司法試験R6合格失敗記
概要
前回の不合格体験記は、かなり好評でした。この場を借りて閲覧していただいた皆様にはお礼申し上げます。また、無事にリベンジに成功しアッチ側に立つことができました。やっと人生が進み始めました。
合格後にDMや友人からの要望、お世話になった方々から後進の育成を頼まれました。また、 ローから合格体験記の作成を命じられました。どうせ合格について書かなければいけないのなら、noteにも書こうと思い、記事を作成しようと思いました。
僕は合格体験記についてあまり良い印象がありません。何故かというと少なからず合格に酔いしれて嘘や誇張表現が入るからです。これは多くの人が悪気なく無自覚にしてしまっているものです。また、合格体験記はあまりにも巷に溢れ過ぎていて大して成績も良くないであろう僕が書いても役に立つとは思えません。そのため、合格失敗記を書くことにしました。成功体験は美化される傾向にあります。一方、失敗については美化するも糞もありません。結果オーライではなくこれは完全に駄目だったというものを中心に書けばできる限りリベンジャーズの合格の実態に触れれると思いました。
内容としては、僕が当時設定したリベンジ計画の段階ごとに書いていこうと思います。具体的には①リハビリ②過去問&答練③模試④調整⑤リハーサルの5段階を設定していました。
第一段階 リハビリ期
この段階は11〜12月です。成績通知前は前回の記事に書いた通り民訴のロープラ、成績通知後は刑訴・知財のリハビリをすることになりました。
民訴については令和5年の民訴が難し過ぎたからです。違法収集証拠なんて何も分からんし成績を見るまでもなく民訴の対策が必須でした。また、令和5年出題の違法収集証拠がロープラに載っていました。そのため、令和6年の司法試験でもロープラから出てくる可能性が高いと思い民訴のロープラに取り組むことにしました(実際に出てきました)。具体的には、民訴のロープラに目を通していき、TA(司法試験合格者)の酵母菌君に答案作成した方がいい問題をピックアップしてもらいました。その上で、答案を作成しTAの人たちに答案を見てもらいました。
刑訴・知財については成績が悪かったからです。刑訴についてはエクササイズ刑事訴訟法を使用しました。知財については辰巳出版の趣旨規範を使用しました。
ここで、最大の失敗だったのは成績通知前の民訴の勉強です。僕の添削をしてくれたMさんの民訴がまさかのEだったのです。僕がCだったので、僕は僕未満の人に添削を受けていたことになります。そうすると、添削は当てになりませんから時間と労力の無駄です。誤解してほしくないのはMさんを責める気はありません。Mさんはあまり民事系が得意でありませんでした。なのにMさんは優しい方なので添削を頼まれたら断りきれず僕の添削を請け負ってしまったのです。その結果、誰も幸せにならない事態を招いてしまいました。Mさんは責任を感じてその後の添削をしぶりかねない状況でした(以降はなんとか刑事系・公法系だけ添削をしてくれました)。
つまり、僕はリベンジ開始わずか2週間で優秀な添削者を失うところだったのです。ここから得られる教訓としては、添削を頼む時はその科目が得意科目の人に頼みましょう。リベンジャーズからしたら合格者は神のように思えます。しかし、当然ですが神ではないので苦手科目があります。見誤らないようにしましょう。とくに成績通知前は注意です。
第二段階 過去問&答練期
この段階は1月〜3月です。僕は、伊藤塾のペースメーカー答練を取っていました。そのため、この答練をペースメーカーにして答練の科目に合わせて過去問も作成していました。週7日間のうち1日を答練作成・3日を過去問作成・2日を復習・1日を論証というようにして取り組んでいました。そのため、週に5通〜6通をフルで作成していたことになります。
ここの失敗は、僕が添削者のレベルに合わせた対応をしなかったことです。あくまで個人的な経験則ですが①500番以内②500-1000番③1000番以降で添削のレベルが違ってきます。これは得意科目であることは前提で総合力の話をしています。同じAの科目であっても総合順位で添削の質は全く異なります。ここで、僕が言いたいのは順位によって優劣があるというわけではなく一長一短があるということです。
①は添削は的確だが頭の出来が違うから再現性がない。③は再現性はあるが初見のマイナー論点での信用性が無い②は問題や年度によって①になったり③になったり安定しない。
このような違いが出る以上、その添削の復習方法は添削者によって分けるべきだったのにそれを僕は途中までしませんでした。結果、それぞれの添削者の利点を活かしきれませんでした。
結局、途中からは混乱防止ため①と③にのみ絞りました。そして、③の方には汎用性のある問題の解き方や答案構成の作成をマスターする方向にシフトしました。マスターしたあとは①の人の添削を主に受けてマイナー論点への取り組み方を抑えていきました。
まだ現時点では成績通知がないので何とも言えませんがこの時に最初から添削者の順位で復習方法を分けていれば数百番は順位が変わったのではないでしょうか。結論はどのようなものでもいいですが添削者の順位ごとに復習方法は変えた方が良いと思います。
第三段階 模試期
この段階は4〜5月です。僕は4月にTKC模試、5月に辰巳模試を受けました。この段階をさらに以下の5つに分けました。つまり、①TKC模試に合わせて司法試験直前期の調整のリハーサル②TKC模試③TKC模試の反省を踏まえて辰巳模試に合わせて司法試験直前期のリハーサル④辰巳模試⑤辰巳模試の復習です。
