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チーム学習:ダイアログ
チーム学習は、ダイアログ(ダイアログボックスの略)から始まります。
チームのメンバーが思い込みを保留し、「一緒に考える」力のことです。
語源は、ギリシア人のディアロゴス(dialogos)で、「グループの中で思考が自由に流れること」で、つまり「個人では得られない洞察を、グループとして見つけることができる」という意味です。
ダイアログの習慣は、アメリカン・インディアンをはじめとする多くの「原始的」文化の中に維持されている一方で、近代的社会ではほとんど完全に失われています。
今日、このダイアログの原理や実践が、システム思考で再発見され、現代の文脈に置き換えられようとしています。
ダイアログは一般的なディスカッションとは異なります。
ディスカッションの語源は、パーカッション(衝突)やコンカッション(激しい振動)と同じで、文字通り、勝者総取りの競争の中でのアイデアの応酬のことです。
では、チーム学習の本質とやり方に心を飛ばしてみてください。
人間関係の構えには4つしかありません。4つの構えとは
①自己肯定・他者肯定
②自己肯定・他者否定
③自己否定・他者肯定
④自己否定・他者否定
このうち望ましい関係は『自己肯定・他者肯定』だけです。
『自己肯定・他者肯定』の人は少ないのが現実です。
子育ての段階で「自己否定・他者肯定」を身につけてしまい、成長すると、払拭するために「自己肯定・他者否定」に転じるからです。
人には3つの心(5つの心)があります。
・親の心(厳格な父の心。保護的な母の心)
・大人の心
・子供の心(無邪気な子どもの心・従順な子どもの心)
なかでも重要なのが、「無邪気な子どもの心」です。
5つの心は誰にもありますが、人によってバランスが違います。
厳格な父の心が強い人もいれば、無邪気な子どもの心もいます。
「無邪気な子どもの心」は人間の原点ですが、子育ての段階で「しつけ」と称して子どもの欲求を抑圧させます。このときに大切なのが「愛着」です。愛着がセーブされると、子どもは不安から抑圧を受け入れます。すると「従順な子どもの心」が強くなります。
実際に組織を対象にアンケート集計すると、成長しない組織では、在籍者の大半が「従順な子どもの心」が強い人で構成されている事例が目立ちました。経営者、経営幹部が全員そうであったという因果律は衝撃でした。
メンタルモデルを棚上げにするとは、『自己肯定・他者肯定』の構えでコミュニケーションすることです。
ワールドカフェでメンタルモデルを棚上げにできても、組織がメンタルモデルを棚上げにできる風土でないと、うまくいきません。
この事実を組織は認識しておかなければ一過性の体験に終わってしまいます。
人はメンタルモデルによって自己防衛しています。
現実には自己防衛になっていないのが悲劇で、自己防衛によってますます自分を追い込んでいます。組織は知らず識らず、巻き添えを食います。
チーム学習でのダイアログは、学習の効果を阻害するやり取りのパターンをどのように認識するかを学ぶことでもあります。
自己防衛のパターンは、往々にしてチームの行動パターンに深く埋め込まれています。気付かないままでいると、自己防衛のパターンが学習を阻害します。
自己防衛のパターンに気付き、創造的に表出させることで、学習を加速させられます。
正しいチーム学習は組織がメンタルモデルを棚上げにできる風土であることが前提です。
私=組織、組織=私であるために、人生とライフプランに最適化したメンタルモデルを個々個人に促し育む覚悟が必須です。
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