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香水の紹介文が好きすぎる話
そこまで詳しいという訳でも、本数を持っている訳でもないが私は非常に香水に興味がある。
知識的な話もそうだし、香りもそうだが、私的には香水のことを割と芸術作品として見ている節が大きく、香りというよりはビジュアル/コンセプト/モチーフなど、一つの作品としてのセンスを見ていることが多い。
中でも、詩的な表現がなされている香水の詳細文に目を通す事をかなりの楽しみにしている。(好きな文章たちを纏めた場所にコピペしては見返しているほど…。)
ポエムや詩的表現に関して、正直まあ一般的には嘲笑されがちなイメージが私にはあり、何を書いてあるのかよく分からない、雰囲気だけ、厨二病…とも言われがちな気がしている。尖った偏見かもしれないが、少なくとも私が見てきた環境下ではそういう扱いであった。
人がどれに対して何を思うかは自由なのでまあなんでもいいんだが、私的には、いわゆるそういう雰囲気を重視した厨二病的表現が何よりも好きだ。私が厨二病だからかもしれない…
ロマンを感じるし、ニュアンスとして掴みやすいし、見ていて本気で心が踊る。香りという、見えない/掴めないものを、ブランドの感性で美しく纏まった文章にするという行為自体がまず凄いことだと思っているし、想像力や語彙が豊富でないと人を惹きつける事は出来ないだろうとも思う。
ということで好きな紹介文のものをいくつか引用して持ってこようと思う。今回の焦点は紹介文のため、私が嗅いだことのない香水も含む。というかほぼ全部そう。香水って高いんですわ…
以下目次。趣味に寄りまくってるのでニッチ系が多め。
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・sergelutens - Fils de joie フィスドゥジョワ
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美の中には、絶望がある。 自らを犠牲に喜びを与える。 堰を切ったようにあふれ出す高笑い。 過去の痛みを孕む狂喜こそが、 奇妙なことに神秘性を深めてゆく。 私は「喜びの申し子」だ! 親しみと刺激が尾を引くかぐわしさ。 お忘れなきように。 美しさの底にあるものを、暴いてはいけない。
セルジュ・ルタンスというブランドの、真っ赤な液体が印象的な香水。刺激的でどこか猟奇的な文章が印象に残っている。パンチが強く、美の底に隠れた恐ろしさというものを表現していてかなり好み。感嘆符で悦びの部分が強調されているのもいいなと思う。
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・Etat Libre d'Orange - ラ ファン デュ モンド 世界の終わり
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アルマゲドン。終末論カルト。マヤ暦。私たちは世紀末のパニックに耐えた。そして、新約聖書の予言を知っているし、終末の時と破局について聞いたことがある。ただ1つ疑問が残る。それってどんな香り?
私のかなり好きなブランドである「エタリーブルドオランジェ」からの一本。世界の終わりというコンセプトの面白い香水。誰も想像した事がないであろう「世界終焉」の香りを、すこし遊び心のある紹介文で彩っているのが印象的。
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・Maison Matine - トゥ トゥ カルム 一息つかない?
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人間の欲望は無限大。この世の果てを希求する飽くなき探究心。大胆で逆説的な香り。宇宙の可能性を最大限に探求しようとする熱狂的な冒険者の物語。いま飛び立つとき。ちょっと待って。みんな、ここで一息つかない?
