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執筆場所こそデザイン対象 ── データとデザイン裏話#7

今回は、執筆をする「場所」について書いてみる。伝えたい裏話が多すぎて、ついつい真面目な投稿が続いてしまったが、7回目にもなって、やっと少しゆるい話が書けそうだ。

書籍の執筆は、静かな部屋でゆっくりとコーヒーを片手に進めたいものだが、実際は静かであればあるほど、ついSNSを開いたりしてしまうものだ。特にTikTokは厄介で、『データとデザイン』の中でも触れたが、様々な操作からこちらの今の気分を推定して、見事に引き込んでくる。仕事のリサーチで手を出したTikTokであったが、ByteDance(提供会社)だけあって、見事に踊らされている。

話が逸れたが、執筆に集中できる場所としてよく挙げられるのが、カフェだろう。漫画家がネームを書いている姿は見ないが、多くの人がリンゴマークを光らせながら、何かしらの資料を作っていたりする。カフェこそが、執筆にとって最適な場所であった、ということができれば、この裏話を書く必要もないわけで、実際はカフェに行っても漫画アプリを開いたりしてしまうのが現実であった。

ここからが本題だが、とあるプロジェクトでActibity Based Working(ABW)という概念を知った。これは、それぞれの作業に対して適切な場所がある、という考え方をベースに、仕事環境をデザインする手法だ。書き物は窓際のカウンターで、ディスカッションは円卓、制作は大きな画面のあるここのデスクといった具合に、その作業に適した場所を準備・選択するような考え方をする。「カフェで執筆」はまさにこれに当たるわけだが、気持ちが乗らない問題はどうすべきなのか、という課題だ。

そこで登場するのが、Deep Workという考え方で、これはABWに順序の概念が入ったものだと考えてもらえると良い。順番が生まれたことで、勿論タイミングも重要となる。例えば「朝出社中にカフェでメールを書いて、到着したら会議室で議論をし、その後作業をするとはかどる」といった自らの手順を意識的にデザインする。自分の場合「子供を塾に送って、待っている間駅前のカフェの窓際で執筆する」が結論であった。

当たり前のように思えるが、大切なのは自らがワークする条件を複合的な要因から意識的に探索するところにある。自分の場合、① 静か過ぎず、騒がしくない、② 4〜5時間程度の制約、③ 家族の目がある、あたりが揃うと、作業が進むことがわかった。みなさんも是非自分に適した要因を意識的に探索してみてほしい。

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