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天気の子で、恋ダンスが絶妙に泣けた話。

ネタバレ注意です。映画をご覧になった方を対象に書いています。
※ 表題の通り、映画「天気の子」のゆるい個人の感想&妄想文です。キツかったらごめんなさい。

恋ダンスに泣かされる

映画の終盤、警察に追われる帆高、陽菜、凪は、大雨の中で泊まれる場所を探します。
子どもだけという理由で宿に断られ続けた末に、なんとか泊まれるラブホテルを見つけます。
疲れ果て寝るわけではなく、大きなベッドに飛び乗ったり、ルームサービスの軽食をとったり、枕投げをしたり…。
そのレクリエーションのひとつのカラオケで、陽菜が星野源の「恋」を歌いながらダンスをするシーンがあります。
たった数秒のワンカットでしたが、うかつにもホロっと泣かされてしまいました。

懐かしい選曲の理由

このシーンを見た方は、「恋ダンス、懐かしい!」と思ったのではないでしょうか?
この物語自体は 2021 年夏の話ですが、恋ダンスの絶頂であるドラマの逃げ恥が放送されていたのは 2016 年の年末で、 5 年弱も間があります。
これは、映画の制作中に流行った曲を使ったら公開の時には過去のものになっていた… なんてつまらない理由ではないはずです。

陽菜と凪がお母さんを病気で亡くしたのは 2020 年のこと。
小説版には「何ヵ月も目を覚まさなかった」とありますし、きっと重篤な状態はその前から続いていたのでしょう。
それでも2016年の年末にはまだ元気で、きっと家族 3 人で楽しく過ごせていた最後の時間だったのではないかなと思います。
アパートの様子からしても、お母さんがいたころもけっして裕福ではなかった。
それでもテレビの前で、当時小学生の陽菜が明るく恋ダンスを踊って、凪もそれをまねっこして、お母さんはほほえみながら 2 人を見ている… という、幸せな家族の風景を想像してしまいます。

陽菜は 15 歳の女の子です。
きっといまだったら DA PUMP の「 USA 」とかですら「なつかしー」とか言いながら、タピオカミルクティ飲む歳ですよ。
だけど陽菜は、凪が言うように「母さんが死んでからずっとバイトばかりで青春していない」のです。
陽菜の幸せな時間は、第二次ガッキーブームの時代で止まっているのです。
そんな陽菜が、やっと普通の女の子と同じように恋をして、好きな人の前で初めて歌って踊ったのが、盛り上がれる“最新の”ヒットナンバー「恋」なのです。

思い出を人に話す勇気

自分の思い出がつまった歌、本、場所など… 人に言うのってすごく勇気がいりませんか?
他人の大切なものを平気でけなす人も多いですし、ましてや友達とのカラオケで「恋」とか入れたら、「古い!」とか無邪気にバカにされることすら想像できます。
いまは亡きお母さんと過ごした時間、もう増えることがない大切な時間を彩った歌を、そんな言葉ひとつで片付けられたらつらいし、成熟した東京のティーンならそのあたりのガードは固そうですよね。

それでも陽菜は、心を開いている帆高の前だからこそ、自分にとっての大切な歌を歌えたのではないでしょうか。

幸せな時間に必要なもの

帆高がこのホテルに泊まっているときに、「神様、僕たちにこれ以上なにも足さず、なにも引かないでください」と言っていました。
ウイスキーの CM みたいですね。
きっと陽菜からしても、そんな恋ダンスを見せられるぐらい安心できる人が隣にいて、最低限のシーフードヌードルとからあげクンが食べられたら、もうなにもいらなかったんじゃないかなと思います。

さいごに

ド派手なシーンもすげぇー!って鳥肌立ちましたし、感動したのですが、 2019 年のいま観たからこその妄想を書いてみました。
監督的には、「まあ恋の話だし恋ダンス入れとくかー」ぐらいの感じだったのかもしれません。
ちなみに凪が歌っていた「恋するフォーチュンクッキー」は 2014 年の曲ですので、さすがにリアルタイムで知っているか微妙なところですよね。
保育園のお遊戯会で踊ったとかは、ありえそうかなー。

今作は新海誠監督の映画の中でも 1 、 2 を争うぐらい好きです!
きっとまた観に行くし、ブルーレイも買います!

いい感じにまとまらないけど、以上です!

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