可愛らしいボトルが特徴的なメゾンマティンからの一本。冒険心溢れるパワフルな紹介文とボトルデザインだが、一息つかない?とこちらに声を掛けてくる、軽やかな紹介文が可愛らしい。ここのブランドのボトルや紹介文は、どれもフランクなので見ているだけで楽しいと思う。
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・Unum - スクーザミ ごめんなさい
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自ら許しを求めよ。荒れ狂う運命の中でも後悔に苛まれ、誰かの怒りは肥大し、溝は時と共に深まる。書き換えられない記憶と、謝罪への逡巡が心に自責の傷跡を残す。そこに芽吹いた花びらに囁いた。ごめんなさい、と。
「ごめんなさい」、という言葉そのものを香りにするという、これもまた変わった一本。激しい後悔や悲しみの感情の最後に、ぽつりと零すように書かれた「ごめんなさい」、が印象に残っている。後悔した後って、そういう気持ちになるな〜とも思う
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・Zoologist - カメレオン
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カメレオンの聖地マダガスカル島。海の吐息は楽園のビーチを愛撫する。インド洋を横切る太陽に照らされた鱗は黄金に輝き、落日の後にはサファイアを身にまとう。誰も知ることのできない、ほんとの彼の色。
ありとあらゆる生き物や動物をモチーフとした香水を多く出しているブランド、「ズーロジスト」からの一本。創作物でも主張されることの多い、周囲に溶け込むという特性を持ったカメレオンについて美しく表現した文章。
ズーロジストの香水は、動物の偉大さを表現している事が多いのでどれを紹介するのか結構迷った。
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・Etat Libre d'Orange - リヤン なにもない
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なにもない。ただそれだけ。
先程紹介した「世界の終わり」と同じ香水ブランドの一本。簡潔に纏められた、なにもない、というそれだけの文章が非常に良い。
この香水は所持しているのだが、スパイシーでどこか鋭利な香りがする。突き刺すような存在感を与えてくれるので、強気なスパイスの香りが好みの人におすすめ。
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・Fueguia - Biblioteca de Babel ビブリオテッカ・デ・バベル
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重厚な革の装丁、羊皮紙とインクのにおい、バベルの図書館のパラドックスへと閉じ込めるビブリオテッカ・デ・バベル。アルゼンチンのマメ科の常緑高木、恐れの気持ちを和らげるとされるカブリューバはナッツのような芳香とウッディフローラルのニュアンス。ヒノキ科のアウストロケドルスとシナモンのあたたかく神秘的な広がり、そして明かされていない多くの香り分子が本に宿る言葉と思考のように幾重にも重なり美しい亡霊を呼び覚ます。フエギアのはじまりの香り、ビブリオテッカ・デ・バベル。
アンティークなブランドであるフエギアからの一本。図書館、皮、インクの香りを表現している文章だが、厳格さや神秘的な雰囲気も感じ取ることが出来て嬉しい。書物って歴史の連鎖ですからね…
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・Nasomatto - ブラックアフガノ 吸う吐く至福
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極上の香りを吸って吐き出せば、つかの間の至福のひとときへ。6年もの歳月をかけて世界最高品質のハシシ(大麻)を再現。人生においてこの恍惚感より大事なものなどなにもない。
香りも文章も大好きな香水。大麻をモチーフとしている香水で、恍惚感や酩酊、至福に酔うことを前面に引き出す、欲望に正直な最後の一文が好き。
香りとビジュアルもかなり良く個人的に気に入っている。
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・Nebbia - ピオッジア フォルテ 大雨
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突然の豪雨の記憶の中で結ばれた二つの身体。水面越しに抱き合う二つの欲望。孤独な山、失われた世界で感情の音に融合。虚空に降り注ぎ、叫びは物質となり、静寂を破る。水、火、木の恐怖。暗闇で踊る恋人たち。
雨や霧にインスパイアされた香水たちを作り上げているブランド。土砂降りの豪雨に打たれるような仄暗く神秘的な文章のことが好き。文章もさることながらボトルデザインも特徴的で、細かく表現された水滴と雲や霧を表現したボトルキャップがかわいい。
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・Mendittorosa - アミグドラ 扁桃体
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私たちは脳の中にはお花があるのだろうか。花々がひらめく天使の隠れ家。アーモンドの形をした非常に小さな部分、扁桃体。恐怖と感情に加えて、光とスミレ、神秘と情熱、執着と飛翔、不可解な美が広がる無限の花畑。
商品名の通り、脳もとい扁桃体をモチーフとした香水。無限の可能性を持つ人間の脳と、感情の中枢である扁桃体を神秘的かつロマンチックに表現している。
このブランドも斬新なボトルデザインが多いため、見ていて楽しい。
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最後に
他にも沢山紹介したいものはあったが、この辺りで留めておこうと思う。特にnose shopのオンラインショップでは、香水の紹介文が詩的な表現方法として素敵なものが沢山あるので、ぜひそこにも目を配ってみてほしい。
ここまで目を通してくれた人がもし居たら本当にありがとう。
香水ってサイコ〜なのでよろしくお願いします