ギラギラネイルと真夏のサマージャンボ
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雨が降る前のむしっとする茹だる暑さの中、
たまたま同じ時刻に上がりだった先輩とロッカールームで鉢合わせた。
ガコン ロッカーを開ける。
「あんたもつぎのバス?一緒にのろ」
先輩は、金色の王冠のチャームがついた、ピンクのラメ地のネイル爪をきらつかせながら、伸ばし途中のブロンドっぽい髪を耳にかけた。
カードキーを通し、道路沿いのバス停に並ぶ。
「先輩、この時間のバスで帰るの珍しいですね。」
「駅で買いたいものあってさ。ちょっとついてきて、ジュース奢るから」
「えーじゃあスタバのピーチのにしようかな...」
「は?あんたさー、別にいーけど」
「わーお!太っ腹!」
「はー。出し惜しみなんかしていたら、人生なんていくら時間があっても足りねェよ」
先輩はバスの中でそんなことを言ってた。
駅に着いて、気づいたら手にはスタバのピーチのドリンクを持ち、なぜか宝くじ売り場に並んでいた。
先輩は紫色のキルティングの財布を取り出し、
売り場のおばちゃんに諭吉を5枚叩き渡した。
ライトの光が、金色のチャームに当たって反射している。
先輩、大盤振る舞いだなあと他人事のように側から見ていた。一等が当たる確率は、隕石が頭に打つかるくらいの確率だと聞いたことがある。一等、7億円...。
「先輩は、どんな暮らしがしたいんですか?」
率直に聞いた。自然と出た言葉だった。
「そんなんさー、決まってんじゃん。」
「・・・当たったらまず、あんたと山分けして自然いっぱいの牧場でのんびり暮らす。彼氏には野菜栽培をお願いしようかな、ははっ」
会社一の現代っ子と言われる先輩の返事にびっくりしたが、ヘラっと笑った先輩の顔はどこか清々しくて楽しそうだった。
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ギラギラネイルと真夏のサマージャンボ
2019.07.31