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【本の紹介】大澤夏美『ミュージアムと生きていく』(NDC069)

学芸員のようにミュージアムの「中」で働くのではなく、「外」から関わる人もいる。

大澤さんは、ミュージアムグッズ愛好家で、フリーで活動している。
主な著作は『ミュージアムグッズのチカラ』シリーズ(国書刊行会)、『ときめきのミュージアムグッズ』(玄光社)。

この本は、高校生である娘の友人・博子さん(仮名)から「学芸員に興味はあるけど、採用募集の少なさや雇用の不安定さへの不安」があると進路相談をされたことがきっかけで作られた。
中高校生も、業界研究の一冊として読みやすい。

目次
「学芸員ってどんなふうにはたらいているんだろう?」
「ミュージアムをテーマにした進路はどうやって探せばいいんだろう?」
「ミュージアムに向き合っている人はどんなことを大切にしているんだろう?」
「わたしたちにとってミュージアムはどんな存在なんだろう?」
「今からでもできる活動ってどんなものがあるんだろう?」
「自分の「好き」や「得意」をどうやってミュージアムにつなげたらいいんだろう?」
「ミュージアムを応援するためになにができるんだろう?」

それぞれの問いに、学芸員、フォトグラファー、剥製や骨格標本を作成するサークル、会社員をしながら手作り博物館を運営する人など、さまざまな立場でミュージアムに関わる人にインタビューしている。

章の間に「旅の途中に思うこと」と題して、大澤さんと博子さんの会話が載っている。
私は、博子さんがインタビューによって刺激を受けることで、むしろ自分自身に詳しくなっていく様子に注目した。
自分の価値観に自覚的になることは、ミュージアムとの関わり方や自分にあった働き方を模索する手助けになる。

ミュージアムがあらゆる展示物を扱うように、関わり方も無限にあることを示してくれる。
この業界の奥深さに触れることのできる一冊。

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