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Asia Eternal Weekend Legacy 2022 TOP8レポート

ご挨拶

どうも、urbです。
夏のBMO以来の記事となりますが、先日開催されたAsia Eternal Weekend Legacy 2022、エターナルパーティ2022 東京・大阪 Winterの3大会へ参加してきましたので、今回はその連戦のレポートをしたためていきたいと思います。前編となる本記事では第一週目のエターナルウィークエンドの内容についてまとめていきます。

序章:大会に至るまでの紆余曲折(10月~11月)

夏のBIG MAGIC OPENレガシーを終えてしばらくはデルバーを中心にプレイしつつ、10月中頃から赤単ストンピィ〜ボロスストンピィの調整を進めていました。
理由としてはデルバーのチューニングに頭打ち感を覚えていたのに加えて、赤単のストンピィにタッチカラーをすることで《時を超えた英雄、ミンスクとブー》などのパワーカードや特に白を迎えることで《Comet, Stellar Pup》や各種イニシアチブクリーチャーらを組み込み、新しい構築の方向性を模索する試みに没頭していたためです。

それなりの手応えは感じていたものの、
まさかここまでイニシアチブがブレイクするとは…

取り組みとしてはなかなか面白く有望さもあったのですが、まだまだ今のようにイニシアチブを軸としたデッキのナレッジも溜まっておらず11月半ばの時点でこれ以上の単独の調整では納得のいく完成度まで持っていくことは難しいと判断し、デルバーに回帰しひたすらプレイと構築のチューニングに打ち込んでいました。

検討すべき要件の探求

いざデルバーを握るとなればミラーの構築の傾向は然ることながら環境内の既存デッキの流行や新デッキなど、デルバー以外のトレンドにも目を向けて包括的な検討に取り組んでいくこととなります。

メタゲームとトレンド

あいも変わらずメタゲームの中心に立つのは王者URデルバーではありますが、昨今のサプライセットの発売増加の影響著しいレガシーにおいては周辺環境の変化によってメタゲームの変化が生じてきます。

また、今回の大会ではその前期間の間に一部Magic Online(以下MO)で実装が遅れていたカードの実装によってテーブルトップとの間に生じていた構築やメタゲームの乖離傾向が是正されていたため、以前よりも研究が進んだアーキタイプや構築の細部に目を向けていく必要がありました。

①イニシアチブの台頭

冒頭に述べた白いイニシアチブ持ちクリーチャーを軸としたデッキがMOでの実装から日を経つに連れ徐々にリストとしての完成度を増し、遂にイニシアチブストンピィとしてMO内での競技トーナメントで複数同時入賞を果たすにまで至っていました。
ストンピィ系のデッキは赤単や(少々毛色は異なるものの8castなども)環境に対していずれも大きな影響を与えており、デルバーからしてもメインボードでの勝率維持が難しくなりがちなことからサイドボードで一定の対策を採ることで不利を避ける取り組みをしてきていたため、ここにきて徐々に要マークの存在となりつつありました。

②《相殺》採用の一般化

《狂乱の呪詛》がMOに実装される前からデルバーのサイドボードで少しずつ採用されており、それがテーブルトップに於いて逆輸入される形で徐々に1,2枚の採用が一般化しつつありました。
《狂乱の呪詛》との比較ではスタック上においては《紅蓮破》に当たりやすいものの、テストプレイの中から改めて以下のような所感を得ていました。

  • 仮に設置後即破壊され1対1交換となってもカードカウント上は損していない

  • 一方で、うっかり通ると置かれた側のプレイが急に自縄自縛となりやすい

  • 《意志の力》や《紅蓮破》を引き受けやすく、本命前のデコイとして優秀

盤面に着地すれば《ドラゴンの怒りの媒介者》や各種トップ操作系スペルとのコンビネーションで強い支配力を持ち、盤面が五分やそれ以下の時であっても逆転のきっかけとなるポテンシャルを持ちながら決して大ぶり過ぎず…とはいえ相殺に体重をかけずとも"それを置いたことで何が起こるか"が割と印象を良くしていました。
かつての"独楽相殺"全盛期を体感していない自分のような最近のプレイヤーにとっては完封することが前提ではない現状の働きでも十分強力なカードであると確認できたため、ミラーの要所の一つとして認識に加えました。

ミラーに於いては"最強のチャリス"と化すこともしばしば

レポート:Asia Eternal Weekend Legacy 2022

友人知人の協力を仰ぎつつ、ギリギリまでデルバーの調整を後回しにしていたことによる慌ただしい2週間程度の調整期間を経て、東名阪3連戦の緒戦である愛知で行われたプレイヤーズコンベンション併催のAsia Eternal Weekend Legacyへと臨むこととなりました。

