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インバウンドは日本経済をどこまで押し上げられるか

 日本の観光産業の消費額は28兆円と大きく、これは国内で5番目に大きな産業規模です。その中でインバウンドが占める割合はまだ17%程度であり、コロナ禍においては83%の日本人市場が観光産業を支えてくれました。
 インバウンド消費のGDP比率は2019年で2%にとどまっています。2023年は0.7%です。先進7か国(G7)平均の4%とは大きな差があります。それだけの伸び代があると解釈します。円安の追い風を受けて2024年1-3月期は過去最高を更新しました。これからまだまだ伸びる分野と考えられます。
 インバウンドによる消費支出は、観光業をはじめ、様々な業界で経済効果をもたらすことが期待できます。また、インバウンド増加には、地域活性化というメリットもあります。少子高齢化で過疎化する地方には地方創生の大きなきっかけを与えてくれるでしょう。
 インバウンドの効果は「旅行消費」にとどまらず、訪日観光がきっかけとなり、帰国後も越境電子商取引(越境EC)を通じて、日本製品を購買するなど「輸出」の増加にも寄与しています。酒や農産物の輸出のきっかけになるものであり、訪日観光での体験から一時的ではなく、持続的なビジネス機会につながるものです。中国語と英語は必須でネット販売できるように整備するのはもちろんのこと、訪日外国人に渡すチラシも準備しなければなりません。お土産屋さんに置くことも常識です。
 また、外国人観光客向けに新たな商品やサービスを開発することで、国内市場だけでなく海外市場への商品輸出拡大にもつながります。世界旅行ツーリズム協会(WTTC)の調査報告によると、2021年の旅行・観光産業の寄与額は、全世界のGDPの6.1%を占めます。これは前年比21.7%増の5兆8120億ドルに相当します。旅行・観光産業が世界のGDPに占める直接貢献の割合は3.2%ですが、間接的および誘発的な影響を含めると10.4%にもなります。
 国連世界観光機関(UNWTO)によると、地球上の経済活動の約1割を「旅」が担っています。2021年の日本の国際観光収入は47億ドルで世界29位(アジア6位)に位置しています。多いのは、中国、韓国、台湾など周辺国からの旅行客です。日本人は欧州に多く訪れますが、欧州からの日本に訪れる人は少ないです。
 観光魅力度ランキングでは、日本が1位、米国が2位、スペインが3位、フランスが4位となっています。また、2022年の「世界で最も魅力的な国」ランキングでは、日本が2位に選ばれています。世界では、日本に行きたい、日本で経験したいと思っている人が最も多いのです。これは最大のビジネスチャンスです。
 外国人から最も魅力的と映るにも関わらず、国際観光収入には見合ったものになっていない理由を考えると、まだまだ、外国人観光客向けに新たな商品やサービスを開発する余地が大きく、海外市場への商品輸出拡大にもつながる導線が足りないです。知恵を絞って外国人観光客を相手にした商売をすること、観光して終わりでなく訪日観光をきっかけに持続的な商売に結び付けることです。

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