【情報リテラシー論レポート2024⑨】ダンダダンは紙で読みたい

私は正気ですし大真面目です。

電子書籍は利点が多い。セールが多いし、わざわざ書店やコンビニまで買いに行く必要がないし、何より嵩張らない。私の友人たちも「漫画はもう電子で買ってるなー」「本棚がなくてさー」と、大体電子で漫画を読んでいます。気持ちはすごいわかる。バスに乗っていてもみんな電子で漫画読んでいる。電車の中で単行本をバッグから取り出して暇潰しに読んでいるのは私ぐらいです。

わかるんだけどどうかダンダダンは紙媒体で読んでほしい。

これは書籍を意地でも紙で読む人間がお送りする、情報リテラシー論第十一回授業のレポートです。


「描いた」ものを「読む」ということ

最近は電子書籍に対応することが当たり前になっているために、縦スクロールされることが前提でコマを割っている漫画もSNS上ではよく見かけます。が、漫画には「書籍化」という文化が未だ強く根付いているために、本というアナログ媒体に収められることを目標にしたり祝ったり喜んだりする作家さんがほとんどです。それはそう、売れるんですもの。

いくら電子書籍化が主流になりつつある現代でも、紙の本というものは作られる。縦スクロールと横スクロールでは、画面の大きさも異なる、次のページへ行く動きも異なる、それこそ紙とブルースクリーンでは目に入ってくる時の情報の印象が異なる。

にも関わらず、原稿は同じものが用いられます。

見開きページというものをご存知でしょうか。2ページに渡って大きく描かれる画面、ページのことです。これと電子書籍に関してつい最近思うことがあったために該当の漫画のURLを貼って少し語っていきます。

こちらの特別読み切り漫画、ぜひスマホで閲覧してみてください。
カラーの見開きページで「紙で読ませてくれ!!!」となると思います。

これ!!!これなんです、スマホで閲覧している際にぶつかる電子の悔しさ!!!
この見開きの衝撃を、スマホで分割されたことで私は「漫画はやっぱり紙で読みたい」と感じました。インパクトが違う。入ってくる情報の「圧」が違う。
PCで見れば画面は大きく2ページ見開きで表示されますが、この色彩の圧力や動きのざらつき、生々しさというものはスクリーンの、光で映し出されることでは損なわれます。個人の意見ではあります。紙で読みたい。どうして電子だけなんだ。

確かに電子書籍はコンパクトで、手軽で、コンテンツを爆速で消費しなければならないほど情報過多な現代には適している形だと思います。入手の手間が少ない、
無料期間があるから手軽に読み始められる。人におすすめする時にも「今無料やってるからちょっと読んでみてー」ができる。

でも、手軽な分、超個人的な意見として、描かれたものから得る圧力や感動というものは損なわれていくのかな、と少し寂しく感じています。我々は元々描かれたものを読むためにページを開いていた。今は味わうよりも一刻も早い消費に走っている……気がします。


「紙で読みたい」という熱

これは今日の話です。本当に今日の、電車に乗る前にふらっと行きつけの中古屋に寄った時の話。

数年ずっと探していたゲームの資料集が見つかったんです。即買いでした。
プレミアがついていたので18000円でした。私は正気ですし大真面目です。

今上記のリンクで表示されている価格は電子書籍版の値段です。
3410円。どう考えてもこっち買った方がお財布には優しい。

数年前に電子書籍版が出たのですが私は手を出さず、延々と見つからないプレミア付きの紙本を探していました。どうしてか。
デケェ紙でデカデカと絵が見たかったからです。紙に載った絵に目を思いっきり近づけて眺めたかったからです。

私も創作者の端くれです。自分も描くし、誰かの作品も読みますし。
私の大好きな作家さんの作品のまとめ本を買うことも即決でした。新規絵はなく、全てSNS上に絵は上がっています。全部閲覧済みです。
それでも買いました。私はその方の描いた絵がインクで紙の上に載っているのが見たかった。

自己満足ではありますし、媒体は関係なく良い作品は良いものです。
これは多分、料理を食べる時に食器にまでこだわってしまう、というレベルのものなのだとは思います。

それでも、「これが紙媒体で読みたい」と思えることは、私にとっては大きな感動であり、衝動であり、それが作品によってもたらされています。
良いものは良い環境で見たい。私にとってそれが、アナログの紙媒体です。

タイトル回収をしましょう。最近アニメ化されました、ダンダダン。内容は省きますが、この漫画とにかく線がいい。この「線」の「圧」というものを、私はデジタルの画面ではなく紙で味わいたいと感じました。見開きいっぱいの描き込み、動きの美しさ、勢い。薄くざらついたページをめくって、燻んだ色の紙の上に載る絵の迫力を感じたい。
もし見たことがない場合は、一度上記のリンクから閲覧してみてください。そうして目を通して、もしこれが紙で読めたなら、と一度想像していただけたら、それだけでも嬉しいです。

内容を読むだけならそこまで気にしないのですが(それでも電子だとやっぱり目が滑る)「作品を味わう」となると、やはり媒体にこだわってしまうのです。自分がものを作り媒体を考える人間だからかもしれません。
この「味わう」を「手軽」にはできないアナログ思考な人間の、今回のレポートでした。ダンダダンはいいぞ。


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