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S・ジョブズ 「十牛図」を歩いた56年(2)

自分が創立した会社から追放されたスティーブ・ジョブズ氏は、牛に逃げ出された牧人と同じ状態です。

「尋牛」の旅がはじまります。

その後、ピクサー・アニメーション・スタジオを設立。またNeXT Computerを起業し、(OS) NEXTSTEPを開発します。
これがアップル復帰後の新しいMacOSになります。

それはMacを「デジタルハブ」とするコンセプトのもとに実現します。

牛の足跡を見つけた十牛図の「見跡」の状態です。

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牛の足跡を見つけた旅は続きます。

1995年当時、MacOSクラシックを模倣したMicrosoftのwindowsが業界を席巻していましたが、その裏で彼の夢が進行していました。

コンピューター・グラフィックと映画界に大きな変革をもたらしたピクサー社はスティーブ・ジョブズが創った会社。

1986年に制作された小さな動画が彼の心を大きく動かしました。

そして、アップルに復帰します。

ついに牛の尻尾を発見、牛を見つけた「見牛」の図です。

逃げた

同時に小さな動画は1995年の『トイ・ストーリー』となって大輪の花を咲かせます。
『トイ・ストーリー』が公開。

アップルに復帰したジョブズ氏は、1998年にiMacを投入します。
有名な「Think different」が発表された時期でした。

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iMacのプレゼンのために日本に来日、NHKのインタビューにも登場します。

このときに、iMacの快挙を大したことではないと言い、トイ・ストーリーの素晴らしさに触れていました。

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コンピュータは日進月歩で変化していくが、『トイ・ストーリー』は永遠に人の心に残ると、自分の子どもを引き合いに出して「人を感動させる力、その持続性」という点を称えました。実の父母を知らずに育った自身への愛着だったのかも知れません。

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人生で大事な究極の問いかけがあります。

自分はなにものか?
生きるとはどういうことか?(死ぬとはどういうことか)
他者とはなにか?


スティーブ・ジョブズ氏にとって、避けて通れない究極の質問だったと推測できます。根本心である「阿頼耶識」は探究心と冒険、そして美へのこだわりとなり、ポジティブに働きました。

格闘

そして十牛図「得牛」のときがやってきました。

iMac、トイストーリーの華やかな成功は、まだ牛を捕獲した状態ではなく、牛を追いかけていただけだったのです。

本当の「得牛」の戦いはここからです。

スティーブ・ジョブズ氏は、いよいよ「デジタルハブ」構想を発表します。
このニュースを報じたのはマック専門誌だけで、それも小さな記事でした。
しかしこれがIT革命のはじまりでした。

最近は「マインドフルネス」「ミニマリスト」が流行ですが、これらも「デジタルハブ」に繋がっているひとつと考えて良いと自分は断言します。

デジタルハブ構想発表時点で、彼は真の自己を発見、ついに捕らえたようです。

その眼差しは、遠くまで見通し、深く内省し、自身の潜在意識に宿る「阿頼耶識」を見通す力を身につけていたようです。

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「十牛図」6枚目の絵、「騎牛帰家」で、牧人が牛に乗り、笛を吹いている姿は、スティーブ・ジョブスそのものです。

25年先を見ているだけでなく、ピクサーにインスパイアされ、こんなにも素晴らしいもの生みだす人間の素晴らしさを感じとったのではないでしょうか?

スティーブ・ジョブスの心を具現化したものが、人をもっと自由にするデジタルハブ構想でした。

同時に、彼の内面にあった執着が溶解し、人との関係にも優しさが芽生えます。

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