見出し画像

新幹線整備計画は観光立国の重要なカギを握る

 北陸新幹線の営業区間は、東京~上越妙高がJR東日本、上越妙高~金沢がJR西日本の管轄です。東京を起点に、長野、上越、富山、金沢、福井まで北陸新幹線がつながっている現状では実質的に東日本からの乗客利用が中心でJR東日本の管轄になっていると言わざるを得ません。西日本からの乗客は依然、大阪または米原から特急利用で北陸へアクセスすることが続いており、西日本の人たちにとって北陸新幹線利用はまだ道遠しといったところです。
 北陸新幹線は1997年10月に高崎~長野間が開業することで最初は「長野新幹線」と呼ばれていました。2015年3月の金沢延伸により正式名称として「北陸新幹線」が使用されることになりました。東京~高崎間は上越新幹線と線路を共用し、2024年3月から東京~敦賀間を直通運転し、富山・石川・福井の北陸3県が新幹線でつながることになりました。
 北陸新幹線の構想は、新大阪まで延伸することで全線開業となるのですが、沿線となる予定の京都府内で住民の反対もあり、工事計画の認可に必要な環境影響評価が遅れています。このため、大阪延伸の詳細なルートや駅の位置はいまだに決まらず、着工の目途が立っていません。
 北陸新幹線は、東京を起点として、長野、上越、富山、金沢、福井等の主要都市を経由し、京都、大阪へ至る延長700kmの整備新幹線です。営業主体は東京~上越妙高間はJR東日本、上越妙高~新大阪間はJR西日本となり、同一路線名の新幹線が複数の鉄道会社によって運行される唯一の事例となります。
 整備新幹線とは、昭和45年の全国新幹線鉄道整備法に基づく昭和48年11月に決定された整備計画による整備が行われる5路線(北海道新幹線、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹線(鹿児島ルート)、九州新幹線(南九州ルート))です。
 全国新幹線鉄道整備法では、新幹線鉄道を「その主たる区間を列車が200キロメートル毎時以下の高速度で走行できる幹線鉄道」と定義し、同法は新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図ることにより、国民経済の発展、地域の活性化等に資することを目的としています。
 リニアモーターカーも遅れていますが、新幹線のプロジェクトは日本全体にとって重要なプロジェクトです。長らく停滞した経済を立て直すには、地方の優れたコンテンツを世界の人たちに触れてもらい、日本の観光資源のすばらしさをアピールする観光立国の実現が本命だと考えます。そのためには、外国人の新幹線乗車体験は非常に重要なカギを握ります。日本を安価に快適に旅行してもらうには、新幹線の利用が一番です。車を利用するより地球温暖化対策にも貢献します。手荷物置き場や座席も外国人観光客の利用も想定したデザインが必要と思います。
 政府予算に5路線の新幹線整備予算が盛り込まれていないのは残念で、2025年の大阪万博だけが開催されてもそれだけでは片手落ちと言わざるを得ないです。外国人観光客が日本を訪れた際、様々なところを訪れてもらうには新幹線の利用は欠かせないですし、消費金額を増やすには必須だと思うからです。現実に新幹線の施工上の問題による住民の反対運動など障害はあるものの国の積極的な関与と地方の首長も地元への丁寧な説明による政治的解決や民間の知恵をねん出することで何とか早期開通を実現させることで一刻も早く地方の地元経済ひいては日本全体の経済浮揚をとる方向に期待したいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?