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「4価のHPVワクチンが子宮頸がんを予防する」という研究の結果を解説

HPVワクチンの発売から15年、子宮頸部浸潤癌を予防する効果が報告されました(本記事は2020/10/2時点 NEJM誌についての解説記事です)

「今までHPVワクチンの効果って証明されてなかったの?」

このような疑問をお持ちの方もいらしゃるのではないでしょうか。
この記事では以下について解説をしています。

・なぜ「HPVワクチンが子宮頸がんを予防する」ことはまだ証明されていなかったのか?
・HPVワクチンの効果は?​

HPVワクチンのがん予防効果が証明されていなかった理由

子宮頸癌の特徴としては以下のものがあります。

子宮頸癌は

・95-99%はHPVというウイルスの感染が原因
・異形成と呼ばれるがんの前段階の病変が存在する

という2つの特徴を持っています。

これまでの研究では、HPVワクチンを打つことでHPV感染や前癌病変を予防することは確認されていました。

しかし、子宮頸癌そのものを防いだという報告は十分ではありませんでした。

というのも、子宮頸癌に最もなりやすいのは25-49歳であるため、10代でワクチンを打ってから効果を確認するまで長い期間の観察が必要だったからです。

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そのため、発売から15年経った現在まで、「HPVワクチンが子宮頸がんを防ぐ」というところまで研究が行われていなかったわけです。

HPVワクチンの子宮頸がん予防効果

■ HPVワクチンは子宮頸がんのリスクを1/3に下げる
今回の研究では2006年から2017年のスウェーデンの全国民のデータベースを用いて、10-30歳の女性約167万人が調査の対象となりました。

4価のHPVワクチンを少なくとも1回接種した約53万人と、HPVワクチンを接種しなかった約115万人において、子宮頸部浸潤がんの発症を比較しました。

その結果、年齢や教育水準、収入、母親の子宮頸部異形成などの要因を調整し、4価のHPVワクチンは子宮頸がんのリスクを約63%下げる(リスクが約1/3になる)ことがわかりました。

■ 若いうちに打った方が効果が高い
さらに、今回の研究では、「年齢が低いうちに打った方が子宮頸がんの予防効果が高い」ということもわかりました。

17歳以下で接種した人の中で発症したのは全部で2人だけであり、リスクは88%も減っていることが分かりました。

また、17-30歳以上で接種した人も、53%は防ぐことができています。

HPVワクチンはHPV感染を予防するものであり、感染したHPVを治療する効果はありません。

HPVの感染は性交渉で起こるため、できれば性交渉が始まる前に接種しておくことが望ましいです。

まとめ

子宮頸癌が発症しやすいのは25-49歳のため、10代でHPVワクチンを打った後の子宮頸癌を防ぐ効果は最近まで正確に明らかになっていませんでした。

そして、HPVワクチンの販売から15年が経過した2020年に、ついに「HPVワクチンが子宮頸がんを予防する」という研究結果が発表されました。

また、この研究では「HPVワクチンは性交渉を経験する前の若いうちに打つと、より高い効果を発揮する」ということも明らかになりました。

この研究からも、将来のがん発症を予防するためには性交渉が始まる前に接種しておくことが望ましいということがわかります。

参考文献

N Engl J Med 2020; 383:1340-1348.
日本産科婦人科学会.子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために.(参照10-02-2020)
National Health Service. HPV vaccine overview.(参照10-02-2020)
Cochrane Database Syst Rev. 2018;9;5:CD009069.
Lancet. 2019;394(10197):497-509.

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※ 本記事はみんパピ!の記事

4価のHPVワクチンが子宮頸がんを予防するという研究結果が発表されました

のサマライズ記事になります。詳しくは上記リンクより元記事をご参照下さい。


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