空(くう)
「ある」でもなく、「ない」でもなく、「あるとない」でもなく。。。
これが「空(くう)」です。
空とは空っぽ、なにもないではありません。
よく誤解されますが「無我」ではありません。
「空(くう)」は、仏教の究極の答えとなっています。
そもそも仏教は、ブッダ(お釈迦様)が「四苦八苦」に対する根本的な解決方法を求めて開かれた教義です。
四苦とは、生・老・病・死(しょう・ろう・びょう・し)の避けようのない苦しみです。
八苦は、四苦に足す次の4つの苦しみです。
愛別離苦(あいべつりく)
親・兄弟・妻子など愛する者と別離・死別する苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく)
怨み憎む者に会う苦しみ
求不得苦(ぐふとくく)
求める物が思うように得られない苦しみ
五蘊盛苦(ごうんじょうく)
五蘊(人間の肉体と精神)が思うがままにならない苦しみ
「四苦八苦」に対する根本的な答えが「空」になる因果関係を紐解いた壮大なお話で600巻あります。
それを262文字に、まとめたお経(主に般若心経)とはブッダが弟子に話された内容を要約したものです。
なので、「あるとない」は重要なテーマで、星の王子様が言ったように「大事なものは見えない。心で見なくちゃね」に通じます。
宮澤賢治の「サウイフモノニ、ワタシハ、ナリタイ」という「サウイフモノ」も価値があるように見えないけれど、本当は価値がある人のことです。
同じく宮澤賢治は『注文の多い料理店』でも「風」という見えないものを使って「異空間」と「現実」を自由に往来しています。
私たちは「ある」ことばかりに関心があり、四苦八苦にストレスまみれになりますが、ないこと、見えないもの、たとえば気配り、心配りしたほうが楽しく過ごせるようです。
コミュニケーション能力といえば言葉や態度・行動に注目しますが、気も心も人間が出した電気信号で、言葉以上に重みを持ちます。
今日も風に吹かれて、ないもの、見えないものを大切に、素敵に過ごしたいですね。