『賢い医師生活2』Ep6ー泣いたっていい。医者だって人だもの
インターンがやってくる3月。
ソンファのスプリングコートの色も軽やかに、季節は春を迎える。
さて、Ep6のテーマは二つ。
■「新人」と失敗。そして成長について
■医師が感情を表現すること
これらについて感想を。
1.「新人」と失敗。そして成長について
Ep6ではインターン、ホンドとユンボク、フェローになったギョウルのちょっとした失敗談が描かれる。
インターンたちの失敗はそれこそかわいいミスで、将来笑い話になる類のもの。でも本人たちにとって、それは恥ずかしいだけでなく自分の未熟さを痛感するなかなか辛い経験でもある。
ホンドの「リチャードソン アウト」やユンボクの「鼻チューブをの抜き忘れ」はまさにそれ。
彼らは医師を目指すくらいだから、そもそも優秀な人たちなのだろうし、それまでの人生では成功体験の方が多かったのではないかと想像する。
それが、医師=プロフェッショナルの集団に放り込まれた瞬間、緊張も相まり奇想天外なミスをしてしまう。
でも、実はこの失敗のひとつひとつが財産となる(そう思えるのはずっと後になってからのことだけど)。
誰もが一度は経験する「新人」というポジションだけど、ここでどれだけ失敗できるかが今後の成長の鍵になるのだ。
もちろん、医師の仕事は人命が関わるがゆえに失敗は許されない。だからこそ、新人にはレジデント・フェロー・教授がついているわけで。
たとえば、ユンボクのミスを「教え方が悪くてすみませんでした…」と患者に謝るギョウルの言葉がそれを表している。インターンは「実践から学ぶ」という極めて有益な機会を提供されているのだ。
そして大切なのは「失敗」の後。
失敗の大小に関わらず、その原因について反省し、二度と同じ間違いはすまいと心に刻む。これが成長につながる。「失敗を繰り返さないための模索」こそが重要。
確かに、失敗の数だけ凹むけど、それと同じ分だけ精神力も鍛えられる。
それに、見守ってくれる人がいる新人という立場はある意味チャンス。新人のうちは要領よくやり過ごすより、愚直に多くのことを学んだ方が絶対お得なのだ。
一方、ギョウルがフェローとしての初挑戦(手術)で、自分の実力ではどうにもならなかったことで落ち込む場面がある。
イクジュンはギョウルにチャンスを与えたが、彼女はそれを成功体験に結びつけることができなかった。
これはいわゆる失敗ではないけれど、彼女にとって絶対的に良き経験にはるはず。
なぜなら、何事もイクジュンが言う通り「経積成」なのだ。
経験を積めば成功につながる。そして、それには時間が必要ということ。
立場や役職が変わっても急に実力が備わるわけではない。
一歩、一歩、前に進むしかない。
2.医師が感情を表現すること
医療ドラマでよく見られる医師や看護師の葛藤に「人の死に慣れてしまった自分への嫌悪感」というのがある。確かに、人の死が隣り合わせの職業だけに、その度に感情的になっていたら身がもたない。だから自分の精神安定のためにも患者の死を冷静に受け止め、自分の感情に蓋をする。やがて患者の死に慣れていき、嫌気がさすというパターン。
一方、「賢い医師生活2」では、その逆をいく。
「医師であろうと、人が死ぬ度に感情が揺らぐ」というスタンスを貫く。
それは医師は医師である前に、人であるということを描くため。
感情に左右される「人」が最善をすくすことで成り立っているのが病院なのだ。
実際のところ、自身が「最善をつくした」患者の死は、医師にとっても辛いこと。
医療の限界や自分の無力さに絶望することもあるだろう。
だからこそ、自分の気持ちに蓋をしてはいけないのだと思う。
悲しみをリリースしなければ、心の中で何かが壊れてしまう。
医師には常に冷静であって欲しいと願う患者は多いだろうけど、だからといって感情を表現して欲しくないというワケではないはず。
ソッキョンが言うように、AIじゃないんだから。
そして大切なことは、ジュンワンがレジデントのチャンミンに言ったことばに集約されている。
泣くのはかまわない 泣くのは自然な感情だ
ただし、感情とやるべきことは分けないと
それを判断するのも医者の仕事だ
ジュンワン自身、初めての死亡宣告で、トイレでひとり号泣した経験を持つ。
外面クールで内面人情の塊、ジュンワンらしいエピソード。(だから好きなのだよ、ジュンワン。。)
かつて新人だったジュンワンは、患者を亡くした息子を前に心を掻き乱された。
死んだ患者は自分の父親と変わらない年齢で、息子は自分と同世代。
人が一番感情移入するのは自分と置き換えられる時だ。
共通点が多ければ多いほど痛みがわかる。
結果として、そんなジュンワンの共感力こそが、患者からの信頼を得ることにつながっていくのだとも思う。
とにかく、泣いたっていい。医者だって人間だもの。
3.今週のジュンワン ー寂しき中年男の姿がせつない
ジュンワンが一人でご飯を食べるシーンを見るだけで胸がいたくなる私。イクスンと別れてから1年以上が経ってもジュンワンの表情は暗いままだし、独り身が切ない中年男な姿が痛ましき。。
おまけに、ジュンワンがイクジュンとソンファの前で漏らした本音のせつないことよ。。
彼女を忘れられないんだ
毎日思い出す 寝る時も 歩いてる時も
うまいものを食う時も
早くイクスンと再会させてあげて(お願い…)。
それに、ジョンウォンがギョウルと結婚したら、ジュンワンは必然的に一人暮らし。仕方ないけどそれは辛いよね(わかるよ)。
と、心の中で呟きながら鑑賞したEp6。
失恋を引きずる男ジュンワンが、イクスンと付き合い始めた頃の、ときめく笑顔を見せる日は訪れるのだろうか。いや、どうか早く訪れてくれ。
そしてEp6でも、ユルジェ病院での日常が淡々と描かれる。
それは医師たちの日常であり、患者たちの日常だ。
今回は5人のストーリーに進展がなくてちょっと寂しかったかな。
個人的にはロサとジョンスの「賢い老後生活」が結構好きで、友人関係のまま時間を重ねた二人の関係性にすごく憧れるのであった。
トップ画像:tvN「賢い医師生活」公式サイトより引用
http://program.tving.com/tvn/doctorlife2