さいたま国際芸術祭にいった
最初に言うとこの記事には写真は一切でないです。
ネットで少し話題になっていた展示。個人的に好きそうだったで行ってみた。
行ってみた一言感想は、不穏と違和感を購入した展示って感じでした。満足。
好きそうってだけで、前情報はほぼ仕入れていない状態でいった。
さいたま国際芸術祭はなんとなく知っていて、地域全体で期間内はいろんな展示や芸術に属したイベントが行われていて、地域活性化とかそういうのが目的の催しで、こんなの言わなくても名前から察せるよね。
今からする話はその中でもメイン会場の話で、今回のイベントの肝になる展示…だと思う。メインだし。特にここら辺も調べてないので全部あやふやです。
会場は取り壊す予定の市民館で行われているため、廃墟…と言うよりは古めな学校的な施設を歩かされてる感じでした。(廃墟というには人気がありすぎるので)
これから取り壊す展示なので、窓を突き破ってたり、手すりが削られていたり、復旧負荷な手を加えられてる箇所もあってそういう思い切りもよかった。
展示の期間は約2か月でメイン会場の展示は少しずつ変化していたらしい。1回しか行ってないので、もちろんどの程度の変化かわからないけど、ただフリーパスみたいなものがあってそうすると30日は通い放題らしい。ご近所さんにはうれしいかも。フリーパス買うと首からぶら下げるパスケースがついてくるらしく、それをぶら下げている人も多々みかけた。
フリーパスのおまけ(?)でなぜパスケースと思ったが、会場のつくりとして敷地内を1周するとしても3回ぐらい再入場する場面があったので「そういう事ね~」となった。メインの建物正面、メインの建物の2階からの入り口、別館の入り口。それぞれでチケットをみせなくてはいけないので、うろちょろしながら何回もチケットをみせた。わざと変な構造にしてある箇所もあり(屋上にでて窓から入るなど)、なんか、こういうゲームあるよなぁ…みたいな気持ちになった。
大まかな展示内容は、大ホールで行われる公演に向けて準備をしている市民館をぐるぐる徘徊する(と私は思ってる)のだが、違和感を感じるものがたくさんある。
例えば、空のバケツからコードが伸びてるヘッドフォン、明らかにそこには干さないだろうという場所に干してある洗濯物、廊下の途中に貼られた「旅に出ます」とかいてある付箋、屋上に片方だけ置いてある靴、脚立がないと届かない位置に置いてある養生テープ、洗面ボールの淵ぎりぎり水がたまってる手洗い場、展示用のアクリル板を設置前じゃないと置けない位置にあるコンビニコーヒー、などの明らかおかしいもの。はてはベンチに置いてあるハンカチみたいな、これまじの落とし物?というものまであった。ハンカチはいまだに落とし物かもと思ってる。
そんな市民館をぐるぐるしていると異質な人もいる。僧侶の恰好をした3人組、機器につながっていないヘッドフォンをしながら本を読む男性、展示室の片隅で一人でパソコンをたたいている女性、アクリル板で丸見えの控室でお弁当を食っているスタッフたち。この人たちはスケーパーというらしい。ここをみてもらうのが手っ取り早いのだけど、つまりは仕掛け人側の人たちらしい。
ただし、あんまりにも自然とそこにいるため、こっちも「あの人たちスケーパーよね?え?一般人?」となる事もある。もしかしたら本当にスケーパー装ってるただの来賓者の可能性もある。そして意味深な顔で作品を見ている私すら、はたから見たらスケーパーと思われる可能性があるのも面白いところ。
ちなみにスケーパーを見かけたら報告することがきて、目撃談みたいなのがまとめられている部屋がある。壁一面に貼られた地図に目撃情報が書き込まれており、逆側の壁には提出された報告書が一面貼られれいる。なんか、こういうゲームあるよなぁ…みたいな気持ちになった。
ちなみにスケーパー関係で一番面白かったのが清掃員の人である。
歩き疲れてトイレの近くのベンチに座ってたら「ザ・清掃員さん」みたいな人が掃除をしにトイレに入っていった。くすみのない緑のつなぎぽい作業着、三角巾、腰回りに掃除道具をぶらさげた鞄が、2時間サスペンスで出てきそうだな~とおもった。なによりトイレに入る前に、私の座っている前にあったベンチにわざとらしくハンディモップを投げていたのが違和感だった。とはいえその人がスケーパーという証拠もなければ「そうだとして、なに?」というのもあり、なんとなくモヤ~としていた。
しばらくすると、箒とバケツを片手に、ポロシャツで腰エプロンでキビキビと歩く清掃員さんがトイレに入っていた。あ、こっちが本職の方だ。本能的に思った。1分ぐらいで「ザ・清掃員さん」がトイレから出てきた。なんとなく「勝った」と言う気持ちになった。戦ってもいないのだが。
そんな感じで、違和感といっても実際明らかな異質(例えば血の付いた凶器が落ちているとか)があるというよりは本当に些細な事で、でもそれが前触れも説明もなくある状態が不安な気持ちになる展示だった。
日常生活でも、夜道をあるいてたら道路の真ん中に唐突にみかんが落ちてたら、怖いと思うんだけど、それがただスーパー帰りに誰かが落としただけであっても、何か意図を感じちゃうみたいな感じ。そんな異質感がいたるところちちりばめられている感じ。展示だから全部全部意識的に置かれてるんだよな~と思うと、意味がないとわかっていても、なんとなく意味を考えてしまうところもあった。
なんでアレあそこに置いてあるんだろうとか、そういうの考えてしまう人のが楽しめそうだ。
後遺症として、展示をみおわったあと、道に落ちてるデカめの石とか、商業施設の変な位置にある椅子とか、多分特に意図がないものもすべて意図的に置かれてるような気持ちになった。
あとここまで読んだ人なら薄々感じてそうだから、割と総じてゲーム的な楽しみ方をした。マップが読めるタイプでよかったと思った。
あと展示の基礎的なコンセプトが「公演準備中」という感じだったので、学生時代に展示の設営をしていたあの頃を思い出した。このコンセプトで学校全体巻き込んんで、展示会とか出来たら楽しそうだなと思った。もう戻れないわけだが。(怖い話)
ちなみにメイン会場ではそういう大元展示とは別にポツリポツリ個人の作品もあった。現代アートにくくられる作品群だと思うんだけど、そういう作品が前触れもなく唐突に置かれる感じは、大元の展示とは別によかった。