『賢い医師生活2』Ep8 - 動き始めた5人それぞれの物語
エピソード8は冒頭からいつもと雰囲気が違う。
暗い表情でお酒を飲むジェンウォンとジュンワン。
各々好きな人のことで気分が落ちている。
そんな二人のため息から始まったエピソード8、中盤静かだったシーズン2がラストに向けていよいよ動き出した感がある。
泣きどころ多し&がっつり癒され、見応えあるエピソード8について感想を。
1.親という存在 - そして、親と子それぞれの想い
エピソード8の主役の一人は、自身の認知症の疑うジェンウォンの母ロサ。
可愛がっていた姪の結婚式を忘れたり、家の鍵の暗証番号を思い出せない自分にショックを受ける。
それにしても、記憶を無くしていくということはどんなに怖いことか。
生きてきた証である「記憶」は本人だけのものではなく、周囲の人々と共有しているもの。それを徐々に失っていくという現実は、本人はもちろん、そばにいる家族にとっても悲しいことだ。
が、検査の結果、ロサは認知症ではなく、水頭症と診断された。
認知症を覚悟をしていたロサが安堵の涙を見せた時、彼女の感情の動きが手にとるように伝わってきて、思わず号泣してしまった。
そして、ジェンウォン。
毎週ロサと会っていながら、また、医者でありながら、母親の病気に気が付かなかった自分を責める。心優しい彼にとっては心臓をえぐられるような出来事だったのではないかしら。
そして、そんな想いをしたのはジェンウォンだけではない。
母親がパーキンソン病だったと知ったソンファもまた、母の変化に気がつかなかったこと、そして日頃から母親の話をまとも聞いてやることもせず、適当にあしらっていたことを後悔する。ジェンウォンと同様、「娘が医者なのに」という思いと共に。
そう言えば、前回もソンファが母親に冷たくあたる場面があった。
肉親である母親に対しそっけないの態度をとることはよくあることだと思ったし、ある意味、ソンファの人間らしさが垣間見れたような気がしていた。しかし一方で、胸がキュッと締め付けられるような気分になったのも事実。
と言うのも、ソンファの母親に対する態度は、まるで自分を見ているようだったから。実際のところ、母親に仕事のことを聞かれるとイライラする私。なぜかわからないけど、イヤなのだ。他の人に言われても適当に受け流せるようなことが、母親から言われるとそうはならない。
それはなぜなのか。
たぶん、親は何があっつも自分に寄り添ってくれる存在だと思い込んでいるから。なので、つい感情を隠さず接してしまう。つまりは安心しているのだ。要は甘え。また、こちらは自立した大人なのだからほっておいてほしいという気持ちもある。
とは言え、親は私よりも先に年老いていくし、衰えていく。それを客観的事実として理解していても、母親に優しくできない自分がいる。
話をソンファに戻す。
母親に「私の心配はしなくていいから仕事をして」と言われ、涙するソンファ。
彼女の心に渦巻く感情はどんなものだっただろう。
自分の今までの態度を後悔するのはもちろんだか、何より、母親との関係が別のフェーズに入ったことを悟り複雑な気持ちになったのではないか。
悲しいことに、親はいつまでもかつての元気な親のままではないのだ。
さて、エピソード8では、年老いた親の病気に直面する患者の家族が登場する。
手術を望む親と難色を示す子供など、命が関わる問題だけに、それぞれの感情や考えが交錯する。でも、結局のところ親の人生を決めるのは親自身。
子供はそのサポーターに過ぎない。
それを表すのがロサがジェンウォンに行った言葉。
ある日 たった一本の電話で180度変わるのが人生よ
明日のことは誰にもわからない
だから その度にあんまり心配しないで
「私のことより自分のことに集中しなさい」という、母親として子供を気遣う言葉この言葉(これはソンファの母も)。
そこには「どんな病気になろうとも、自分の人生だと受け止める」という覚悟を感じる。当たり前だけど、自分の人生を決めるのは自分自身。
それに対し、息子のジェンウォンは言う。
母さんには好き勝手に生きてほしい
僕たちの心配は もう しなくていい
病気になったらなどど悩まないで 自分のことだけ考えて
母の想い、そして子供の想い。
その両方がそれぞれが優しく交差する、素敵な、そしてせつなさを伴う深いエピソードだった。
年老いた親がいる身としては人ごとではなかったな。ジェンウォンやソンファの気持ちが痛いほど伝わり、心に染みた。
2.「想う人」がいる幸せ、あるいは苦しさについて
「想う人」がいることで幸せな人がいる。
まずは、ミナ。
素直な彼女は何事にも一生懸命。
後輩の面倒もよく見るし、自分も成長しようと頑張っている。
そんなミナを、ソッキョンは暖かく見守っている。
確かに、胃痙攣を起こしたミナを見舞った彼の気持ちは「かわいい部下の心配」の域を出ていないかもしれない。
