国軍の内なる犠牲
国軍は部外者と取引をしません。軍に必要な物品の調達や建物の建設などすべて軍関係者にしか発注しません。
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米などの場合は軍出身者かその家族が落札して農家から買い付けて納入します。建設などの場合は国軍関係者が請け負って外部の業者を使って建築します。武器などの高額な取引は上層部の関係者だけの特権になります。
5月22日にミャンマー南の最大都市のダウェイ市第3高等学校の生物学の教師が自殺しました。教師は軍基地内の井戸で死亡し距離の近い人は自殺を試みたのは3回目だといいます。教師の夫は陸軍建設部隊の曹長です。
建設部隊は国軍の必要な設備の建築を行います。実際には外部業者に依頼することも多いです。前述の通り外部への依頼は仲介役が必要なのでその役割を曹長が担っていました。所属基地と地域の建設の案件は曹長の商流で請け負っていました。
軍人ならではのビジネス
この行為は表向きには禁止されていますが実際基地を管轄する将校との関係性で黙認されてることがあります。建築の事件費や材料費などは一度請負う側が建て替えて完成して基地管理者に承認されると国軍から費用が全額支払われます。国軍内部だけの取引で競争相手も少ないため利益率を高く見積もることが可能です。一方で完成しても基地管理者に承認されなければ支払われないという重大なリスクも伴います。
基地管理将校との関係性が生死を左右するハイリスク・ハイリターンのビジネスモデルになります。教師夫婦は歴代の基地管理将校とうまく付き合ってこのビジネスを続けてきました。おかげで財を築くことができ、ダウェイ市内の一等地で庭付き2階建ての住宅を建てられるまでになりました。
予測不能なリスク
2010年のある日教師夫婦に嵐が舞い込んで来たのです。基地管理将校が交代されてしまったのです。それが大規模建築案件納品の直前のできことでした。
後任の基地管理将校は案件の承認しませんでした。管轄を外れた前任の将校もどうにもできません。困ったことに大規模建設のため不足している資材費を借金で当ていたのです。借金返済のために金品を全部売って返済に当てても足りずダウェイ市内の新築した住宅も足を一方も踏み入れられずに手放すことになってしまいました。
それ以来、夫の曹長は酒を飲む量が増える一方で夫婦の仲が悪くなって行きました。教師はお金を稼ぐためにギャンブルに手を出してしまいます。日本でいうナンバーズのような違法の宝くじに残りの資金を投入してしまったのです。
借金に耐えられない教師は自殺を試みます。1回目は睡眠剤を大量に飲み、2回目は川へ飛降りました。3回目の基地内の井戸で自殺が成功してしまったのです。教師夫婦には中学2年制の娘が一人います。教師は無料で貧困家庭の学生のために無料の塾を開講するなどをして地域では評判は良かっただけに残念で仕方ありません。
幻の予算
2019年度の国軍の予算はミャンマーのGDPの2.7%に当たる22億ドルになります。予算の使用用途は公開されていません。第三者機関に調査されるのを拒否できると2008年憲法で定めているのです。予算を搬出した記録以外何も残らない、まさに幻の予算なのです。予算の大分は上層部腐敗で横領されていることは知られています。
国軍上層部の腐敗が深刻なだけに下級兵士の腐敗を阻止することもできないので負のスパイラルが起きていたのです。教師はその体制の餌食になっただけなのです。国軍へ入隊しコネを作ってビジネスにつなげる目的で入隊する人は少なくないのです。
下級兵士と公務員の稼ぎ方
生活に苦しい下級兵士や公務員は様々な形で資金を得ようとします。国境に近いブラックな地域では麻薬、宝石、木材の密売やカジノの警備、人身売買に加担することも珍しくないです。海軍や空軍では燃料を横領して売り捌いたり、刑務所では設備費用の請求を水増しするのは当たり前になっています。
軍事関係以外では税務署の腐敗が一番深刻になります。入国管理局や移民署では追加手数料を支払わないと手続きに膨大な時間がかかります。また不法移民から金銭を受け取って入国させることもあります。
警察は地元のギャングと組んで賭博場や小規模の麻薬業者からは上納金や賄賂を受け取って黙認します。交通事故が起きた場合は当事者間で和解が成立しても警察に賄賂を支払わないと手続きが終了できません。
これらは表に出ているごく僅かな情報でしかないです。現在は警察と国軍兵士が公に殺人と略奪を行っています。国民のためはもちろん国軍関係者のために国軍の解体は必要不可欠なのは間違いありません。
支援募金
下記のページでミャンマーの戦争難民への支援金を募金しています。
6月1日時点で国軍の武力弾圧によって830名を超えるの罪のない市民が命を落としました。また戦争避難民は数十万人を超えています。難民は寝る場所と食料が確保できていない為飢餓に直面しています。
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