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じいちゃんの遺影撮影会 📷


10年前


“じいちゃんの弟さん”のお葬式の日。

私とじいちゃんの2人でお葬式を抜け出して、
葬儀場内の庭園の、綺麗なお花の前で
「遺影撮影会」をしました。


じいちゃんはよく
「次は(あの世に行くのは)俺の番だ」
なんて弱気な発言をしていました。


そんな中、大切な弟が先に旅立って、
いかにも「俺の番だ」という背中をしていたので、

「じいちゃん!遺影撮影会しよう!」
いう突拍子もない言葉をかけました。


何か面白いことをして笑かそう!
という私なりの愛だったんだと思います。

なんと不器用な孫なんだ…と思いますが、
私とじいちゃんとの関係だったから言えたこと、できたことでした。

「家族のお葬式で、遺影撮影会をしている
おじいちゃんと高校生」
という、
なんとも異様な自分達が面白くて、
2人でコソコソと、クスクスと笑いながら
「遺影撮影会」を行いました。



7年にわたる遺影撮影会


それ以降、幾度となく遺影撮影会を行いました。 

じいちゃんは、年が近い芸能人やスポーツ選手が亡くなったという報道を見るたびに、
「俺の番だ」オーラを醸し出すので、

その度に
「よし、じいちゃんもそろそろ(寿命)だから
遺影撮影しよっか!」と言いながら、
「まだまだ生きなさい!」という気持ちを込めて。


満面の笑みでピースをしている
“じいちゃん”の写真を、沢山撮ってきました。



遺影選び


3年前、無事に7年間の集大成を
遺影にすることができました。

シワッシワの満面の笑みに、
ピースをしているじいちゃん。


遺影の背景は、私たち兄弟3人で選びました。

・いかにこの写真に合うのか
・いかに「こんな遺影あるもんか!」と(息を引き取ったばかりの)じいちゃんを笑わせられるか

を基準に、3人でケラケラ笑いながら、
賑やかな花柄の背景に決めました。


ここでも誤解が生じそうですが、
自分でもびっくりです。
訃報の連絡があってから、
お葬式が終わる直前まで、泣きませんでした。

せっかくの葬儀の準備とお葬式を、
楽しんでやろう!という気持ちになったのは、
"じいちゃん”のお葬式だったからだと思います。


最高傑作


最高傑作です。

じいちゃんの遺影


じいちゃんが “達雄(たつお)” としての
肉体を失って3年経ちますが、
遺影を見るたびに「最高傑作だ…」と
惚れ惚れします。

お坊さんにも毎度、
「こんなに賑やかな遺影は初めて見ました」
と言っていただき、誇らしい気持ちになります。

きっと賑やかな遺影は、
代々引き継がれていくと思います。


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