調整の過程・思考

当日は国内でも最大規模の400名規模でのスイスドロー9回戦を勝ち抜く必要があることからデッキリストの検討には時間を要したものの、概ね方針としては下記の3点に集約されました。

  1. 対高速コンボに対するメインからの対策比重のアップ

  2. 1と相反しやすいと感じているミラー対策札との共存成立

  3. 上記2点を目的とするため、スペルの選定に於いて妥協をしない

全国区の大会となる以上はスイスドローの前半4回戦までは如何なるデッキと当たっても不思議ではなく、特に先手1ターン目から仕掛けてくるような高速コンボを相手取る際には若干の工夫が求められると考えていました。
一方で、スイスドローを勝ち抜いていけば上位では強者とのミラー戦が発生するのは必至でありそのための備えを放棄することはできません。

全方位に抜け目のない構築にして両者を迎え撃つという考えもありますが、今回は前者と後者それぞれの相反しがちな対策要素をバランスよく抱えられるようチューニングを試みました。

当日のデッキリスト

先述の要件を元に検討し、本番で使用したリストが上記となります。
以下にリストの要点と思考のポイントを簡単に述べます。

・除去枠の増強
足がかりとなるリストを持ち込んで晴れる屋TC東京の平日大会にて3-0した際には《紅蓮破》と《邪悪な熱気》を2枚ずつ採用し、代わりに《ミシュラのガラクタ》を1枚に抑えることでミラーや対多色コントロールに於いてかなり取り回しが良いリストにできていたのですが、いくら《相殺》を採用してエンチャント枠が1枚増えたとて昂揚達成の鈍化には目をつぶることはできず…
苦慮の結果《邪悪な熱気》を1枚にすることで全体のバランスを取りました。

・カウンターの採用について
後手を取った際に先手1ターン目を請けられない、対コントロールでは3枚以上引くとハンドにダブり始めるなどの理由から《目くらまし》を2枚にすることはほぼ前提としてスタート。テストプレイ時には《相殺》をメインに2枚採用していたのですが、今回ばかりはコンボ相手の確定ピッチカウンターの5枚目が必要であると判断したのと《相殺》のマナコスト=3の枠を1枚でも残しておきたいことからメインに《否定の力》を1枚採用。
最終的に先述のリストの構成に落ち着きました。

・《厚かましい借り手》の不採用
ここまでのスペルの採用検討と《ミシュラのガラクタ》2枚の枠の確保を両立するなかで、どうしても犠牲になってしまったのがこの一枚でした。
メインゲームでの《虚空の杯》や《暗黒の深部》への対策が気持ち楽になるという加点ポイントはあるものの、いずれもギリギリではありますが技術でカバーできる範囲として判断。
今回は勇気をもってカットしました。

戦績と試合内容

・スイスドロー
R1 URデルバー P: ××
初戦はまさかの《もみ消し》入りのかなり古い型のデルバーが相手でメインはフェッチを挫かれテンポを失し、サイド後は後手番の不毛3連打で沈黙…
不運と割り切れる点の方が多かったことだけが救いでしたが、ここで早々に背水の陣となってしまいました。

R2 スニークショー P: ×○○
R3 スニークショー P: ×○○
コンボデッキの中では十全なハンドの準備のため比較的過程のターン数が必要であることから《目くらまし》が有用なマッチアップです。いずれもメインボードは受け身が取りきれない突破のされ方をしたものの、サイド後は各種カウンターをかき集めてきっちり2本取り返しました。

R4 URデルバー D: ×○○(
@kiyoaggroさん)
ラウンド半ばでこの日最初のハイライトとなったマッチでした。メインは綺麗に先手番から捌かれたものの、2ゲーム目は《相殺》と《ドラゴンの怒りの媒介者》(以下"チャネラー")をフル稼働させてゲームを掌握。
翻って3本目は中盤の終わりに差し掛かるまで相手の《相殺》がゲームをコントロールしていましたが、2ターンに跨って下準備を経た末に一気呵成に対処しづらい状態の《濁浪の執政》を連打しラスト3ターンで捲り返しました。
※余談ではありますが、個人的に自分が極めてリスペクトしている国内デルバープレイヤーとの初対戦だったこともあり感激しきりでした。

R5 4cリアニメイト D: ×○○
事前のテストプレイの結果から今回の墓地対策は面で抑え込める《トーモッドの墓所》を採用しており、サイド後2本はこの判断がとても効いていたと感じました。
先手後手を問わず自身の1ターン目から1マナのアクションと共存しやすく《表現の反復》とのダブルアクションも容易であり、先置きすることで手札破壊を陳腐化させつつチャネラーによるクロックが先行しやすい状況を上手く生むことができました。

