【スタマイ】関大輔本編1章を三幕構成で分析

ストーリーには構成があります。馴染みがあるものでは起承転結が有名ではないでしょうか?今回は起承転結ではなく三幕構成というストーリーの構成をベースにして関本編について考えていきたいと思います。
メインストーリーを分析するときには起承転結を使っているのに、なぜ今回は三幕構成なのかといいますと、個別本編は連載型ではなくて映画のような完結型だからです。特にドラマトで本編が存在するキャラに関してはその傾向が顕著です。三幕構成はもともと映画の脚本に使用されている考え方なので、個別本編を読み解くには三幕構成の方が相応しいと考えています。
また、どうして関の本編なのかといいますと、関本編は他の本編と比較してメッセージ性やテーマ性が強くて物語として非常によくできていると感じているからです。

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さて、colyの回し者みたいな宣伝をしていますが全くの無関係なので、さっそく本題に入っていきましょう。

三幕構成とは

軽く三幕構成について説明します。

三幕構成は
・第一幕(設定)
・第二幕(対立)
・第三幕(解決)
の三幕から成る構成のことです。

もっと細かくすると
1.オープニング
1.セットアップ
1.インサイティングインシデント
1.セントラルクエスチョン
1.日常(主人公の掘り下げ)
1.日常(プロットポイント1につながる)
プロットポイント1
2.ピンチ1
2.ミッドポイント
2.ピンチ2
プロットポイント2
3.クライマックス
3.エンディング
といったところでしょうか。
※頭の数字はどの幕に属しているかを表しています。

セントラルクエスチョンとは主人公がこの物語の中で解決しなければならない目的を指します。
インサイティングインシデントとはセントラルクエスチョンにつながる事件のことです。
プロットポイントは物語を変化させる出来事であり、派手で分かりやすい場合もあれば静かで些細なものの場合もあります。
ピンチは『危機』というよりは『重要な出来事』という意味で使っています。ピンチは第二幕における重要な出来事です。
ミッドポイントは全体の半分、第二幕の真ん中で起こると言われているイベントです。

関本編の構成

物語は複数のプロットが存在し、影響し合うことで作られているものがほとんどです。
関本編ではどのようなプロットが存在しているかというと、
・事件
・玲の成長
・玲と関の関係
・関の変化
この四つでしょうか。四つ目の『関の変化』は『玲と関の関係』に内包されています。

この中でどれがメインプロットになっているのか、ということを考えていきます。
前提として、スタマイにしてもドラマトにしても恋愛に軸足を置いたコンテンツなんですよ。そう考えると玲と関の恋愛がメインであると言えると思います。では、『玲と関の関係』がメインプロットでしょうか?しかしそれにしてはあまりにも関係が進むのが遅いんです。玲と関が何かしら特別な関係性を帯びてくるのは、玲が夜回りに付いて行けるようになってからです。それはつまり、玲と関の関係に変化が出てくるのは第二幕から、ということになります。
三幕構成では第二幕からサブプロットとして恋愛の話が出てくるとされています。『玲と関の関係』はそのサブプロットに該当していると考えられます。
あとは『事件』か『玲の成長』のどちらかになります。『玲の成長』は確かにありますが、この関本編だけで結末を迎える話ではないんです。となると、関本編の物語のきっかけとなり最後は黒幕の逮捕で終わる『事件』がメインプロットと呼べそうです。
『事件』がメインプロットですが他のプロットも強く絡んでいます。

インサイティングインシデントはコントロールドデリバリーで岡村を逮捕するところです。この事件をきっかけに玲はマトリとして成長したいと強く思うようになります。これがセントラルクエスチョンになっています。
『玲はマトリとして成長できたかどうか』という問いの答えが第三幕で示されることになります。メインプロットとセントラルクエスチョンが違うプロットですが、最終的に絡んできます。
プロットポイント1に当たるのは、玲が関の夜回りに付いて行けるようになるところでしょう。夜回りに付いて行くことでストーリーが進みます。
夜回りで久保田が薬物を摂取させられるという事件に遭遇します。これがピンチ1に該当するものと思われます。
ミッドポイントに当たるのがリクのオーバードーズであり、ここで玲が落ち込みます。
三幕構成では一般的に、第二幕の後半は大変な出来事に見舞われるものだと思いますが、関本編では恋愛の方にストーリーが向くのでかなりほのぼのとしています。関と祭に行って過去の話を聞くのがピンチ2に該当します。
そして関と少し距離ができている間に穐山が近づいてきて、玲が拉致されるところがプロットポイント2ですね。
拉致された玲がハヤトを救出しようと行動するところがセントラルクエスチョンに対する答えです。恋愛もののコンテンツですので最終的には関が助けに入りますが、それまでの対応が『玲の成長』と言えます。
すべての問題が解決してエンディングです。

リクのオーバードーズの話だけが本筋の事件と一切関わりないのが気になりますが、リクの話が玲の成長に影響を与えていたり、関が過去の話をするきっかけとなったりしているので、メインプロット以外には結構重要な要素になっています。
セントラルクエスチョンである『玲はマトリとして成長できたかどうか』は第三幕以外でもストーリー上のいたるところに散りばめられていて、玲はずっとこの目標について考えて行動していました。
関は玲に刺激を受けることで、今まで揺るがなかった価値観を見直すことになります。玲に対しても兄に対しても、自分の生き方に対しても向き合い方を変えることになりました。

テーマ性

関本編のテーマを一言で表現すると『再起』です。
薬物に手を出してしまったリク、自分の意思とは関係なく薬物を摂取させられてしまった久保田、汚名を着せられた小川の家族がもう一度人生を歩み直します。
関も薬物によって身近な人を亡くし、幸せになることを放棄していました。しかし玲に影響を受けて、自分の人生を幸せに生きていく決意をしました。

メッセージ性

関本編が特に優れていると感じるのはこのメッセージ性です。
マリファナの踏み石理論、安易に薬物に手を出すとその依存性からやめられなくなる、オーバードーズによる死の危険等の薬物の危険性を発信しているところがまず一点。
そして、薬物を摂取したとしても適切な治療を受ければ社会復帰できるというところが二点目。
この両方の内容が一つの物語に入っている点が素晴らしいですね。

まとめ

複数のプロットがよく絡んでいて読み応えのある物語だと思います。プロット同士が影響し合っていて、読んでいて飽きがきません。
オープニングで関が言っていた言葉の意味が物語の後半で理解できるようになっていたり、関が終盤に兄を受け入れるところも非行少年と長年向き合ってきたことがベースになっていたりと、伏線の張り方が自然で受け入れやすくなっていると感じました。

参考サイト

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B9%95%E6%A7%8B%E6%88%90
http://watersky.jp/memo/wiki.cgi?page=%CA%A3%BF%F4%A4%CE%A5%B9%A5%C8%A1%BC%A5%EA%A1%BC%A4%AC%C6%B1%BB%FE%BF%CA%B9%D4%A4%B9%A4%EB
http://www.kaminotane.com/2020/02/28/8905/

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