そのコーヒーはあなたとの時間
雨宿りで入ったカフェ
隣りの席では初老のご夫婦が
同じく雨宿りのコーヒーを愉しんでいた
旦那様はちょっと頑固そうで
白いおひげが印象的
紋付き袴に勲章が似合いそうだな・・・
と、妄想を愉しむ
コーヒーを飲んだら
白いおひげがコーヒー色に染まってしまわないだろうか?と
大変失礼だが、いらぬ心配をする
「我が家にも
ステキなコーヒーカップを誂えませんか?」
「たかだかコーヒーを一杯飲むだけだろう
わざわざ買う必要はない」
「でも、あなた
その一杯のコーヒーは
あなたと飲むコーヒーなんですよ?
私にとってはとても大事な時間ですから
買ってもいいでしょう?」
「あなたと飲むコーヒーだから」
その一言に
ご夫婦が共に歩んでこられた時間が込められていた
とても素敵な年の重ね方をされてきたのだと
生意気にも、感じ入る
一緒にコーヒーを飲む人がいるシアワセ
当たり前のような日常のワンシーンを
大切にしたいと思う
窓の外を見れば
雨が上がった道路を
先ほどの夫婦がゆっくりと歩いていく
ステキなカップが見つかりますように・・・
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