R6 ヨーリオンアルーレン D: ○○
R7 ヨーリオン4cコントロール P: ○×○
多色ミッド/コントロールはデルバーを狩りやすいポジションとして有力視されていますが、個人的には直近成績で7割程度の勝率をマークできており比較的得意分野という認識でした。
いずれもメインは立ち上がりを挫いてクロックを先行させる形で取り、サイド後は手札が重くキャントリップも引けない事故もありましたが、基本線としてはメインと打って変わってロングゲームを前提にアドバンテージ差を意識しながら重いパーマネントを軸にじっくりとゲームを掌握しました。

R8 エルフ D: ○○
新カードである《兄弟仲の終焉》がとても効くマッチアップであることは事前に実地で確認できていたものの、実際のゲーム展開としては《祭典壊し》を《神秘の聖域》で再利用し常に細かく盤面を崩し続けることで流れを掌握しました。ここら辺は3月に挑んだレガシー神決定戦での反省を活かして得た学びの本領発揮と言う感じでした。

R9 URデルバー P: ○○(コバヤシ タツウミさん)
1本目はデッキチェックの後にまさかのリスト不備のため1本取った状態でスタート。実質2本目となるメイン戦は相手側が後手選択から《思案》連打の立ち上がりに対して、こちらは初手と《思案》から見つけた複数枚の《不毛の大地》を使って苛烈にマナベースを攻め立て勝利を収めました。
試合後にはコバヤシさんの持ちかけでサイド後のゲームをさせてもらいましたが、そこでしっかりと勝利できたことによって自分の中で"バブルラインで強者相手に勝ちを収めることができた"という経験に繋げられました。
このマッチは当日得た大きな財産の一つであり、対戦相手に最大限の感謝と敬意を。

スイスドローを8-1の成績で終え、なんとか6位抜けが確定しました。マジック人生最長のサブマリン達成に疲労感を覚えつつ激戦はSEへと続きます。

息を潜めてひたすら急速潜航。
あまりの深度(ラウンド数)に一時は浮力が足りないかと思いました。

・SE
準々決 ベルチャー D: ×○○
シングルエリミネーションではリスト公開制のため、カウンターを求めてマリガンを繰り返すもののメインは辿り着けず。先手1ターン目の完走を許してしまいましたが、サイド後は2本ともしっかりとピッチカウンターと《削剥》を確保し最小限の3点クロックで走破に成功。

準決 赤単ストンピィ D: ××
メインは先行1ターン目の《虚空の杯》で1マナスペルが止まった時点でインスタント・ソーサリーを吐きだす方向に切り替えて4ターン程度で《濁浪の執政》着地に至ったものの、その間に育った《軍勢の戦親分》率いるトークン群が止まらず圧倒。
2本目は最序盤の盤面をほぼ捌ききったタイミングで攻勢に出る下準備として《金属モックス》2枚と《裏切り者の都》1枚からなる相手のマナ供給源を断つべく《兄弟仲の終焉》で茶破壊を行ったところ、その後相手のトップから《虚空の杯》、《山》、《血染めの月》とドローが続き一転してハーフロック状態に。巻き返しを図るも《未認可霊柩車》と《砕骨の巨人》の前にゲームは幕を下ろしました。
その後お相手の方は圧倒的な勢いのまま優勝されており、ゲーム終了後もただただ敬服する他ありませんでした。

大会総括

すったもんだの末、世界で24枚の《思案》の内1枚を手に入れました。

ラウンド全体の内容としては事前の目論見通りにいかない部分も多々あったものの、自己最長のスイスドローを勝ち抜いてアジア選手権の位置づけとなる大会で3位の結果を得られたことには一定の充足感と安堵を覚えました。

また、今回はアジア全体を対象とした大型大会ということで久しぶりに海外プレイヤーの方との対戦を楽しむことが出来たのも良かったです。
もちろん日本人の有力レガシープレイヤーの方達との激闘もあり、今回も大会を通して多くの経験を得ることが出来ました。

・・・などと感慨に浸るのも一瞬。
首尾よく好成績を収められたとはいえ、本大会は3週に渡る大型大会巡りの1週目に過ぎません。今年最後の惑星直列のようなレアスケジュールを前に休息は無く、帰りの新幹線内では既に翌週開催のエターナルパーティ東京へ向けて鼻息荒く思いを巡らすのでした…

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(後半へと続く)


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