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【掌編小説#17】佐藤くん3号機

今日も車で通勤。
通い慣れた道を、大好きな音楽を聴きながら走っていた。

信号で止まると、横断歩道を渡る一人の男性が目に入った。
白髪混じりの短髪、メガネをかけた柔和な目元。
黒のウインドブレーカーに、薄いグレーのチノパンを身に着けている。
「あれは佐藤くんだ。こんなところで何をしてるんだ?」
ここは東町。佐藤くんが住んでいる西町からは、歩いて1時間以上かかる場所だ。

佐藤くんとは、以前同じ職場で働いていた元同僚だ。
少し変わったところもあるが、気さくで優しい男。特別仲が良かったわけではないが、悪いわけでもない。
久しぶりに見たけど、あの特徴的な立ち姿と歩き方は間違いなく佐藤くんだ。
不思議に思いながらも、彼が目の前を通り過ぎるのを見送った。信号が青に変わり、再び職場へと向かう。

職場までは車で15分ほど。
職場の近くで再び赤信号にかかる。
ふと見ると、また同じ人物が目の前を横切った。
白髪混じりの短髪に、あの黒いウインドブレーカー――まさか…?

「佐藤くん!?」

まさか、佐藤くんはアンドロイドなのか…?

〈完〉


【解説という名の言い訳】
掌編小説17作目。通勤中に知人ソックリな人を見かけて思いついた話です。似た人を見かけること、ありますよね。
服装までそっくりだと「絶対本人だ!」と思ってしまいますが、よく考えるとそんな場所にいるわけがない、となります。あんなに似ている人がいるんだなぁ、と改めて驚きました。
昔、私自身も「あそこにいたよね?」と言われて、「いや、そんなところ行ってないよ」と何度か答えたことがあります。似た格好をした人が近くにいることって、本当にあるんですね〜。
【追記】
同じ見た目の人に会ったというお話の時、皆さん「ドッペルゲンガー」が思い浮かぶんですね!
私は、「クローン人間」とか「アンドロイド」が浮かんだんです!ガンダム世代だからかな?(笑)
色んな反応があってこれも面白いです!


『佐藤くん(仮名)、元気にしてるかなぁと思い出した者』
ミノキシジルでした。

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