コーヒーの焼ムラを愉しむ
フライパンでコーヒー豆を焙煎しているその人は
とても楽しそうにコーヒーの話をする
若い頃に見たエチオピアの
コーヒーセレモニーの話である
それに感動を覚えて
日本にももっとエチオピアの豆や
コーヒーセレモニーの文化が広がったらいいよね!
と、熱く、楽しく語る
ゆえに・・・
手元を全くと言っていいほど
見ていない
フライパンの下では
ガスコンロの火がゆらゆらと揺れている
フライパンの上では
焼けている豆と焼けていない豆が
混然一体として、そこにいる
頭の中でエチオピアを思い出しながら
楽しそうに話しているところに水を差すようだが
これは、言わねばならないのではないか・・・
意を決して
タイミングを見計らって
私は言った
あの・・・
豆、焦げてませんか??
私の声で我に返り
自分の手元でいい香りを漂わせているフライパンを見たその人は
一言、こう言った
コーヒーの百面相・・・
それは、味の宝石箱みたいなものだろうか・・・
その自信たっぷりな一言に
あっけにとられながら
コーヒー豆の百面相も
お気に入りの表情に狙いを定めた
ムラのない焙煎も
どちらもオモシロイ
どちらかだけに決めることなく
ゆるゆると、このムラを愉しもう
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