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エルヴィスがいた。1956
エルヴィス・プレスリーの代表作はたくさんある。しかし一曲選べと言われたら<ハウンドドック/Hound Dog>に尽きる。<ハウンドドック/Hound Dog>はアメリカ社会を根底から揺るがし、世界を変えてしまった曲だからだ。
<ハウンドドック/Hound Dog>はエルヴィス・プレスリーのオリジナルではない。それなのにアメリカ社会を根底から揺るがし、世界を変えてしまった曲というところにエルヴィス・プレスリーの真骨頂がある。
<ハウンドドック/Hound Dog>は、エルヴィス作品を多く作っているゴールデンコンビ、ジェリー・リーバーとマイク・ストラーが1952年に、黒人女性ブルース・シンガー、ウィリー・メー・ビッグ・ママ・ソーントンのために、共作した曲。
ビッグ・ママ・ソーントンは、当時駆け出しだったエルヴィスに「私がどんなふうに歌ったかなんて考えないで、あなたらしく自分のスタイルで。自信を持って歌えばいいのよ。私はあなたのファンよ」と言ったという。
この言葉にロックンロールの心がある。ロックンロールはベートーベンのような高尚な曲ではない。ヘタウマでいいB級パラダイスの世界だ。
ティーンエイジャーという概念すらなかなく、若者がお金を持っていない時代に、1000万枚セールした。エルヴィスはその世界で頂点に立った。
C級でもD級でもなく、<ハウンドドック/Hound Dog>は<冷たくしないで>の両面ヒットした。永遠のB級サウンドが、永遠に世界を変えた。
エルヴィスは語らないが、メッセージが歌にある。
エルヴィス・プレスリーのカヴァー曲には、聴こえる言葉が聞こえないことに触れている。おたまじゃくしがニコニコ空中で遊んでいる。
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