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一途な表現者 山田穣

ジャズサックスプレイヤーの山田穣さんは、私の中高の2つ上の先輩なのですが、私が中学に入った時、彼は既にチャーリー・パーカーの「ナウ・ザ・タイム」を、たったひとりだけ参加していたブラスバンドの朝練の音出しで吹いていました。

当時からチャーリー・パーカーを吹いていたというのもそうですが、誰も来ない朝練に毎日出てきてひとりジャズを練習する、そんな彼の姿は今にそのまま繋がっているように思います。

彼がプロ活動を始めてからも、私は折に触れて彼のライブを聴きに行きましたが、まさに孤高と言って良いその姿勢は一貫していました。

己の理想とする表現に一途に近づくためにひたすら自分と対峙するような演奏は、聴くこちら側にもある種の覚悟が必要でした。しかしそのような厳しさがある一方で、歌心あるアドリブもまた彼の大きな魅力でした。

しかしかつて偉大なビ・バップのアーティストたちがそうであったように、毎日続くまさに身を削る演奏によって彼もまた体調を崩し、活動休止を余儀なくされたこともありました。

そこから復帰して、自らのペースで活動を再開し始めた時、彼の演奏の魅力はそのままに、でもそこに大きな変化を感じたのも事実でした。それは彼がバンドのアンサンブルを以前よりも重視するようになったと思えたのです。

音楽スタイルは違いますが、ウェザー・リポートのジョー・ザヴィヌルがその活動を始めるにあたって掲げたコンセプト「We always solo and never solo」、ある意味これを実現するために、基本メンバーを固定してセットリストも変えずにライブを繰り返しているのではないかと私は考えています。

そのような彼の演奏は、毎回聴くたび心に迫るものがあり、これはコアなジャズファン以外にも広く聴いてもらいたいと考えて、みのりの眼の制作としてホールコンサートを提案しました。そしてジャズに慣れてないお客さまにも配慮して、彼の信頼するゲストを入れたスペシャルバンドでのライブをお願いしました。

これまで3回やってきたこのライブは案の定多くの人に好評を得ました。またゲストが入ることで穣さんのプレイにも少し外交的な変化も感じられ、それがさらにお客さまに親しみを持たせたのだと思います。

さて、今年もまたやります!ゲストは1,2回目にご登場いただいた盟友のトランペット奏者、松島啓之さんです。穣さんの追求する音楽は保ちつつ、またさらに聞くものの喜びにもつながる親しみも加わったものとなることでしょう。

なにごともホンモノに触れることこそがその真髄を知る早道ですが、ジャズという音楽を知りたければ、それは山田穣さんのバンドの演奏を聞くことだと私は信じています。

まずは聞いてみてください。そうしたら新たな世界が開かれることは間違いないでしょう。

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山田穣スペシャルクインテット feat. 松島啓之

出演
 山田穣(アルト、ソプラノサックス)
 松本茜(ピアノ)
 山下弘治(ベース)
 海野俊輔(ドラム)
<スペシャル・ゲスト>
 松島啓之(トランペット)

日時 11月3日(日)午後3時開演
場所 代官山ヒルサイドバンケット(50人限定)
入場料 4,500円(ペア8,000円)
         (ワンドリンク付)
ご予約・お問い合わせ:みのりの眼
info@minorinome.com

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