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卒業式とお花見
長男が日本語学校小学部を卒業した。
日本の卒業式という行事は、ヨーロッパで生まれ育った子供にとってはなかなか忍耐力のいることだと思う。
校長先生や来賓客のスピーチはほとんどの場合が、聞こえがいいだけの無難で当たり障りのない、面白みを感じられない内容で成り立っている。
先生や来賓の方々を非難するつもりはない。
たくさんの生徒や保護者の前で披露する内容だ。
肝が据わっていないと、一風変わった大衆の興味をひくようなスピーチはできない。私も多分、無難でつまらないスピーチをするタイプだ。
批判されるの怖いもん。
何週間も冷や汗かいて苦しむもん。
生徒一人一人が壇上に呼ばれ、卒業証書を受け取る。
かなり時間がかかる。
中学部の卒業生も合同で式に参加したわけだが、その十数名の卒業生たちはこれまた一人ずつ壇上で卒業の言葉を用意していた。
国歌斉唱、校歌斉唱、合唱。
とにかく色々やる。
豪華なものだ。
スイスの卒業式はと言うと、、、
そんなもの存在しない。
修了式もない。
入学式もない。
式っぽいものはほとんどない。
卒業生や入学生が何か特別なことをするかしないかは、それぞれの担任の先生の判断に任せてある。
少しお祝いっぽいことをする先生もいれば、特になにもしない先生もいる。
日本のように、学校総出で行うセレモニーのようなものは特にない。
だからこそ、私の長男には一度でいいので経験しておいてほしかった。
自分は卒業式など特に心に残っていないし、おもしろくもなかった。
それでもやっぱり懐かしいし、私と言う人間を築いてきた一部だ。
日本ではこうやるんだよ、って。
スイスとは違う世界があるんだよって。
そしてあなたの母親は、違う世界で育ったんだよって、肌で感じてほしかった。
ちなみに、中学生の卒業の言葉には、実に巧みに人の心を掴むスピーチをした子たちが数人いた。
来賓者の祝辞も、思っていたより全然興味深い内容だった。
長男も同じ意見だった。
卒業式を終えた後の長男の最初の感想は、
「長かった~。そんでつまらなかった!」
まあ予想していた内容だ。
でもその後に、あれが良かった、これもなかなかだった、と悪くない感想もポツポツとついてきた。
私も同意見だったので、嬉しかった。
しかし引きこもりでコミュ障な母には大変な行事であった。
帰ったらどっと疲れが出てきたし、慣れない靴を履いていたせいで足が痛すぎた。
でも良い思い出になった。
ところで、スイスにも日本の「お花見」が伝授されたみたいだ。
友人が送ってくれたサイトでは、お弁当やお酒が注文できて、町の花見スポットが地図に示されていた。
嬉しいなあ。
お弁当はすごい値段だったので注文しないけど、もうすぐキリストの復活祭で祭日続きだし、自分でお弁当作って家族で花見スポットに行ってみようかな、と思う今日この頃でした。
おしまい。