経て感じた大切な要素であり、ぜひnoteとして将来のために残しておきたいと思った1番の理由です。
もう8500字も書いているので、官庁訪問準備編①はここまでとします。大学のレポートでもこんな量書くことないのに、noteは筆が止まりません。また次回。