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髙橋望のバッハ

よく行くお気に入りの珈琲屋さんがあります。東急東横線学芸大学駅の「平均律」というお店です。そこはいつもバロック音楽をかけていて、いつも美味しい珈琲やスイーツをいただきながら、かかっている音楽に耳を傾けています。

ある時、流れていたバッハの平均律クラヴィーア曲集の演奏に意識が集中しました。アーティキュレーション、各声部の弾き分け、リズムなど、全てにおいて考え抜かれていることがよくわかり、しかし決して頭でっかちではなく音楽として前に進む推進力も備えている。このような演奏は一朝一夕には成し得ないと感じました。

そこでお店の主(あるじ)に、この演奏は誰ですか?と聞いたところ、髙橋望さんという方だと教えてくれました。なんでもゴルトベルク変奏曲を弾くリサイタルを毎年必ず開催しているとのこと。それを聞いてなるほどと思いました。

さっそく自分でもまず件の平均律のアルバムを入手して家でも何回も聴いているのですが、その印象は全く変わりません。というか、聞けば聞くほど味の出てくるまさにスルメのような音楽です。最近、ここまで聴き込ませてくれるアルバムは、私にはなかなかなかったです。

そしてそれはその後入手したゴルトベルク変奏曲のライブ盤を聴いても変わりませんでした。そこで彼のバッハの生演奏が聴きたい!ということで髙橋さんにコンサートのオファーをしたのでした。(この時点で髙橋さんとは何度か会って話する関係となっていました。)

通常、私がコンサートを企画する時は、こちらからも何がしかの提案をして、アーティストさんとそれも踏まえて協議して内容を決めるのですが、今回は髙橋さんに全てをお任せしました。ただひとつ、バッハの作品のみのプログラムとして欲しいということを除いて。というのも彼が長年突き詰めてきたバッハに対して私が何かを付け加える余地はありませんでしたし、彼もまた「みのりの眼」の活動方針を充分に理解してくださっていたからです。

結果、髙橋さんから出てきたプログラムはとてもユニークなものでした。そこにはグレン・グールド のアルバム「リトル・バッハ・ブック」に着想を得て、髙橋さんの考えるバッハのエッセンスがまとめられていました。

このプログラムを髙橋さんの演奏で聴く。これほど楽しみなことはそうはありません。少なくとも私にとっては。とは言え「みのりの眼」のコンサートはどれもそうなのですが、今回もまたそのような楽しみなコンサートになりました。きっとコンサートが終わった時、私だけでなく皆さんも聴いて良かったと思えることになるでしょう。

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⭐️髙橋望ピアノリサイタル
 〜バッハ・エッセンシャル〜

◯出演者
 髙橋望:ピアノ

◯曲目:オール・バッハ・プログラム
・アンナ・マグダレーナの音楽帳より
・平均律クラヴィーア曲集第1巻より
 第1番前奏曲とフーガ、第2番前奏曲とフーガ
・ゴルトベルク変奏曲より第13変奏
・フランス組曲第5番より
 アルマンド、ガヴォット
・イギリス組曲第3番より
 アルマンド、ガヴォット
・パルティータ第2番より
 アルマンド、カプリチョ
・カンタータ第106番より
 ソナティーナ
・イタリア協奏曲
・半音階的幻想曲とフーガ

日時:10月29日(火)
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
全席自由 一般:3,500円、学生2,000円
チケット予約:e+、teketなど
お問い合わせ:みのりの眼
minorinome.com


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