でも、見舞いが嬉しくて泣き出すミナを慰めるべく、(彼女の頭ではなく)枕を撫で撫でしながら戸惑うソッキョンの心情にも、変化の時が訪れていると感じる。
ところで、ミナがぬいぐるみ相手に「あと1回告白するチャンスが残ってる」と言っていたけど、5回のうち4回も告白したっけか?と、記憶を辿ったが思い出せず。今度、過去エピソードを確認してみよう。
ともあれ、ミナにとってはソッキョンのそばで仕事ができること、そして彼を想うことこそが「幸せ」なのだ。
(にしても、ぬいぐるみに話しかけたり当たったりするミナが愛おしい。。)
そしてイクジュン。
母親の病気のことで参っているソンファを気遣う彼は素敵すぎる。
いつもふざけたことばかりしているのに、いざと言う時には頼りになる。
絶妙な距離間を保ちつつソンファを見守り支えられるのは彼だからこそ。
そんなイクジュンの存在は、ソンファの精神の安定に貢献している。
そしてそれはイクジュン自身のためでもある。なぜなら、ソンファに尽くすことがイクジュンにとっての「幸せ」だから。
彼は「彼女を支えることができる自分」をきっと肯定的に捉えているだろうし、一方で、支えられているソンファも彼がいることで救われている。
まさしくWin-Winな二人。
その一方で、「想う人」がいることによって苦しむ人もいる。
それはジュンワン。
エピソード8では遂に、ジュンワンとイクスンが再会を果たす。
偶然同じバスに乗り合わせたのだ。
その衝撃の場面の続きはエピソード9に持ち越されたけど、ジュンワンの幸せを願う私としては、とりあえず二人の再会にホッとする。
とは言え、イクジュンが見たイクスンの携帯の内容は明かされずじまいだったのが気になるけど。。
そして、ジェンウォンとギョウル。
ギョウルの家庭の事情はエピソード5で仄めかされていたけど、彼女はそれをまだジェンウォンに話せないでいる。
一方、ギョウルのことが心配でたまらないジェンウォンは、頼りきってくれない彼女に一抹の寂しさを感じているように見える。
とは言え、ジェンウォンだって自分の母親の病気をギョウルに言えずにいた。
お互いを想うが故の、そして優しさ故の遠慮。
小さなすれ違いが時に大きな隙間風になってしまわないように、二人にはずっと手を握っていてほしい。
エレベーターの中でそうしていたように。
3. エピソード8は癒し場面の宝庫だった
エピソード8では、ロサの幼馴染でユルジェ病院理事長のジョンスの活躍が素晴らしく。
仕事よりもロサの体調を優先したり、認知症を疑う彼女を気遣う思いやりにホッとするというか、見ているこちらが優しい気持ちになるのだ。
たとえば、物忘れが激しくなって落ち込んでいるロサに、昔夢中になっていたこと(音楽)を再開したらどうかと薦める。
が、ロサは歳を理由に気の無い返事。
でも、ジョンスは諦めずにこう言う。
何でも今が始めどきだ
結果、手術を無事に終えたロサは、ジョンスの言葉を行動に移す。
同じ時代を生きてきたからこそ、理解し合い支え合える幼なじみ同士。
二人の関係は本当に理想的だと思うと同時に、「賢い老後生活」を送る彼らに癒されるのであった。
そして!今週はありましたよ。
おまちかねの99s 5人の食事シーン。それも2回も。
まずは、トッポギランチ@病院。
にしても、あのテイクアウト用トッポギの器の大きさに驚く。
コロナが落ち着いたら韓国に行って、一度アレをオーダーしてみたい。。
そして、焼肉会。
食いしん坊2人が肉が焼き上がる様子を凝視する表情を見て、「その顔が見たかった!」とほくそ笑む私。
ジュンワンとソンファの食べ物に対する執念が好き。
もうひとつ、ジュンワンのお菓子を勝手に食べるイクジュンと、それを許せないジュンワンの取っ組み合い。これも「待ってました」な場面。
イクジュンはともかく、日頃冷静なジュンワンがムキになる、そのギャップが可笑しみあって良いのだ。そして、この喧嘩は彼らの仲の良さの象徴でもあり、つまりは視聴者にとって癒しになっている。
最後に今週の発見を。
それは、イクジュン家の食卓での出来事。
イクスンがゆで卵をテーブルで転がして殻をむくシーンがそれ。
これを見て真っ先に思い浮かんだのは、「愛の不時着」のユン・セリの卵の殻むき。彼女も、平壌に向かう電車の中で、テーブルにズルズルズルと卵を転がし殻をむいていた。
初めてみた時はその斬新さに見入ってしまったけど、これってもしかして普通の卵の殻のむき方なの?
ともあれ、久々のゆで卵殻むき on テーブに、意味なく嬉しくなる私なのであった。
トップ画像:tvN「賢い医師生活2」公式サイトより引用
http://program.tving.com/tvn/doctorlife2
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