くしろマイノリティ研究所とは
このプロジェクトは休眠預金の助成を受けて、釧路にあるNPO法人地域生活支援ネットワークサロンが取り組んでいます。(一応、助成の期限は2023年10月~2025年の2月まで)
助成事業としての主なテーマは「ダブルマイノリティ」。
ダブルとは「セクシュルマイノリティ」と「発達障がい」の二つを指していて、両方のマイノリティ性を持っている人たちが抱える困りごとや生きづらさから、今の社会に何が必要なのか考えてみようというものです。
助成金の計画に書いた事業概要はこれです。
アバンギャルドという表現
当事者を社会運動の先駆者として「フロンティア」と表現されることもありますが、今回は私がいろいろ調べて「アバンギャルド」という表現を使いました。
日本語訳としては「前衛的」で、もともとは軍隊の最前線にいて、奇襲をかけるような部隊のことだったそうですが、そこから芸術の世界で「既存の概念や形式を否定し、革新的な芸術をつくり出そうとした人たち」のことを示します。
この表現を使いたかったポイントは2つ。
1つは「芸術の世界の言葉」という点です。
このプロジェクトは「カミングアウトから自己表現へ」というタイトルをつけています。中心的な理念として「自己表現」の重要性があるのです。語ることが主ではありますが、語りに限らず、様々な表現が生み出されることをイメージして、芸術の世界で使われる言葉を重ねてみました。
もう1つは「既存の概念や形式を否定して」という点です。
カミングアウトという言葉は自分のことについて開示する行為ですが、そこにはなぜか「勇気をもって、差別を恐れず、それでも開示する」という何かを克服するような意味が含まれます。カミングアウトとはどのような自己開示にも当てはまるわけではなく、差別や偏見を向けられるような属性情報について開示する時に使われます。
自分のことを語る時に、本来は語りたいように語ってもいいはずなのに、内容によって語れないことがある、語ることで不利益が生じることがある…その背景には私たちが暮らす社会の中にあるたくさんの差別や偏見、まさに既存の概念や形式があるのです。
その既存の概念や形式を見直し(すぐに否定するわけではないのですが)、問い返し、今はカミングアウトになるかもしれない自己開示を別の自己表現としてつくり出すようなプロジェクトにしたいと思っています。
具体的な活動内容
昨年の10月からプロジェクトがスタートして約1年で、ようやく活動の形が見えてきました。
①研究活動
ダブルマイノリティに関して学んだり、深めたりする研修会や検討会を月1回の定例活動を軸に行っています。
②当事者による自己表現の収集
マイノリティを持つ当事者の方たちから経験談を募り、ヒアリングにより深く話を聴く機会を持ちます。経験談やヒアリングの成果は啓発ツールや研修教材として活用します。
③啓発のためのツール開発
ダブルマイノリティの生きづらさはどこから来るのか?マジョリティがマイノリティについて理解することが難しいのはなぜか?など、個性や多様性を理解するために有効なツールを開発し、教育現場や企業などでの活用を目指します。
④生活や就労の支援
釧路に居住支援の拠点を設置し、長期、中期、短期、お試しなど実際に今の生活から抜け出して、新たな生活を踏み出したい、試したい、一緒に活動したいという方に機会の提供をしています。
プロジェクトへの参画者を募集中!
というわけで、まだまだ謎の多いプロジェクトですが、興味のある方(特にダブルマイノリティの要素をお持ちの方)とつながり、共に考えたいという思いがあります。
noteは文章を通じて自己表現をするツールの一つだと思っていますので、活動の様子をリアルタイムに発信し、仲間を増やすために活用していきたいと思っています(そのためには、記事を書かなくちゃ!!)
このnoteの他のプロジェクトメンバーからの記事を含めて、何となくプロジェクト全体の雰囲気を感じ取ってもらい、活動に参加してみたいという方は気軽にアクセスしてみてください。