空(くう)とは、なに?
解りにくいと言われている「空(くう)の教え」を整理します。
私たちは、いま、ここ、この瞬間しか、生きることはできません。
そうすることが未来を創造し、すでに過ぎ去った過去さえも再創造できるのです。
つまり未来を案じ、過去を悔いても。なにひとつ変えることはできませんが、いま、ここ、この瞬間には、未来も過去も変える力があるのです。
いま、ここ、この瞬間を最大限に生きる方法は、対象に「なりきる」ことです。
対象とは、自分がいま取り組んでいることです。
仕事、勉強、運動、掃除、洗濯、食事、娯楽・・・いろいろありますね、
そのことにたりきることです。
それには、自分自身がいっぱい、いっぱいの状態では、なににもなりきれないので、いまこの瞬間を生きることはできず、時間の僕(しもべ)になるだけで、ただ生きているだけの状態になります。
水がいっぱいに入ったコップがあるとします。
このコップに、別の飲み物入れたくても入れられないですね。
水をほかの容器に移すか、飲むかして、コップの中を空っぽにすることでしょう。
椅子でも同じです。自分が居座っていては、他の誰かを座らせてあげたいと思っても、自分が席を開けないと座ることができません。
いま、ここ、この瞬間を生きるには、こだわりや価値観を手離さないと、いま、ここ、この瞬間を生きたいと思ってもできません。
しかし、一方で、こだわりや価値観は創造の源です。
どこかに移そうとしても他者に預かってもらうわけにもいきません。
だから、あるようであり、ないようであり、あるといえばあるし、ないといえばないとしか言えないのです。
でも心配はいりません。言葉で整理しようとするから混乱するのです。
実際は、空(くう)に置けるのです。なぜなら実体のないものだからです。
これが「私の価値観です」と皿に乗せて差し出せるものではありません。
英語を覚えるのに、日本語のことだけを考えていては英語が入ってこないのと同じです。
過去や未来にも同じことがいえます。
過去の反省から、いま、ここ、この瞬間を最高に生きることで、思い描いた未来が創造できたなら、過去の意味が変わります。
つまり、なりきることで、いつでも空はゼロなのです。
なりきる、空であることで、私たちは時間の僕(しもべ)から解放されるのです。