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書く書く詐欺を脱した機会 ── データとデザイン裏話#3

『データとデザイン』という書籍の裏話を始めてみたわけだが、#1#2が思った以上に堅い内容になってしまったので、もっと肩の力を抜いて、どうしようもない話をしようと思う。

この書籍はTakramのエディターである矢野さんに、壁打ち相手になってもらいながら書いた。彼がいたからこそ、走り切ることができたのだが、2年前のカレンダーを見ると、4月5日に初めての会議が開かれていた。しかし、発端は2年前どころか、2019年に遡り、一度一通りの目次が書き上げられていた。今見ると表面的には似たような章が並んでいるが、圧倒的に中身が不足している。

そこから本を「出す出す」と言い続け、ついには「出す出す詐欺」とまで言われた訳だが、2022年の年始に開催されたTakram全社会議のブレイクアウトで、渡邉(康太郎)さんと佐々木(康裕)さんと同室になり、その年の抱負を話し合った。それぞれ既に『CONTEXT DESIGN』や『D2C』といった本を出版しており、「今年こそ本を出す」と言い切るのに勇気が必要だったのを憶えている。

その時にアドバイスされたのが「一人で書くな」というもので、本を書く孤独さと、壁打ちの大切さを説かれ、「とりあえず誰かに聞いてもらおう」と思い立って、矢野さんに声をかけるに至った。ちなみに、一番のハードルが「出版社に声をかける」だったが、矢野さんの助力により、驚くほどアッサリと実現した。そこからコンセプトやターゲット、目次を念入りに考えて企画を出版社にプレゼンし、2年間の旅を始めることになった。

ちなみに、最初のミーティングログには、「内容が古くならない、普遍的な本にせよ」と書かれていて、実際執筆中は終始普遍性との戦いであったように思える。


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