afterコロナでテレワークは定着するか
マイクロ人事部長の髙橋実です。
さて、新型コロナ収束の先行きがなかなか見えない中、緊急事態宣言を受け在宅での仕事を推奨され、テレワーク(リモートワーク)が一時的に進みつつあります。
ネットでは、テレワークでも、果たして、これは本物なのでしょうか?
テレワーク商品の品薄・高騰
ちょうど僕は3月に引っ越しをして、働き方として在宅勤務も多くなってきたこともあり、自宅にワークルームを新設しました。
これまで自宅の仕事で肩こりと頭痛にずっと悩まされてきたこともあり、いいチャンスだと奮発して、デスクは窓に向かった造作(高さはこだわりました)、チェアーはコクヨのing(これがものすごく快適)、そして、プライベート空間とオフィス空間を分けるために壁紙をグリーンにしました。
これが、超快適空間になりました。
改めて、オフィス空間(仕事の「場」)の重要性が大事なことを思い知らされました。
そして、いざさらに機器を揃えようと思ったら、ネットワークを中心とした製品がネットから消えた。そろそろ動画配信を考えていたのでキャプチャーボードを探していたら、ない、ない。あってもこれってどうなの?という製品。
数千円で購入できていたWebカメラも、品薄かびっくりするぐらい高騰。
やれやれです。
テレワークを阻むもの
そもそも、これだけ働き方改革などでテレワーク推奨は行われてきたにも関わらず、実際はテレワーク普及は推進されていないのが実情だと僕は思っています(前職から、徹底的なリモートワーク推進をしてきたのですが、世の中的には冷めたもので「そんなのできるの?」という感じ)。
もちろん一部の先進的なIT企業などは導入も進んでいましたが、僕が関わっているほとんどの企業は、ほぼ進んでいません。
↑こんなオフィスを作っていました。
でも、有事とはいえ、コロナショックに乗じて、テレワーク導入が進んできています。でも、中身が伴わない導入なんて、果たして進むのか?
(前職では、オフィスを構築してルールも整備しつつしても、一部の部署から「顔が見えないと問題が起こる」と結果戻ってしまうような部署もありました)
テレワークを阻むものは何だったのか。
①リアルを前提とした業務プロセス
この記事にあるように、未だに「ハンコ文化」は健在だし、領収書は紙だし、請求書も紙。そもそも、官公庁や金融機関が紙文化なので、それに応じて「なんとなく」残っている文化を変えることに手を出さない。
この緊急事態宣言でも結局オフィスワークが減らないのは、業務プロセスの見直しが進んでいないから。そのツケが、まさにこの有事で出てきてしまっていると思います。
東日本大震災の時、あれだけ出社できなかったりしても、結局変わったのはクラウドシステムに移行した企業が増えたくらい。業務プロセスには、手がつけられていないところが大半ではないでしょうか。
②経営者の「覚悟」
これはとても大きな理由で、経営者の価値観が「対面」や「作業」を尊重しているということです。テレワークを進めない企業のほとんどは「うちは対面でなければできないから」と言う。これは完全に思考停止です。
こういう経営者は、大概現場を軽視している。
「まあ、なんとかしておいて」というか「事業には影響がないから(そういう経営者は、業務プロセス改善に対する支出を極めて嫌う)」と言う。
それが、いくら生産性を高める結果になっても、だ。
(そもそも、生産性を高めることがどういうことなのか、理解していない)
③対面という”安心”
僕はこれが本当に厄介だと思っていて、僕のように週1出勤(パフォーマンスでの価値で測る)と言っていても、対面できないと同じパフォーマンスでも顔が見えないだけで信頼残高は激しく落ちる。
サボっているとか、複業が進まないのも、この理由。
(僕がマイクロ人事部長で週1出勤を前提にしたのも、この理由。複業の場合、信頼残高が落ちると「嫉妬」が起こり、泥沼化していく。ここはまたいずれ書きますね)
全ての対面を否定しているわけではないけれど(対面の重要性は僕は人以上に理解しているつもり)、「対面至上主義」だけは、勘弁してほしい。
この①から③が、それぞれ絡み合って、これまで進んでいなかった。
今回のコロナショックでは、「移動が制限」されてしまったため、止む無くテレワークに「暫定的に移行」している企業は多いが、これがafterコロナに定着していくのかは、全くの不透明だと思います(本質が何も変わっていない)。
Afterコロナでテレワークが進むために
総務省のテレワーク導入にあたる調査では、実施企業の80%以上が「生産性に効果があった」との回答。
折角企業の生産性が上がる、という結果が出ているのに、テレワークを推進しない企業経営者は「生産性向上」に興味がない。そう考えられても仕方がないのではないでしょうか?
僕の経験だと、このような経営者のタイプは、
・思いついたら、すぐに社内のステークホルダーを集めたがる
・文字コミュニケーションより、電話を好む(すぐにやりたい)
・仕事の優先順位は「自分がやりたいこと」(本質的な優先順位ではない)
このような傾向が、顕著に出ると感じています。
経営者として本当にやるべきは「企業の永続」です。
経営者の好みではない。日本にはオーナー企業でオーナーがやりたいようにやる、という時代はこれまでですが、これだけ変化が激しい時代には、強靭な筋肉質の企業を作ることから逃げていては、もはやもたない。
そのためにやるべきことは一つ。
事業の本質を見直し、過去に縛られず、新たな事業スタイルを作ること
その結果、その事業スタイルがテレワークならそこに進むべきだし、今まで通りに戻るのであれば、厳しくとも未曽有な時代に生き残る覚悟が必要。事業戦略を進める手段としてテレワークがあるのであれば、徹底的に進めるべきです。
もはや見直しに聖域はありません。
withコロナで、全世界の人類は、同じスタートラインに立ったことになります。ここから、本当に聖域なき変革を起こせる企業だけが、生き残れる時代に入ったと思います。
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