むかしのこと

今もあるのかわからないのだけど、私が子どもの頃、土日の休みになると聖書を持って訪問してくる女性たちがいた。
その人たちはみんなおそろいのように質素な服装をして、苦しそうな辛そうな、はたまた追い詰められたように見える姿で、毎回訪れて聖書の教えを聞いてほしいと、どこかの章を読んだ後集会に来ないかと、言うようなことをいっていた。
親が出る時はにべもなく追い返してしまっていたが、私はそれができなくていつもその人たちの話を聞いていた。
大抵そのそばには、自分と同じくらいの歳の子が突っ立っていて私をじっとみていた。

休みの日なのにお母さんのそばについて大変だな、と思っていた。でも私はその時子どもだったので彼女たちが何をしているのか、何が目的なのかがわからなかった。だけどなぜか私はあの人たちを親のように拒絶ができなかった。

大人になった今でも、彼女たちがうちへ毎週のようにきて何をしたかったのかぜんぶわかったわけではないけれど。
ただ、今になって時々思うのは、お母さんのそばにいた子どもたちは、今どんな大人になったのかな、今、幸せだといいな、ということだけなんだけど。

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