コロナショックの中で採用担当者は何をするべきか
マイクロ人事部長の髙橋実です。
さて、今回のコロナショックで大変影響を受けたのが、2021卒の就職活動です。3月のエントリー開始は例年ならリアルな就活イベント等目白押しだったはずですが、ほぼ全て中止になりました。
<2020/4/23 追記しました>
4月13日から4月19日の期間に行われた術前および入院前PCR検査において、新型コロナウイルス感染症以外の治療を目的とした無症状の患者さんのうち5.97%の陽性者(4人/67人中)が確認されました。これは院外・市中で感染したものと考えられ、地域での感染の状況を反映している可能性があり、感染防止にむけてさらなる策を講じていく必要があると考えております。
当院では、院内をゾーニングするなど様々な院内感染の防御策を講じて、新型コロナウイルス感染症の重症・重篤な患者さんを救う努力を続けながら、大学病院、特定機能病院としてのミッションとして高度な医療を提供していく所存です。
本記事では、「緊急事態宣言がでているうちは、企業が学生を直接呼びつけるような採用活動はやめましょう」とお伝えしていますが、この慶應病院の状況(感染症以外の来院者の5.97%が陽性だったという事実)を鑑みると、既に市中蔓延が進んでいると考えるべきだと思います。この時期に、学生に負担をかけるのは殺人行為に等しい。是非自社のことだけでなくしっかり世の中の状況を見て採用活動の打ち手を打ってください。
どうしていいか分からない企業の採用担当者
今回のコロナショックでは「採用戦略をきちんと考えていない企業が浮き彫りになった」と感じています。
・とりあえずリクナビ使っているからいいや
・とりあえずみんなが参加する就活イベントに出ているからいいや
・いつも母集団集められないし、参加者が集まるところにでるしかない
特に、学生にブランドネームがなく、これまでの採用はうまくいっているわけでなく、採用戦略をしっかりと考えてこなかった企業採用担当者は、完全に打ち手を失っている状態に陥っています。
本来、採用戦略は、組織を回すために重要な人財戦略なはずなのに、本質に向き合わずここまできてしまったツケが、一気に回ってきた感があります。(向き合うノウハウを持っていない企業も多い)
5/6までは、緊急事態宣言下にありますが、活動が少しずつ開始されたら企業間の格差が一気に進むと感じています。勝ち組と負け組が、完全に分かれてしまいそうな雰囲気です。
就活サイトは「求人倍率=1」の時に使えるもの
リクルートのリクナビやマイナビ、キャリタスなどを使って、また多くの企業と学生が集まる就活イベントに参加を予定していた企業も多くいると思います。
一番困っている企業は、就活サイトや就活イベントに依存していた企業でしょう。打ち手がそがれてしまっているわけですから、どうしたらいいか分からない。
そもそも、多くの学生が集まる(データベースがある)就活サイトや就活イベントに、採用弱者の企業が参加しても、ほとんどうまくいきません。どうしていいか分からない企業は、恐らく「いつも採用苦戦しているのに少ない打ち手すらなくなった」と、焦り、困り果てていると思います。
でも、これは本質的な課題が浮き彫りになっただけの話。
就活サイトや就活イベントは、確かに、多くの学生がそこには集う。リクルートが作った就活サイトは「どんな企業もどんな学生も平等に機会が提供される」、いわゆるプロ野球でいうドラフト制度のようなものですが、これはいつもそうではありません。
求人倍率が「1」の時に効果を発揮するモデルなのです。
これは、企業の規模別の就職希望者数です。
ちょうど拮抗しているのは、バブル崩壊後、リーマンショック後なんですね。そして、好景気で求人倍率が上がったリーマン後と、昨今(コロナ前ですが)の求人倍率が上がると、格差が必然的にできるのです。
求人倍率で超大手と中小を比べてみましょう。
こうしてみると、採用格差がものすごーくあることが分かると思います。
弱者戦略を考えろ!(ランチェスター戦略)
あなたの会社がいつも出ている就活フェアの、参加企業を見てみてください。そこに、全く敵わないと感じる、採用強者の企業が並んでいませんか?
そして、そこにいる採用強者と同じようなことをやって、同じようなスーツを着て、(学生が聞きたくもない)企業概要や、強み推しだけ、していませんか?
学生は、企業の比較をします。
すごいいい商品が並んでいるところに、つまらない商品(失礼!)が並んでいたら、あなたは目を向けますか?
