もういいかげん企業論理の副業解禁ルールはやめませんか?
いよいよ2019年もあと残すところ1日。
さて、こんな記事が、出ていました。
やれやれ。どうして大手企業の副業解禁ルールは、こうなってしまうのか?
「あれ?でも副業解禁って、自由度上がっていいことじゃないの?」
そう思われる方も、多いかもしれません。
でも、この記事、読んでみてください。
①対象となるのは、5年以上の勤務経験者
②会社が、申請内容を審査する
③本業に支障のない範囲で、副業を認める
④企業と労働契約は、認めない
なんでしょう。この「ないないずくしの」副業ルールは。
こんな「檻の中に入れた状態」で副業を解禁しても、果たしてあなたが社員だったら、積極的にやりますか?
「会社が申請内容を審査する」って言われても、どういう審査なの?じつは、副業やるやつって、マイナス査定になっちゃうのでは?自社の評価がもっと厳しくなって、仕事でミスをしたら「副業なんかしてるからだ。本業に支障が出てる」って言われるのが、関の山ですよね。
そんなリスクをとって、積極的に社員が副業に携わるでしょうか?
---(記事引用)------
認める副業は、中小企業診断士などの資格を活用し、コンサルティングなどを行う場合や、専門知識をいかしたセミナーの講師や塾の開業など
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そもそも、企業専属でやっていたサラリーマンが、例え資格を保有していたとしても士業やコンサルタントとしては経験値がなく素人同然からのスタートで、この競争が激しいレッドオーシャンの世界で、通用するのでしょうか?
金銭が発生しないプロボノであるならまだしも、「労働の価値に対する対価」をもらうことが、どれだけ大変か、企業は理解しているのでしょうか?そんなぽっと出の人が、いきなり稼げるような甘い世界ではありません。
ましてや「セミナー講師や塾の開業など」。これって、僕から言わせればとても労働生産性の悪い仕事。つまり、時間を要する仕事なんです。
セミナー講師や塾は、「時間的制約を受ける」
つまり、実施にあたっては、必ず「準備期間」と「実施の拘束時間」が発生する仕事だからです。
僕は、「マイクロ人事部長」という仕事をしています。
マイクロ人事部長とは、
① リアル週1日出勤で人事責任者をする
② リアル出勤日以外もフルリモートで仕事する
③ フルパフォーマンスで「人事部長と同じ」仕事をする
そして、この仕事を「複数の会社で行う」というものです。
このマイクロ人事部長で、一番引き受けない仕事は「ルーティンワーク」と「研修」なのです。
もちろん、必要があればやりますが、副業(複業)をやっている人間からすれば、一番パフォーマンスが悪くなる仕事なのです。
なぜなら、この2つの仕事は、「時間と場所に拘束される仕事」だから。
つまり「生産性向上が難しい仕事」だからです。
(もちろん、プランニングは十分できます。問題は、その「実務」なのです)
これを、「本業に支障のない範囲で」できるでしょうか?
もし、やったとしても、「価値」を提供する相手から評価されるでしょうか?頑張ってやったとして、なんとかこなしたとしても、質の高い価値を、果たして提供できるでしょうか?できる人はいるかもしれませんが、それは本当に一握りのプロだけです。
僕の周りに「副業をメイン・サブ」としてやっている人はいますが、本当の価値を提供できている人は残念ながら希少価値です。
副業であっても、仕事としてはパフォーマンスを求められるのです。
あ、決してこの記事の企業をディスっているわけではありません。
僕も知っていますが、とてもいい会社。働き方の多様性には積極的に取り組んでいる会社です。
でも、だからこそ、この「中途半端な」副業解禁は、どうかなと思うわけです。
もし、「副業で専門知識を高めたり人脈を広げることで、会社での仕事にいかしてほしい」ということであれば、本当に、社員の成長機会と捉えているのであれば、もっと自由度を上げる環境を提供してあげるべきだと、僕は考えています。
手を抜いていい仕事なんて、一つもないはず。
安倍政権が働き方改革を進めている中で、厚労省は慌ててこれまで長らく「兼業禁止」としていた就業規則モデルを「副業可能」と改めたり、
まあ、これに関しては、運用も整えられていないのに、かつ、労働基準法第38条に規定されている「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」という規定の整備もされていない中での動き、というのもあると思います。
大手企業の論理では「法令を遵守した上でのルールを定義しないと、そもそもルールとして適用できない」という意見もあるでしょう。
でも、このような、企業側の論理からの副業解禁ルールでは、そもそも成功するモデルにもならず、結局難しいからやる人も増えず、企業側も「副業解禁したけれど成果が上がらないなぁ」なんてリフレクションに至ってしまったら、そもそも可能性のある複業による生産性向上すら、進まなくなる可能性も秘めています。それだけは、勘弁してもらいたい。
副業(複業)は、これまでの働き方のパラダイムシフトを起こさなければできない働き方です。
でも、これを実現しなければ、未来の日本の働き方は変わらない。
もう、いいかげん企業論理の副業解禁ルールはやめませんか?
2019年もあと1日。
2018年からやり始めた複業(パラレルワーク)もでる「マイクロ人事部長」も、3年目を迎えます。
これまで2年間、山ほどのノウハウが溜まりました。
3年目の2020年は、この複業モデルのノウハウを、余すところなく提供していこうと考えています。来年もどうぞよろしくお願いします。
皆さんにとって、素晴らしい年越しになりますように。
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