見出し画像

浮気したから、いなくなってしまったのだとしたら。

むかしむかし。京都の恵文社一乗寺店で売っていた文庫本カバー兼ショルダーがあった。

ざっくりこんな感じ。右上は開いた図。片方はしっかりと金具を使った穴があいていて、そこからひもを通して、しおり兼ショルダーひもになっていた。斜めがけしてたから、かなり長いひも。

カバーは片方は袋状になっており、背表紙を差し込める。もう片方は本を閉じるひもが付いていて、どんな厚さでもある程度許容できるデザインになっていた。肩掛けひもは、そのまましおりになっており、ただ、本を運び、本を読むためのブックカバー兼ショルダーだった。

というのを思い出したのは、Facebookにでてきた「文庫判 読むしかできないブックショルダー [2way]」の広告だった。ああ、コンセプトはいい。惜しいのは、厚さが制限されるデザインかな。

あのブックカバー兼ショルダーは、かなり愛用してたのだけど、引っ越しの中でなくしてしまった気がする。その後、どうしてもあれが欲しくて恵文社一乗寺店に問い合わせたけど、もう取り扱っていなかった。

前のブックカバー兼ショルダーは、どんな厚さでもOK。京極夏彦でもいけたし、ショルダーひもがそのまましおりになるというデザインも優秀。

ズボラな私が、わざわざ、ユザワヤで切れたひもの代わりを探して使い続けるくらい大切にしてたつもりだけど。

でも、引っ越した時期は、紙の書籍が減って、書店が減って、古書店も減って、電子書籍が増えてきたとき。

私が電子書籍をたくさん読み始めたから、KindleやKoboを買ってしまったから、あのブックカバー兼ショルダーは、いなくなってしまったのかもしれない。浮気に怒ったヒトみたいに。

あれから10数年。あのブックカバー兼ショルダーを超えるブックカバーに、出会えないまま、時が過ぎている。元彼的なブックカバー兼ショルダーの存在が、大きすぎるんだ。

※※※

もう一つの可能性として、酔っ払うとヒトにモノをあげる(押しつける)癖があるので、誰かにあげてしまっているのかも知れない。それだったら、まだ、救われるのだけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?