【ネタバレ有】「ルックバック」(漫画のみ)感想

映画の方はまだ見てないけど、漫画はやっと読みました。

京本の⚪︎に対して、藤野が自責の念を感じるところ、他の人のレビューで「それは別に彼女のせいじゃないのでは」ってあって私もそうだと思いつつ、でもこの、自分の過去の言動ひとつが相手の運命を決めたと思い込めるほどに相手との絆が深い裏返しでもあるという、そういう濃い出会いは10代ならではで、だからこそ独りよがり、勘違いとも言える程の感情を抱いたりする、ある種ナルシズム的な感傷が最高に青春だし泣けた。

あと個人的に気になってレビュー漁ってるけどまだ同意見に出逢ってないのが、自責の念はどの行為に対してなのか?自分の描いた漫画が相手の目に留まったことがきっかけで外に連れ出したこと自体?それとも漫画の内容が相手を傷つける内容だったこと?或いは両方?(京本は気にしてる素振りを少なくとも表には出してないから、後者の可能性は低いのか?)

っていうのと、

後半、落ち込んだ藤野がイフを妄想し、その中で京本が「自分を犯人から救ってくれた藤野の背中も傷付いている」漫画を描いてくれたという部分
あれ私は、もう本人から気持ちを聞くことが出来ないけど京本は藤野を恨んだりしてない、寧ろ気丈な姿の中に、密かに負っている傷を私はわかっているよ、という意趣返しを妄想の中でとはいえ受け取った、と解釈したんだけど同意見に出逢ってないので合っているのかなぁと

そこら辺が気になってますw

だけど、レビューで鋭いな、と思ったのは、藤野は京本に対し対等ではなく主従のように接し、そこから独立を京本が求めたから二人は別れた、とあって、なるほどと。ある意味、健全ではない関係だったとも言えるのかこれはw だからこの関係に依存していたのは、単に仲の良い友達を失った悲しみという以上に、自分のせいでこうなった、という思いに囚われた藤野の方だったのか、とも思えた。

私の読解力というか、絵から受け取る力が乏しくてわかりにくかったのは、ラスト、上を見よう、前へ進もう、と腕を上げてるのかと思いきや、窓に4コマを貼ってたんですねあれwわかりにくいよ!wラストの引きゴマの前に、貼られてる4コマのアップのコマが欲しかったw

あとは、漫画なんて描くもんじゃない、読む方がいいよね、と言う藤野に「じゃあ何で描くの?」と京本の問いの後、セリフ無しで、藤野の漫画を読んだ京本の満面の笑みがあって、あれがアンサーっていうのもレビュー見てなるほど!となった。確かに、見えない不特定多数のために、というより、身近な喜んでくれる人のために、っていうそれも凄く納得。

京本の名前はやっぱり例の事件を意識して、のことなんでしょうか。そして犯人のセリフが一度修正されたというのも初めて知ったのだけど、少し修正したとて、あの事件を彷彿とさせる効果はあまり変わらなかったのではと思えた。そのメッセージ性こそが本作の力のひとつでもあるし、でも細かい部分で少しでも被らないように配慮してほしい(?)という読者層は非常にセンシティブに、情報から想起する感情が様々に渦巻くのだろう、と思った。それがこのようなネガティブな方向(修正しろ!)ではなく、良い方向に活かされるくらいには心身に余裕を持てる社会になって欲しいな、とも思う、、今の日本では、絶望的になりつつあるのが、非常に残念だけれども。

一部、批判?みたいな書き方になったけどまじで私の読解力が乏しいだけです。
絶賛されるのはぐぅわかる!私も絵だけで伝えられるような表現力を身に付けたい!と思えました。

藤野も京本も、バクマン。の二人みたいにどちらも常人離れした才能の塊で、そんな人たちの物語を見せつけられても「それになれなかった自分」を見出してしまって辛い、という意見も確かどこかで読んだ、なので私もそういう感情に押し潰されるかと思ったけど、意外にも、そこよりも藤野の心情描写の豊かさに圧倒されたので多分この物語は、キャラの才能を見せ付けるのではなく、才能ある人が抱く人間らしい情念、後悔の念、を余すことなく表現することに成功しているのだと思いました。

そういえば、髪型が後半、逆になってるから、ほくろで辛うじて見分けがつく訳だけど、あれも互いが互いに対して憧れた、っていうメタファだよね?

以上、素晴らしい短編に出会えて良かったです。

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