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データ活用は「機能」から「許容」の時代へ ── データとデザイン裏話#2

『データとデザイン』については、noteの公開と同時に、TakramCastも収録しているが、その中で「執筆中の気づき」という質問をされた。収録時はサラッと答えたが、話しきれなかったのでnoteで書いてみようと思う。

一番の気づきは、「なぜデザインの視点からデータを扱う必要があるのか」ということだ。書籍では想定読者を「デザイナーや、デザインの思想を持つエンジニア、新規事業担当者等」と定義し、「デザイナー」と称しながら様々な視点から重要となるポイントを書き連ねている。が、正直に言うと書き始めた時は「なぜデザイン?」と問われても答えられなかった。

書籍では様々な側面からデザインの必要性を語っているが、ザックリ言うと「一般人がスマホアプリでデータを活用する社会になると、使いづらいアプリは消されるよね」という部分が大きい。今まで専門家が扱うシステムでデータが扱われてきたので、多少使いにくくても「使う人が慣れればいいじゃん」で済んでいたが、それが許されなくなってきているのだ。

例えば、どんなに高性能な掃除機であっても、量販店で他の掃除機と横並びで見られたときに、性能を見過ごされてしまう状況を目にする。不思議に思って話を聞くと「掃除機に付いた埃が拭きづらそう」という“生活感が溢れる”理由であったりする。もちろん「B2Cって難しいよね」といって切り離して考えてしまうことも出来るが、Uberでドライバーと利用者が同じプラットフォームを用いているように、今後はB2BとB2Cの境界がゆるやかに繋がっていく可能性が高い。

書籍ではこれを「許容」というレイヤーで紹介している。今まではデータ活用に機能的な「価値」が定義されていればよかった。だが、今後はその手前に「かっこいい」や「気持ちいい」といった「許容」が求められるようになるのだ。他にも様々な側面でデザインの視点が重要になってくるが、ここでは書ききれないので、興味を持たれた方は、ぜひ書籍を読んでみてもらいたい。

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