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伝説のデュオC&Aが現れた夜

12月の寒空の下、みの太家は今日も湯気の立つおでんと笑い声で賑わっていた。おっつぁんが、ぐつぐつと煮えるおでん鍋をかき混ぜながら、「今年もいよいよ押し詰まってきたな」と呟いたその時、店の暖簾が静かに揺れた。

暖簾をくぐった二人の男に、店内の空気が一瞬止まった。

一人は黒いシャツに黒いジャケットをビシッと決めた男。もう一人はサングラスをかけ、どこか余裕のある笑みを浮かべている。彼らは静かにカウンターに座り、「こんばんは」と落ち着いた声で挨拶をした。

「おい…ちょっと待てよ…」サブローが隣のミツルを肘で突きながら小声で言う。「あれ、CHAGEとASKAじゃねえか?」

ミツルも目を丸くし、「まさか本物?こんな下町の居酒屋に来るか?」と半信半疑だが、その佇まいと空気には確かな存在感があった。

おっつぁんはハンチング帽を少し直し、「いらっしゃい。寒いから、まずはおでんでもどうだ?」と自然体で声をかけた。二人は微笑んで「ぜひ、お願いします」と答えた。


おでんと酒、心の温まるひととき

カウンターに置かれた湯気立つおでんの皿には、特大の大根、味の染みた卵、そして牛すじが並んでいる。ASKAが大根を箸で割り、一口食べると、「…沁みるなあ。心が温まる味だな」と小さく呟いた。

CHAGEも「いい店だな。こういうところ、ずっと探してたんだよ」と満足げに頷きながら、牛すじに手を伸ばす。

サブローが我慢できずに「す、すみません!サインとか…いや、歌とかお願いしてもいいですか!?」と声を上げると、店内の客たちが一斉に笑い出した。「おいおい、落ち着けよ!」とミツルが慌てるが、当のCHAGEとASKAは笑顔で応える。

「じゃあ、一曲だけ」とASKAが言い、CHAGEも「いいよな、せっかくだから」と頷く。


静寂の中の『SAY YES』

二人が即興で『SAY YES』のワンフレーズをハモり始めると、店内は一瞬で静まり返った。

「愛には愛で感じ合おうよ…」

その歌声は圧倒的で、カウンターの湯気すらも止まったかのような錯覚を覚えた。ムーニンがぽかんとしながら「すごいんだムー…プロの歌は違うんだムー…」と呟き、槍吹ジョーも真剣な顔で「これが…本物の闘志だ」と感動していた。


歌い終わると、店内は拍手と歓声でいっぱいになった。おっつぁんがニヤリと笑って「こんな夜も悪くないな。次はゴーヤの唐揚げでもどうだ?」と提案すると、CHAGEが「それ、ぜひ!」と即答した。


その夜、みの太家は伝説の歌声と笑いに包まれ、常連たちは一生忘れられないひとときを過ごした。帰り際、ASKAが「また、ふらっと来るよ」と言い、CHAGEも笑いながら「いい場所を見つけたな」と小さく呟いた。

外は相変わらず寒かったが、みの太家の灯りは温かく、いつまでも揺らめいていた。

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