少し話が逸れますが上記2つの模試は絶対に受けるべきです。なぜならR5司法試験では民法でドンピシャの問題が模試で出てきました。またR6司法試験では商法でドンピシャな問題が出てきました。もし模試(ダジャレではありません)をきちんと解いていなければ大きな差が着いたと思われます。また、この2つの模試を通じて調整が正しいのか判断できます。なお、辰巳模試の方がTKC模試より70点近く点数を取れる傾向にあるのでそこは割り引いて考えた方が良いと思います。
この段階での最大の失敗は、電車の遅延が発生してTKC模試の1科目を受けれなかったことです。模試の大きなメリットは本番さながらの試験を受けれることにあります。にもかかわらず、1科目を受けなければそれ以降の疲労度があてになりません。結局、1科目の選択科目は自宅で解きましたがやはり集中度が大きく異なりました。模試はご存知の通りお値段が高いです。しっかり受け切れるように模試の時から本番さながらに間に合うような準備をしましょう。
第四段階 調整期
この段階は6月です。TKC模試は約830、辰巳模試は約900点でした。合格推定点が750点以上なので模試での調整は正かったことが証明されました。
そこで模試での調整を応用して調整サイクルを2つにしました。つまり1サイクルを15日として2サイクルすることにしました。具体的には1日1科目(選択科目は2科目と考える)として短答も含めると12科目12日となります。ここに予備日も含めて15日という塩梅です。
内容としては、論文科目については答案を作成した年度分の答案構成を行い、過去の自分が作成した答案を見直し、余った時間を論証というようにしました。短答については民法・刑法は合格セレクション、憲法は短答パーフェクトを使用しあらかじめチェックしていた問題を回していました。
この段階での失敗は2サイクルも要らなかったということです。1サイクル目で答案構成をしたのですからなんとなく2サイクル目の段階では、内容が頭に入っていました。そうすると、2サイクル目の時は本番直前の緊張感も相まって問題文を読んでも目が滑るのです。このような勉強法はまさに〝勉強したつもり〟といえるでしょう。全てが無駄とは言えませんがもう少し工夫が必要でした。具体的には、2サイクル目は予備校などが出している論点予想にある項目の判例百選や解説などを見たりして確認していく方が良かったのかもしれません。
第五段階 リハーサル期
この段階は7月上旬。まさに司法試験の1週間前という直前でした。内容としてはあらかじめ準備していた解いたことのない答練を本番の時間に合わせて全てフルで答案作成しました。水曜は選択科目と公法系、木曜は民事系、土曜は刑事系。しんどかったですが最後の仕上げという感覚も相まって筆が乗った記憶があります。
この段階での失敗は、復習が追いつかなかったことです。とくに商法については監査役の問題をリハーサルで解いたのに本番で上手く書けませんでした。本番のときには「うわー。これ直前に解いたのに!」という状態に陥り精神的に大きなダメージを受けました。本番で全力を出すためにリハーサルをしたのに、リハーサルをしたがために本番で力を発揮できなければ本末転倒です。直前の日曜にでもきちんと復習するべきでした。
まとめ
司法試験は様々な属性の人たちが受験します。在学受験・修了生・予備試験組、そしてリベンジャーズ…。この中で最も才能がないのがリベンジャーズです。一方、リベンジャーズが唯一勝るのが経験値です。とくに司法試験本番までの月日の経ち方を頭ではなく身体で理解しているという点は大きなアドバンテージになります。僕はそのアドバンテージを最大限に活かそうとしました。その結果、上記のとおりかなり計画的に勉強を行うことができました。しかし、それでもなお多くの失敗や反省を生み出しました。これらの失敗をどう捉えるかは閲覧者の皆さまに任せます。「これだけ失敗しても合格できた。」でもいいですし「これだけ失敗したからこの程度のドブカスに終わった。」という評価でも構いません。ポジティブにもネガティブにも評価するのは皆さま次第で結構です。
また、現実の僕を知らない閲覧者が多くいらっしゃるので、僕に対する下記の評価を記載します。これは、僕を学部の時から見ている酵母菌君の僕に対する評価です。
〝小無権代理人の伸び代は青天井かと思ったが二階建てやったな。〟
これをどう捉えるかも皆さまにお任せします。しかし、僕は的確な評価だと思いますし司法試験の感触もこの評価どおりでした。合格した一方で、普段の勉強のストレスで慢性的に鼻血が出るくらい全力を尽くしてもなお超えられない壁を痛感しました。結局、特級には触れることもできませんでした。
リベンジャーズの方々はリベンジが地獄だと思います。目先が真っ暗だと思います。この記事や僕の存在が、その中で僅かにでも目印や小さな灯火になれたなら幸いです。
最後に
僕に感謝するなら、ヤンチーパイセン・47さん・H山先生、そして勇気を出してDMで僕に連絡をしてきた新リベンジャーズ達に感謝してください。この方々がリベンジの経験を後進に伝えてくださいと後押ししてくれました。
僕はこういう偉そうな記事を書くのは乗り気ではないので、コメントなども要らないです。ただ、スキを押してもらえたりXで拡散していただけると先輩達が喜ぶと思うので積極的に押していただけると幸いです。読んでいただいてありがとうございました。