弱者は、弱者の戦略があります。
「強者と同じ土壌で戦わず、勝てるポイントに集中・工夫して差をつける」
ということです。
これは、ランチェスターの法則を学んで、自身の企業の戦い方を整理すれば、どんな会社でも採用は、成功します。(これが、本質の戦略を考える、ということ)
あなたの会社の良さ、語れますよね?
どんな会社でも、必ずいいところはあるし、武器はある。
であれば、それをシャープに伝えていけばいい。
(できなければ、ご相談ください。お手伝いします)
withコロナでも、採用弱者にできることはある
もし、afterコロナまで事業が継続するなら(それが難しい企業もあると思います。そんな企業は、まずは採用の前に、自社の継続に力を注いでください)、withコロナでしっかり地力をつける手法は山ほどあります。
①オンライン選考にチャレンジしろ
「対面じゃなく採用なんてできるわけがない」
今オンライン選考に取り組んでいない企業の人は、ほとんどそう言います。
確かにリアル選考の方が、うまくいくに決まっています。
でも、大事なのはafterコロナの世の中の状況。
リアルが復活したら「リアルもオンライン選考もできる企業」になるわけです。こんなチャンスは、恐らく今だけ。
しかも、オンライン選考は、採用強者もやったことがない。
つまり、全員が同じスタートラインに立っているのです。
(できないというバイアスは、自分自身が作っているだけ。失敗してもいいから、チャレンジしてみるべきです)
僕は今、法政大学の講師もしていて、法政大学は、今日から授業がスタートします。しかも、春学期(前期)は、全てオンライン授業でやることが決定しています。つまり「学生は今年中には、オンラインに慣れる」のです。
そこまでに、企業側が慣れていなければ、優秀な学生は、先進的な取組をしている採用強者に流れてしまうはず。でも、今地力をつけておけば、その時に採用強者と戦える武器を手にすることができるかもしれない。
やらない理由は、ないですよね?
②学校と懇意になる大チャンス
大学のキャリアセンターさんや、大学の先生は、企業よりさらに困っています。なぜなら、有益な「採用に関わる企業の情報」をつかめず、さらに、学生への指導もできない。
これは、学校関係者にしてみれば、恐怖なはずです。
大学は、「内定率の高さ」が人気を左右します。なぜなら、内定率が高い大学は入学者数が増え、授業料の安定収入が見込めるからです。(キャリアセンターがベンチマークしているのは「内定率」)
また、高校は、現在進路指導が始まっていますが、この状況で有益な情報(生徒に正しく伝えられる情報)が不足しているはず。
学校関係者は、みんな困っています。
だからこそ、今まで見向きもされなかった企業が、しっかりと目に留まれば「こんないい企業があったんだ」と新しい発見が与えられ、学校と懇意になれる最大のチャンスです。
求人票は、どんどん送る。そして、機会があれば、学校関係者と会話をする機会をもらいましょう(たとえそれがオンライン会議であっても)。
やれるべきことは、徹底的にやるべきです。
こんなチャンスは、滅多にない。
(学校関係者の方、是非、この機会に「今まで目を向けていなかった企業」を見てみる時間にしてください)
でも、withコロナは、学生に負担をかけないでください
ただし、「少なくとも緊急事態宣言が出ている間は、学生を企業に呼んで選考する採用は、やめましょう」。
緊急事態宣言が出て、これだけの感染者リスクがある中で、未だに学生を直接企業に呼んで採用をしている企業があります。これ、本当にやめませんか?いくらチャンスだからとはいえ、このタイミングで学生に「会社に来い」という採用担当者は、僕は違うと思います。
学生も、焦っている。だから、企業から呼ばれれば、行きます。
「withコロナだから、どちらか選んでいいよ」という言葉は、地獄への誘い文句でしかない。僕はそう思います。
今は、全世界の全ての人が、自分の命を守り、そして、周りの命を守るとき。afterコロナまでは、全ての人が、地力をつける期間なはずです。
未来のある若者に、命の危険を強いるのだけは、やめませんか?
今思い当たる採用担当者は、そして経営者は、是非これを読んでください。
今は、しっかりと武器を磨いて、withコロナを全人類で克服し、そして落ち着いた段階でしっかりとスタートする。
その時までに、何をやるかで、企業の採用力が変わってきます。
明けない夜はありません。
頑張りましょう!
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