クラウドファンディング終了直前!活動のご報告⑥:一宮恵
医療情報はむずかしい
受験を3ヶ月後に控えた中学生の秋、大きな病気が発覚しました。
普通の毎日が当たり前に続くと思っていたある日の夕方を境に、救急搬送、入院、手術、リハビリを経験しました。体調が良いときなどほとんどなく、やりたいことをたくさん諦め、身体を引きずるように過ごす10代の日々が続きました。命が助かったことに感謝せねばという気持ちと、なぜこんなにも苦しい日々を送らねばならないのかという気持ちの板挟みに、おしつぶされそうでした。
その頃のわたしにとって、医療情報はとてもハードルが高いものでした。本を読んでも、インターネットで調べても、前提知識のない状態では何が正確なのか、それが自分に当てはまるのか、よく分かりません。様々な情報や体験談に、戸惑い、悩み、不安を抱えながら、出口のないトンネルのような日々を送りました。
ある治療や予防法に対して、良いという意見と悪いという意見があったとき、不安になる気持ちがよく分かります。少しでもリスクがあれば、怖いのでやめておこう、今は様子をみよう、みんながやってからにしよう。
健康でいたい誰しもにとって、そのような考えが浮かぶのは、ごく自然なことだと思います。
元患者としてわかりやすく情報を伝えたい
かつて、わたしは突然の大病に戸惑い、医療情報を求める患者の一人でした。自分と同じように、長期の治療や慢性疾患に苦しむ若い世代を減らしたい。体調の悪さから、進学や就職、恋愛や子育てなどのライフステージで選択を狭められる人を減らしたい。こうした思いで公衆衛生の道に進みました。
行動科学を専門にしたのは、人の脳には様々なバイアスがあり、気づかぬうちに認知や心理に影響を及ぼすという考え方に共感したからです。科学的な情報を知るだけでは動けないということに、過去の自分の姿をみたからです。
次の世代の市民や患者のみなさまには、わかりやすい情報に基づき安心して医療を受けてほしい。
それがわたしのミッションであり、まさにみんパピが目指すものです。
どんな人も、納得して自分の行動を決めたいと思います。
だからこそ、みんパピでは、正確な情報を分かりやすく、様々な考えを持つ方にきちんと伝わるように公開していくこと。不安な気持ちに寄り添い、接種するかどうか自分の意志で決められる環境をつくること。これらにこだわって活動をしていきます。
わたし個人としては、患者であった自分が受け入れられる情報かどうか、一つひとつ真剣に考えながら情報を組み立てます。行動科学の力を使い、本当に情報を必要とする人に届く伝え方、理解をサポートできる伝え方に力を尽くします。
あなたもみんパピの仲間です
子宮頸がんは、20代から40代の方が多くかかる病気です。ライフステージの変化が多い、若い年代で病気をすると、治療や症状などとの兼ね合いから、夢や子どもを諦めたり、学校や仕事をやめたりしなければならないこともあります。
未来ある若者がこうした状況にさらされることが、いかに悔しいか知っているからこそ、病気に苦しむ人を一人でも減らしたい。
その思いで、行動科学の目線、元患者の目線、複数の視点をもちながら、みんパピの活動に取り組んでいきます。これが、「みんな」の一員として、わたしにできることです。
あなたも、みんパピの「みんな」の一員です。
これを読む方には、お子様を持つ親、学生、会社員、医療者、研究者など、様々な方がいるでしょう。
異なる立場の方からの応援や情報発信が力になります。わたしたちだけでは届けられない方々への情報発信に、力をお貸しいただきいただきありがとうございます。
ワクチン定期接種対象者の方や、その保護者の方々へ。
HPVって難しくてよくわからないな。ワクチンを打ちたいかまだ決めきれないな。そう思うのは、きっとあなただけではありません。
だからこそ、まずは「みんな」の一員として、あなたが知って、考えてみていただけませんか?家族や友達と、このことについて話してみませんか?
みんパピは、全力でそのきっかけをつくっていきます。
異なる分野の専門家が集まれば、よりよいアイデアが生まれます。一人ひとりの力は小さくても、たくさんの人が力を合わせれば、大きなことができるようになります。
あなたの力、みんなの力で、HPVを取り巻く状況を一緒に変えていきましょう。
いつか、子宮頸がんやHPVによる病気に苦しむ人がいない社会を実現するために。
みんパピ!行動科学チーム
一宮恵